goo blog サービス終了のお知らせ 

じゅうのblog

こちらでボチボチ更新していく予定です。

『プレゼント』 若竹七海

2025年03月23日 19時40分22秒 | ■読書
若竹七海の連作ミステリ短篇集『プレゼント』を読みました。
若竹七海の作品は、先月に読んだ『殺人鬼がもう一人』以来ですね。

-----story-------------
ルーム・クリーナー、電話相談、興信所。
トラブルメイカーのフリーター・葉村晶と、娘に借りたピンクの子供用自転車で現場に駆けつける小林警部補。
二人が巻き込まれたハードボイルドで悲しい八つの事件とは――。
間抜けだが悪気のない隣人たちがひき起こす騒動はいつも危険すぎる!
-----------------------

1996年(平成8年)に刊行された短篇集……葉村晶が初めて登場する作品で、当初は単発の予定だったが葉村晶のキャラクターが予想外の好評を博したことからシリーズ化されたようですね。

 ■海の底
 ■冬物語
 ■ロバの穴
 ■殺人工作
 ■あんたのせいよ
 ■プレゼント
 ■再生
 ■トラブル・メイカー

トラブルメイカーのフリーターとピンクの子供用自転車で現場に駆けつける警部補……間抜けで罪のない隣人たちが起こす事件はいつも危険すぎる!

葉村晶が活躍する事件と、小林警部補と部下の御子柴のバディが活躍する事件が交互に描かれ、最後話の『トラブル・メイカー』で初めて両者が顔を合わせるという構成の連作ミステリでした。

本格ミステリ要素が強くて愉しめたのは、

幼馴染の吉本惇に裏切られ破滅した主人公が、吉本を別荘に呼び出して殺害……計画は完璧のはずだったが、小林警部補の鋭い追及により完全犯罪が綻ぶ『冬物語』、

三杉若葉は、親友・塩川春美の遺体を雇い主である大学助教授・片倉忠の家に運び、2人が心中したように見せかける……工作を終えた後、若葉の前に小林警部補が現れ真相を推理することで見えていた景色が反転する『殺人工作』、

の2篇かな……刑事コロンボっぽさを感じさせる倒叙ミステリでしたね。

葉村晶シリーズらしさが感じられたのは、

編集者の井坂敏雄から依頼されたハードボイルド作家・赤月武市が残したホテルの一室に付いた染み(血痕)を取る仕事……葉村が、染みを取るだけでなく、失踪した赤月の謎を解く重く切ない展開の『海の底』、

葉村のもとに知人女性の南佳代子から、恐喝絡みのトラブルに巻き込まれたので助けてほしいと連絡が入る……以前、佳代子と三角関係で揉めたことのある葉村は連絡を無視するのだが、葉村は事件に巻き込まれていく『あんたのせいよ』、

2篇かな……スッキリしなくて後味の悪いダークな結末なんだけど、それが面白いんですよね。

それ以外では、

1年前、誕生日パーティ当日に殺された佐伯里梨を偲ぶため関係者らが再び集まり、誰が里梨を殺したのか? 真相を探るため事件について語り合う……その場にいきなり刑事を名乗る男が現れ 巧い叙述ミステリの『プレゼント』、

葉村、小林警部補、御子柴刑事が揃って登場、葉村晶シリーズの続篇『依頼人は死んだ』に繋がるエピソードが満載でファンには嬉しい作品……葉村の実姉・珠洲の非人道的な行為が強く印象に残る『トラブル・メイカー』、

が印象的でした……若竹七海らしさ満載で愉しめました! 面白かったです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする