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『横道世之介』 吉田修一

2023年11月04日 21時27分23秒 | ■読書
吉田修一の長篇小説『横道世之介』を読みました。
『日曜日たち』に続き、吉田修一の作品です。

-----story-------------
誰の人生にも温かな光を灯す、青春小説の金字塔。
1980年代後半、時はバブル真っただ中。
大学進学のため長崎からひとり上京した横道世之介、18歳。
自動車教習所に通い、アルバイトに精を出す、いわゆる普通の大学生だが、愛すべき押しの弱さと、隠された芯の強さで、さまざまな出会いと笑いを引き寄せる。
友だちの結婚に出産、学園祭でのサンバ行進、お嬢様との恋愛、そして、カメラとの出会い・・・。
そんな世之介と、周囲にいる人たちの20年後がクロスオーバーして、静かな感動が広がる長編小説。
第7回本屋大賞第3位に選ばれた、第23回柴田錬三郎賞受賞作。
2013年、沖田修一監督で映画化されている。
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2008年(平成20年)4月1日から2009年(平成21年)3月31日まで『毎日新聞』に連載され、2009年(平成21年)に刊行された刊行された横道世之介シリーズの第1作…… 2013年(平成25年)に高良健吾と吉高由里子の主演で映画化もされています。

 ■四月 桜
 ■五月 ゴールデンウィーク
 ■六月 梅雨
 ■七月 海水浴
 ■八月 帰省
 ■九月 新学期
 ■十月 十九歳
 ■十一月 学祭
 ■十二月 クリスマス
 ■一月 正月
 ■二月 バレンタインデー
 ■三月 東京

横道世之介…… 長崎の港町生まれ、その由来は『好色一代男』と思い切ってはみたものの、限りなく埼玉な東京に住む上京したての18歳、、、

愛すべき押しの弱さと隠された芯の強さで、様々な出会いと笑いを引き寄せる…… 嫌みのない図々しさが人を呼び、呼ばれた人の頼みは断れないお人好し。

とりたててなんにもないけれど、なんだかいろいろあったような気がしている「ザ・大学生」…… 友の結婚に出産、学園祭のサンバ行進、お嬢様との恋愛、カメラとの出会い、、、

なんだか、いい奴…… 世之介が呼び覚ます、愛しい日々の、記憶のかけら。

誰の人生にも温かな光を灯す、青春小説の金字塔…… 名手・吉田修一が放つ、究極の青春小説!

1987年(昭和62年)4月から1988年(昭和63年)3月までの1年間…… 横道世之介が長崎から上京した大学生の世之介の1年間の日常の描写に加え、16年後の現在(2003年(平成15年))から周囲の人間が世之介を振り返る構成となっています。

世之介は、サンバサークルやホテルのバイト、教習所などで様々な人と出会い、恋や友情、夢や現実などを経験…… その中でも、不思議なお嬢様の与謝野祥子との恋愛は、世之介にとって大きな影響を与えます、、、

祥子は、世之介とは対照的に裕福で自由奔放な性格で、彼女とのやりとりは、微妙にすれ違いながらも噛み合っている感じが微笑ましんですよねー 世之介の大学時代と交互に描かれるのは彼と関わった人々の16年後の現在…… 世之介は、特別な存在でもなく、多大な影響を及ぼすものでもないのですが、心のどこかに何かを残す人物で、彼と出会った人々は、それぞれに人生を歩んでいく中で、ふとした瞬間に世之介のことを思い出すんですよね。

世之介の人間的な魅力に惹き込まれる物語でしたねー 笑えるシーンや切ないシーンが多くありながら、最後には心に響くエンディングが用意されているのも良かったな…… 母親からの手紙を読んだときにはウルっ ときましたね、、、

良かった…… 続篇も読んでみたいですね。

以下、主な登場人物です。

横道 世之介(よこみち よのすけ)
 長崎の港町出身の青年。経営学部で、サンバサークルに所属。
 流されやすく熱しやすい性格。後に報道カメラマンとなる。

倉持 一平(くらもち いっぺい)
 入学式の日に出会った世之介の同級生。
 世之介と唯とともにサンバサークルに入ったが、すぐに唯とつきあい始め、同棲状態となる。

阿久津 唯(あくつ ゆい)
 世之介と同じクラスのアイプチをしている女子。倉持と結婚し、智世という娘を出産した。

小暮 京子(こぐれ きょうこ)
 世之介の住むアパートの同じ階の住民の女性。ヨガのインストラクター。

川上 清志(かわかみ きよし)
 世之介の従兄。早稲田大学の4年生で、幕張の県人寮に住んでいる。
 失恋がきっかけで小説家を目指しはじめる。

石田 健次(いしだ けんじ)
 サンバサークルの代表を務める三年生。世之介に高級ホテルのボーイのバイトを紹介した。

清寺 由紀江(きよでら ゆきえ)
 サンバサークルの先輩。新入生勧誘時は派手なメイクと格好だったが、普段は地味。

小沢(おざわ)
 世之介と一緒に上京してきた高校時代からの友人。
 マスコミ研究会に所属し、世之介を『ねるとん』のオーディションに誘った。

片瀬 千春(かたせ ちはる)
 世之介が一目惚れした年上の女性。
 後に画家のマネージャーを経て、ラジオのパーソナリティとなる。

加藤 雄介(かとう ゆうすけ)
 世之介の同級生の友人。大阪出身だが大阪弁を嫌い標準語で話す。
 部屋にクーラーがない世之介は加藤の部屋に入り浸っていた。
 後に自分は女性に興味がないゲイだと告白したが、世之介は意に介さなかった。

与謝野 祥子(よさの しょうこ)
 家が金持ちのお嬢様。世間からズレた言動を見せ、丁寧語で喋る。
 ボートピープルが岩場に停泊した場面を世之介とともに目撃したことがきっかけで、後に国連で働くようになる。

戸井 睦美(とい むつみ)
 自動車教習所で加藤にデートを申し込んだ女の子。祥子とは幼なじみ。

大崎 さくら(おおさわ さくら)
 世之介が高校時代に付き合っていた同級生。
 世之介が東京に行ってからは、ジローという世之介の高校時代の友人と付き合っている。

中尾 正樹(なかお まさき)
 世之介が帰郷した際にスナックで会った羽田空港で働いている青年。

室田 恵介(むろた けいすけ)
 かつての恋人が世之介の部屋の郵便受けに間違ってチョコを投函したことがきっかけで世之介と知り合ったカメラマン。
 世之介がカメラを始めるきっかけとなる。

キムくん
 倉持が唯と暮らしていたアパートの隣人の韓国人留学生。

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