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こちらでボチボチ更新していく予定です。

『沈黙のパレード』 東野圭吾

2025年02月25日 22時29分06秒 | ■読書
東野圭吾の長篇ミステリ作品『沈黙のパレード』を読みました。
東野圭吾の作品は1月に読んだアンソロジー作品『時ひらく』に収録されていた『重命(かさな)る』以来ですね。

-----story-------------
容疑者は善良な市民たち!
【映画化決定! 2022年9月16日公開】
沈黙は、連鎖する――それは罪か、愛か

【待望の文庫化! シリーズ累計1,500万部突破!】
2018年「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第1位

静岡のゴミ屋敷の焼け跡から、3年前に東京で失踪した若い女性の遺体が見つかった。
逮捕されたのは、23年前の少女殺害事件で草薙が逮捕し、無罪となった男。
だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。
町のパレード当日、その男が殺された――

容疑者は女性を愛した普通の人々。彼らの“沈黙”に、天才物理学者・湯川が挑む!
ガリレオvs.善良な市民たち
“容疑者X”はひとりじゃない。
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2018年(平成30年)に刊行された作品… 物理学者・湯川学が一見超常現象とも取れる不可解な事件を科学や論理的な推理によって解決していくガリレオシリーズの第9作です、、、

テレビドラマ『ガリレオ』の劇場版第3作として、2022年(令和4年)に映画化されている作品……ガリレオシリーズの長篇は一昨年の10月に読んだ『透明な螺旋』以来なので久し振りですね。

ガリレオ、再始動! 今度の相手は街の人たち全員だ! シリーズとしては、6年ぶりの作品が、長篇書下ろしとして堂々の発売!

容疑者は彼女を愛したふつうの人々……哀しき復讐者たちの渾身のトリックが、湯川、草薙、内海薫の前に立ちはだかる、、、

突然行方不明になった町の人気娘・並木佐織が、3年後に静岡のゴミ屋敷の焼け跡で遺体となって発見された……容疑者はかつて草薙が担当した少女殺害事件で完全黙秘を貫いた末に無罪を勝ち取り、国から賠償金を得ていた男・蓮沼寛一。

だが今回も黙秘を貫いて処分保留で釈放されてしまう……さらにその蓮沼が、堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を「憎悪と義憤」の空気が覆う、、、

かつて、佐織が町中を熱狂させた秋祭りの季節がやってきた……パレード当日、蓮沼寛一が死亡するが、殺害する動機のある全員にアリバイがあった。

復讐劇はいかにして遂げられたか? 殺害方法は? アリバイトリックは? 超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りで佐織の遺族が経営する飲食店の常連になっていた湯川に助けを求める……第1作『探偵ガリレオ』の刊行から20年、シリーズ第9作として、前人未踏の傑作が誕生した。

殺害された被害者を愛した善良の人々が力を合わせるという展開は、アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』との類似性を感じましたね……オマージュなんでしょうね、、、

でも、それだけに留まらない終盤の二転三転する展開……結末で判明する意外で衝撃的な真相! 面白かったですねー 『容疑者Xの献身』において真相を暴くことが友人を裏切ることになってしまった湯川の複雑な気持ちも反映された判断、行動にも共感できましたね。

秋祭りのパレードを利用したアリバイ作りは考えに考え抜かれているし、佐織が殺害された真相も関係者の証言と湯川の推理で二転三転するので、物語の構図はとても複雑なのですが、それでも難しく感じさせない筆致に東野圭吾作品らしさを感じました……読みやすいけど、複雑で面白い! 様々なエピソードを絡ませながらも、全体像がストンと頭に落ちてくる展開は、ホントに巧いなぁー と感じました、、、

科学を使ったトリック、不可能犯罪を暴くことが中心だった初期の作品から比べると作風が大きく変わってきた印象ですね……本シリーズ、もっともっと続いてほしいですね。
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『運命の時計が回るとき ロンドン警視庁未解決殺人事件特別捜査班』 ジェフリー・アーチャー(著),戸田裕之(翻訳)

2025年02月24日 13時15分50秒 | ■読書
イギリスの政治家・作家ジェフリー・アーチャーの長篇ミステリ作品『運命の時計が回るとき ロンドン警視庁未解決殺人事件特別捜査班(原題:Over My Dead Body)』を読みました。
ジェフリー・アーチャーの作品は昨年9月に読んだ『まだ見ぬ敵はそこにいる ロンドン警視庁麻薬取締独立捜査班』以来です。

-----story-------------
スコットランドヤード警視総監への道を歩む刑事ウォーウィックが豪華客船の死体と未解決殺人の謎に迫る!
巨匠アーチャーが放つ、英国警察小説。
〈ウィリアム・ウォーウィック〉シリーズ第4話。
「著者インタヴュー」と「ウィリアム・ウォーウィックの極秘ファイル」を特別収録!

