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『パラドックス13』 東野圭吾

2016年04月07日 23時56分00秒 | ■読書
「東野圭吾」のSF長篇小説『パラドックス13』を読みました。


禁断の魔術夢幻花(むげんばな) ラプラスの魔女マスカレード・イブに続き「東野圭吾」作品です。

-----story-------------
世界が変われば善悪も変わる。
人殺しが善になることもある。
これはそういうお話です 「東野圭吾」

運命の13秒。
人々はどこへ消えたのか?

13時13分、突如、想像を絶する過酷な世界が出現した。
陥没する道路。炎を上げる車両。
崩れ落ちるビルディング。破壊されていく東京に残されたのはわずか13人。
なぜ彼らだけがここにいるのか。
彼らを襲った“P-13 現象”とは何か。
生き延びていくために、今、この世界の数学的矛盾(パラドックス)を読み解かなければならない!

張りめぐらされた壮大なトリック。
論理と倫理の狭間でくり広げられる、究極の人間ドラマ。
“奇跡”のラストまで1秒も目が離せない、「東野圭吾」エンターテインメントの最高傑作!
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3月13日13時13分13秒… ブラックホールの影響で“P-13”と呼ばれる現象が発生することへの対策が、政府の間で極秘に進められていた、、、

学者や政府関係者ですら、具体的にどういう現象が発生し、どういう影響を受けるのか詳細につかめないため、関係各署には、その時間だけ危険な作業を中断し危険な場所から離れるよう通達だけされたが、国民には混乱が起きないよう、この情報自体、その時が過ぎるまでの極秘事項として決して公開されなかった… その時間帯、刑事の「久我冬樹」は、同じく警視庁の管理官である兄「誠哉」とともに強盗犯の確保に取り掛かっていたが、「冬樹」のミスにより、「誠哉」が犯行グループに撃たれてしまい、「冬樹」もまた、犯人の撃った弾を受け、その衝撃の後、「冬樹」は意識を取り戻すが、東京の街には誰もいなくなっていた。

訳がわからないまま、人々が消え去った東京の街を歩き、見つけたのは同じ現象に出くわした10人… その中には死んだはずの「誠哉」も含まれていた、、、

状況が飲めない彼らは、廃墟と化した東京を彷徨うことになり、そこへ数々の地震や大雨、洪水等の天変地異、そして疫病が襲う。

いやぁ、なかなか興味深い導入ですよね… この導入部でぐぐぐっと作品の中に入り込んで行きましたね、、、

そして、周囲の人々が消え去るという設定は、子どもの頃に読んだ「小松左京」のSF作品『こちらニッポン…』を思い出し、懐かしく感じながら読み進めました。

中盤での、直面したサバイバル的な状況を受け入れつつ、その中で困難に立ち向かいながら協力して生き抜こうとする展開は面白かったし、、、

元の世界に戻れないことに絶望を感じ始め、女性の扱いを巡るトラブルから一体感が損なわれつつあった頃に、2度目の“P-13”現象が訪れることが判明し、そのタイミングに死を選ぶことで元の世界へ戻ろうとする「河瀬」を中心とする一派と、この世界で生き抜こうとする「誠哉」の一派、どちらを選ぼうか迷う「冬樹」「明日香」等に意見が分裂し、そこに更なる天変地異が襲ってくる… という終盤の展開も愉しめました。

でも、終盤~エンディングは、ちょっと失速気味な印象… オチは、やや物足りない感じはしましたが、それでも全体的には愉しめる作品でしたね。



以下、主な登場人物です。

「久我 冬樹(くが ふゆき)」
 所轄の刑事。もとは教師志望だったが、母親の願いで刑事となった。
 スタンドプレーに走ってしまいミスを犯すことがあり、それが今回の事件につながった。事あるごとに兄とは対立している。

「久我 誠哉(くが せいや)」
 冬樹の兄。警視庁管理官のキャリア組警察官。冬樹とは母親が違う。
 どの状況でも冷静な判断を行い、P-13後の世界でも実質的にリーダーとして活躍する。

「中原 明日香(なかはら あすか)」
 女子高生。フットサル部所属。過酷な状況下で冬樹に恋をする。

「山西 繁雄(やまにし しげお)」
 明日香のすぐそばにいた老人。彼の話す一言、選択で冬樹達を勇気づけていく。

「山西 春子(やまにし はるこ)」
 繁雄の妻。

「戸田 正勝(とだ まさかつ)」
 大手建設会社の専務。

「小峰 義之(こみね よしゆき)」
 大手建設会社勤務のサラリーマンで戸田の部下。

「富田 菜々美(とみた ななみ)」
 看護師。現世において恋人がいた。ある事実を知らされてから生きる希望を失う。

「新藤 太一(しんどう たいち)」
 フリーターで小太りの青年。ムードメーカーであるが、大食いな性格が問題を引き起こしてしまう。

「白木 栄美子(しらき えみこ)」
 ミオの母親。冬樹に救助される。

「白木 ミオ(しらき みお)」
 栄美子の娘だが、あるショックで失語症となった。

「勇人(ゆうと)」
 一人アパートで生存していた赤ん坊。

「河瀬(かわせ)」
 ヤクザの男。若いころはSF小説が好きでアイザック・アシモフをよく読んでいた。



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