kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ライダーズ・オブ・ジャスティス

2022年05月23日 | ★★★★☆
日時:5月9日
映画館:八丁座

マッツ・ミケルセンのデンマーク軍兵士は海外に派兵中、妻が電車事故で亡くなった知らせを受ける。帰国した彼の元に現れたのはオタクなITエンジニア。事故に遭った電車に乗り合わせており、さらにその列車に裁判で証言することになっていた過激派組織の元メンバーもいて、同様に亡くなったことに疑問をいだいていたのだ。さらにハッカーや画像処理の専門家といった仲間の協力を得て、過激派組織の一員が列車事故直前に下車していたことまで突き止めていた。
事故の背景を知ったマッツの復讐心に火が付き、過激派組織を追い詰めていく・・・という「狼よさらば」「狼の死刑宣告」「デス・ウィッシュ」などに通じる自警団(ヴィジランテ)映画。

マッツはいつもは物静かな男なのだが、暴力衝動を抑えられない一面があり、これが原因で一人娘ともぎくしゃくしている。過激派組織をぶっ殺すとなると市街地で銃撃戦はもちろんのこと、組織のメンバーを無警告で後ろから撃つことも厭わない。議論がかみ合わないと味方でも平気でぶん殴る。

一方、彼をサポートするITエンジニアメンバーも何かしら心に傷を負っており、マッツの復讐戦に関与したものの、当然、あたふたと振り回されて死にそうな思いをすることになる。さらにそこにウクライナから来た男娼も絡んでくる。

面白いのは、このように復讐を仕掛ける側がみんなどこかにコンプレックスがあり、お互いが補完しあっていく点。自警団映画ではあまりなかった視点だ。

しかし、物語が進むうち、事態は全く思いもよらない方向に転んでいく。マッツの復讐はどうなる?

登場人物の描き方もさることながら、ストーリー組み立ても面白く、不幸な事件の発端は人を思う行為だったり、その逆だったりする点。世の中は思いがけないところでリンクしており、それがどのような影響を及ぼすかは誰にもわからない。劇中でも遡って考えても何も生み出さないことが言及される。今、目の前にあることがすべてという視点は禅に通じるなあ。

大量に人が死んだ後のエンディングなのだが、なぜかハッピーエンディングにほのぼのさせられる。

たぶん映画館で見る初めてのデンマーク映画でもあり、自警団映画としても面白かったので★★★★☆

ところで、タイトルの「ライダーズ・オブ・ジャスティス」(正義の騎士団)はデンマーク原題でも同じ意なのだが、実は過激派組織の名前。しかし、マッツ一味もコインの裏表だという意味も込められているあたりに製作陣の意図が見える。






題名:ライダーズ・オブ・ジャスティス
原題:Retfaerdighedens ryttere/Riders of Justice
監督:アナス・トーマス・イェンセン
出演:マッツ・ミケルセン、ニコライ・リー・カース、アンドレア・ハイク・ガデベルグ


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