じゅうのblog

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『海峡の光』 辻仁成

2007年08月05日 02時13分36秒 | ■読書
 辻仁成『海峡の光』を読みました。


辻仁成って、ミュージシャン・映画監督としての辻仁成(つじじんせい)」という顔と、作家としての辻仁成(つじひとなり)」という二つの顔(名前)を持っているんですよね。

「ECHOES」のデビュー当時、1stアルバムの『WELCOM TO THE LOST CHILD CLUB』が気に入って、ボーカルとしての辻仁成(つじじんせい)」という人物を初めて知ったのですが、、、
作家としての辻仁成(つじひとなり)」とは、本作品で初めて出会うことになりました。

デビュー作が「すばる文学賞」を受賞し、本作品も「芥川賞」を受賞しており作家として輝かしい経歴を持っていますが、、、
私の中ではミュージシャンとしての印象が強く、あまり小説を手に取る気がしなかったのですが、古書店で見つけ、一度くらいは読んでみようかという気になり買ってしまいました。

しかも、なんだか読みたくなるようなコピーですよね。
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廃航せまる青函連絡船の客室係を辞め、函館で刑務所看守の職を得た私の前に、あいつは現れた。
少年の日、優等生の仮面の下で、残酷に私を苦しめ続けたあいつが。
傷害罪で銀行員の将来を棒にふった受刑者となって。
そして今、監視する私と監視されるあいつは、船舶訓練の実習に出るところだ。
光を食べて黒々とうねる、生命体のような海へ…。
海峡に揺らめく人生の暗流
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んで、読み終えて… な~んだか消化不良気味。 

受刑者となった「花井修」の心情が全く語られないまま終わってしまうので、彼のこれまでの行動の理由がわからないんですよね。

その部分が明示されないので「なんで!?、どうして!?」という疑問が解決されないままで、もどかしさが残ります。

逆に主人公である「私(斉藤)」の気持ちは痛いほど感じることができた。
変わりたくても変われず、同じ土地から離れることもできない、世の中から見捨てられたような思いと、自分とは全く異なる人生を歩む「花井修」への憎悪と羨望の気持ち。

う~ん、読み手のスキル不足かもしれないけど、消化不良な気持ちが拭えません。

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