介護「囲い込み」を是正 ケアマネ紹介に偏り 厚労省、報酬引き下げ
2015年3月30日(月)配信共同通信社
厚生労働省は2015年度から、介護事業者が利益獲得のために高齢者の意に反してサービスを利用させる「囲い込み」の是正に乗り出す。高齢者の利用計画を作るケアマネジャーが、偏って特定の提供事業所を紹介している場合に介護報酬を減額する。税金や保険料などで賄う介護費用の無駄につながっていると判断した。
ケアマネは、本人や家族の希望に基づき公正、中立的に計画を作成する役割を求められている。ただ一部で、自ら所属する法人や親密な事業所に誘導し、過剰に利用させるといった悪質例がある。
是正策では、紹介サービスの80%超を同一事業所が占める場合、利用1人当たりのケアマネの報酬を月2千円減らす。現行では偏りの割合が90%を超えれば対象で、9月から厳格化する。山間部などで事業所が少なかったり、紹介先のサービスの質が高かったりといった正当な理由がある場合には減額しない。
また、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなど、高齢者向け集合住宅での訪問サービスでも4月から報酬を減らす。直接的には移動コストが小さいことが理由だが、事業者が入居者を囲い込んで利益を稼ぐことを防ぐ効果も見込んでいる。
具体的には、事業所が集合住宅と同一の建物や敷地内、隣接する場合は報酬を10%減らす。事業所と距離が離れていても、同じ建物内に多くの利用者がいる場合も10%減となる。
※ケアマネジャー
介護を必要とする高齢者からの相談に乗り、心身の状態に合わせたケア、リハビリの利用計画を作る介護支援専門員。できるだけ在宅生活が続けられるよう検討し、サービス提供事業所を紹介する。税金と保険料で賄っている介護保険から報酬を受け取り、相談による利用者の負担はない。介護保険法は、特定の事業所に不当に偏ることのないよう公正に業務を行うことを求めている。