kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

インクレディブル・ファミリー

2018年09月20日 | ★★★★☆
◎ 相変わらず盛りだくさんなストーリー
◎ スパイ映画へのオマージュが素敵
◎ 実は15年の時差で観客がリブート

「ミスター・インクレディブル」15年ぶりの続編。拙ブログの開始前だよ。

しかし、物語上は前作から一年前後しか経過しておらず、オープニングからインクレディブル一家は地底人(いしいひさいちじゃないぞ)の操る超巨大ドリル戦車を阻止する。
レトロフューチャーな街並の程よいリアルさとアニメにだけ許されるオーバーな表現がうまく噛み合ったこのシークエンスだけでガッチリと鷲掴みにされる。

地底人を取り逃がし、結果として街中に大損害を与えたインクレディブル一家を政府は拘束、自宅軟禁生活を命じる。しかし、大通信企業の若きCEOが彼らの再活動のために奔走し、一家の新生活が始まる。その頃、スクリーンスレイバーなるヴィランが現れ、巨大な陰謀を進めていく・・・。

前作同様、スーパーヒーローものに現実生活がミックスされ、今回も主夫、夫婦間のすれ違い、子育て、思春期の娘、落ち着きのない息子の勉強と今の海外ドラマの1シーズン並のメガ盛り内容。

次々に色んな問題が発生し、映画としてはとっ散らかっている感は否めない。とは言え、娘のバイオレットを巡るデートのくだりは大爆笑。お父さん、やっちゃうんだよ、こういうこと。

後半のヴィランの陰謀の進展とともに、ストーリーもどんどん集約され、加速度的に面白くなっていく。やはりこの辺もアニメの強さが前面にでていて、実写ではこうもノレないだろうな。

60年〜70年代の娯楽映画へのオマージュも楽しく、黒人のヒーロー、フローズンのテーマソングはソウルフルでまさに「黒いジャガー」だったり、クライマックスに登場する水中翼船のギミックは「007サンダーボール作戦」そのもの。ラストの対決もショーン・コネリーの007で同じ場面を見た。監督のセンスが光っている。

しかし、今回一番印象的なのは、15年ぶりの続編で劇中の時間は進んでいないのだが、実は観客の側がリブートされていること。
ピクサーアニメの面白い点は観客の人生と重ね合わせることができるキャラクター設定にあるのが、今回、観客は15歳年を取っているから、前作と同じ視点では観ることができない。

15年前から一世代弱が変わってしまい、子どもの宿題に手を焼くシーンも「今は昔」として笑って見られる。ファミリーは前作から同じことで悩んでいるが、観客側が人生の先輩となってしまった。

実写映画では俳優も年をとるか、別人が演じるので、嫌がうえにも時代の流れを感じさせるから、時間感覚を混乱させる点で稀有なアニメ映画かも知れない。

ところで、裏方の現実社会の人たちは歳をとっている。
バイオレットの吹き替えは綾瀬はるか。思春期の娘役どころか、義母役で年ごろの娘に振り回さているし、フローズンの声のサミュエル・L・ジャクソンはこの15年でSHIELDの長官に大出世。
デッカードの声はジョナサン・バンクス。当時、マイナーな脇役だったが、今じゃあすっかりメジャー級。今回なんかボブ・オデンカークと「ベター・コール・ソウル」な共演している。
ミスター・インクレディブル役のクレイグ・T・ネルソンの代表作で思い浮かぶのは「シルクウッド」とか「ポルターガイスト」。80年代だぞ。なんと今年74歳!!






題名:インクレディブル・ファミリー
原題:Incredible 2
監督:ジョン・バード

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