ロンドン警視庁のウィリアム・ウォーウィックは警部昇任後、豪華客船に乗り、束の間の休暇を妻と過ごしていた。
だが一族を引き連れた老大富豪が後継者争いの最中に死亡。
ウィリアムは真相究明に乗り出す。
一方、彼の留守を預かる同僚たちは5件の未解決殺人の再捜査を開始。
まもなくウィリアムも合流し、敵対する犯罪組織の報復殺人事件を追うが??。
巨匠が放つ、至高の英国警察小説!
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2021年(令和3年)に発表された作品……ウィリアム・ウォーウィック・シリーズの第4作です、、、

本シリーズは第1作『レンブラントをとり返せ―ロンドン警視庁美術骨董捜査班―』、第2作『まだ見ぬ敵はそこにいる ロンドン警視庁麻薬取締独立捜査班』と順番に読んでいたのですが、今回は第3作を飛ばして第4作を読んじゃうことになりました。

ロンドン警視庁のウィリアム・ウォーウィックは警部昇任後、ピルグリム・ラインの豪華客船オールデンでニューヨークに向かい、束の間の休暇を妻ベスと過ごしていた……だがピルグリム・ラインの経営者一族を引き連れた老大富豪フレイザー・ブキャナンが後継者争いの最中に急死、、、

ウィリアムは真相究明に乗り出す……一方、彼の留守を預かる同僚たちは5件の未解決殺人の再捜査を始動。

まもなくウィリアムも合流し、敵対する犯罪組織の報復殺人事件を追うが……巨匠ジェフリー・アーチャーが放つ、至高の英国警察小説!

シリーズの作品毎に昇任しているウィリアムは、本作では捜査警部……未解決殺人事件特別捜査班を率いて、過去の未解決事件を解決しつつ、未読の第3作で死んだことになっていた美術品の大物窃盗詐欺師マイルズ・フォークナーが姿と名前を変えて生きており、その弁護士ブース・ワトソンとの対決が平行して描かれる展開、、、

たまたま乗り合わせた豪華客船オールデンでの殺害事件も描かれ、慌ただしく感じましたね……元囮捜査官のロス・ホーガンの活躍が目覚ましく印象に残りました。

多くの事件が描かれている影響で、全体的には物語に深みを感じなかった印象……ウィリアムの活躍よりも、犯罪側のコンビ、フォークナーとワトソンが悪知恵を絞って謀を駆使して捜査側を騙し、出し抜こうとする姿の方が印象に残る作品でした。
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『密室蒐集家』 大山誠一郎

2025年02月23日 22時42分16秒 | ■読書
大山誠一郎の連作ミステリ作品『密室蒐集家』を読みました。
大山誠一郎の作品は、昨年12月に読んだ『記憶の中の誘拐 赤い博物館』以来ですね。

-----story-------------
本格ミステリ大賞受賞、究極の密室ミステリ!
消え失せた射殺犯、密室から落ちてきた死体、警察監視下で起きた二重殺人。
密室の謎を華麗に解く名探偵登場。
これぞ本格ミステリ!
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密室蒐集家シリーズの作品を収録して2012年(平成24年)に刊行された作品です。

 ■柳の園ー一九三七年
 ■少年と少女の密室ー一九五三年
 ■死者はなぜ落ちるー一九六五年
 ■理由ありの密室ー一九八五年
 ■佳也子の屋根に雪ふりつむー二〇〇一年
 ■解説 千街晶之

鍵のかかった教室から消え失せた射殺犯、警察監視下の家で発見された男女の死体、誰もいない部屋から落下する女……名探偵・密室蒐集家の鮮やかな論理が密室の扉を開く、、、

これぞ本格ミステリの醍醐味! 物理トリック、心理トリック、二度読み必至の大技……あの手この手で読者をだます本格ミステリ大賞受賞作。

収録作の時代背景は1937年(昭和12年)、1953年(昭和28年)、1965年(昭和40年)、1985年(昭和60年)、2001年(平成13年)と異なりますが、その全てに登場するのが密室蒐集家と称する人物……警察が頭を悩ませるような難解な密室事件が起きると、日本全国どこにでも忽然と現れ警察内部では伝説と化しており、本名不詳、外見は30歳前後の男性だが歳をとらないのか、どの時代でも同じ外見をしている という、明らかに普通の人間ではない名探偵が謎を解き明かすシリーズです、、、

女子高生がカーテンの隙間から目撃している中、音楽室で教師が射殺されたが、現場は密室状態だった『柳の園』、

高校生の男女の刺殺死体が発見されるが、その家は闇煙草の取引が行われているため警察に監視されていた家の隣家で、犯人が現場に出入りすることは不可能な状態だった『少年と少女の密室』、

別れ話をしていた男女が、窓の外を墜落してゆく女性を目撃……墜死した女性には背中に刺し傷があって明らかに他殺なのだが、被害者の部屋は内側から施錠され密室状態だった『死者はなぜ落ちる』、

密室で発見された被害者は自宅の鍵を飲み込んでいた……密室を作ったかというホワイダニットの要素を推理する『理由ありの密室』、

自殺を図った佳也子は医師に救われたが、その医師が自宅で殺害される……現場の外に積もった雪には訪ねてきた刑事以外の足跡が存在せず容疑者は佳也子しかいない状態だった『佳也子の屋根に雪ふりつむ』、

