太極

投げた石　私は留まる風景に


眠りの中で体を通過する狐がいる


静を極め己と世界を聴く


無駄を無くして立つ事一流


重力を相手ではつまらなかろう書を取って


尾の長い鳥が飛び立つ　今

宇宙小学校校訓

飛ぶ事の出来るヤツは妬みで殺されるよ


強く生きるため　そこに知恵が必要だ


兎の耳の不思議が解ればオール５


首狩り族や石斧になって文芸部

太陽を待ちながら

常緑に静かな太陽　接吻す


太陽を待ちながら想念を点検する


音の無い朝に妙法が染みる

乞食坊主とキチガイ食堂

石斧でカチ割る頭の一つや二つ


兎の皮剥ぐキチガイ乞食坊主


生焼肉店　店主指潰してミンチ食う

列島の風景

「この船大和」鳳凰の旗　翻る


列島　弓削り　精神性で行こう


ヒマラヤの上に列島据えて夢を織る


冬の陽　浴びきって猫を狩る

地蔵

三叉路に地蔵の首の飛ぶ夕陽


雲のしっぽから乳もらう明け方


太陽無くても光る地獄の空に絶命す

煉獄の夕暮れ

発火した蛇　燃え滓白く皮を脱ぐ


カッと眼が見開く歴史　事の怪


幹の乳が白く蔓と蛇が垂れ下がる


眼球にカミソリが細く息する


冬晴れに昏い街もあるのだな


骨粉　白き体育の都市


三日月が夕空を透明に斬る


明星や現存在も住む街に


壁にもたれて退廃など味わって


淫靡なしっぽを撫でて街の人となる


拳闘やつぶれた眼球に句集など


巨木ながめる快楽の日々　再び

妙法

妙法の他は太陽の前の塵


法の優劣　日蓮決し　銀河は波


妙法の流れていって銀河と同期


この体銀河に融解して妙法唱える

君の浜辺

電子の海　泳ぎ切って今　君の浜


電子画面から読み解く君の羽化


紙とインクの存在だろ書物手に取り

不気味な客

伊勢神宮ギロチン据えて客を待つ


十字切って　日本列島　宮清め


妙法の楽土の目覚め白光の行進

冬至より遅い朝に

雲湧いて洗った手を拭くところ


朝日に向かって機関車のように息吐く


朝露の降りて昨夜の宴の怪


地軸ずれて目覚めの後に朝焼け

蛍光下の家

藁縄を熾火にくべて燻る家


夜のミシンが浮いた天地を貫く


名前の付かない小説を書いている


居住まいを正して天変地異を回避する

草薙の剣

エクスカリバーと草薙の剣を交換する


本陣をお据えいただく葦払う


北の海密かに焼香雪つぶて


念珠数えつつ礼拝する天地


天地に住まう人煮焚きをして

関東の冬

ビルに照る太陽の　キンラ　キンラ


乾燥のグラスの水が保つもの


青空と一杯の水分かち合う

冬日にて

雪に閉ざされ書きつのる君のペン


冬の日溜まりの平和は行進する


冬晴れて鼻の奥底カラカラ鳴る