と、バリエーションに富む密室事件の謎解きが愉しめましたね……ミスリードが巧妙、見破るのは困難で叙述トリックに心地良く騙された『少年と少女の密室』がイチバン印象に残りましたね。

『柳の園』と『理由ありの密室』の48年を経た再会も印象的でした……『死者はなぜ落ちる』も面白い仕掛けでしたが、やや偶然性が強すぎる印象、『佳也子の屋根に雪ふりつむ』は、密室ネタで良く使われる雪のうえに残った足跡に関する謎解きで、良くできた秀逸なトリックだと感じましたが、こちらも偶然性が強い面があるのと、時間軸の部分がわかり難いのが気になりましたね、、、

ちょっと気になる点はありましたが、どの作品もレベルが高く愉しめました……ぜひ、シリーズ化してほしい! 続篇を期待しています。
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『夜と少女』 ギヨーム・ミュッソ(著), 吉田恒雄(翻訳)

2025年02月22日 17時57分49秒 | ■読書
フランスの作家ギヨーム・ミュッソの長篇ミステリ作品『夜と少女(原題:La Jeune Fille et la Nuit』を読みました。
ギヨーム・ミュッソの作品は昨年10月に読んだ『作家の秘められた人生』以来ですね。

-----story-------------
世界35か国で翻訳 フランスで130万部突破
10年連続フランスNo.1作家ギョーム・ミュッソ!
南仏コート・ダジュールの名門高校で最も魅惑的な少女が失踪。
あれから25年──秘密はすべて封印されたはずだったが……

1992年、コート・ダジュールの名門高校で、最も魅惑的な少女ヴィンカが忽然と姿を消した。
哲学教師アレクシスと駆け落ちしたとみなされ、捜査は打ち切りに。以来25年、彼らを見た者はいない。
同級生のトマとマキシムは事件に関わる秘密を抱えたまま卒業、恐るべき過去は巧みに封印されたはずだったが──。
少女失踪の裏に錯綜する思惑と衝撃の結末。
フランスNo.1作家が放つ珠玉のサスペンス!
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2018年(平成30年)に刊行された作品です。

1992年の冬、南仏の名門高校で少女と哲学教師が忽然と姿を消した、、、

事件に関わる秘密は巧みに封印されたはずだったが……珠玉のサスペンス!

母校の創立50周年の記念祭が開かれ、パーティ会場となる体育館はこれを最後に解体される……25年ぶりに親友マキシム・ビアンカルディーニから連絡を受けたトマ・ドゥガレは、現在住んでいるアメリカ・ニューヨークから故郷のフランス・コート・ダジュールに駆け付ける、、、

式典会場で、今なお魅力を放っている英米文学教師のA・C・ドゥヴィル先生、幼馴染で今は心臓外科医となっているファニー・プラミヒ、地元紙の記者になった皮肉屋のステファン・ピアネッリ、さらに学校と深いかかわりがあったトマの両親リシャールとアナベル、建設会社社長であるマキシムの父フランシス等の様々な関係者が登場……それぞれの人たちが25年前のヴィンカ事件に関係していたことが徐々に判明する……。

25年前の事件と現在の事件がシンクロしつつ、それぞれの事件の真相、隠されていた事実が判明する……という展開が愉しめました、、、

ミステリ、サスペンスとしても秀逸なのですが、夫婦の愛、親子の愛……かなり捻じ曲がった血縁、関係性がある人物間の愛情についても、巧く描かれていたと思いました。

面白かったですねー 二転三転を繰り返した先に待っている衝撃の結末……幕切れも好みでしたねー 愉しめました、、、

物語の中に登場する映画やドラマ、小説も好みの作品が多かったのですが……好みのミュージシャンが出てくることも印象的でしたね。

1980年代~1990年代に聴いていた、ロックやポップス、フォーク等々……具体的には、

ザ・ローリング・ストーンズ、U2、ザ・キュアー、ベル&セバスチャン、クイーン、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ケイト・ブッシュ、デペッシュ・モード、レディオ・ヘッド、R.E.M.、インエクセス、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ロキシー・ミュージック、エリック・クラプトン、ブルース・スプリングスティーン、レナード・コーエン 等々……懐かしいなぁ、そういう面でも物語に感情移入しやすかったですね。
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簸上清酒の『大吟醸 玉鋼』

2025年02月21日 22時38分15秒 | ■飲食
大阪で勤務していた頃の同僚たちが出張で松江に来訪……同じく大阪で勤務していた仲間が集まりました、、、

その際にO先輩が持ち込んでくれたのが、地元のお酒・簸上清酒の『大吟醸 玉鋼』……華やかな香りと甘みがあり、とても飲みやすかったですねー 美味しかったぁ、O先輩に感謝!
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『女と男、そして殺し屋』 石持浅海

2025年02月20日 18時10分20秒 | ■読書
石持浅海の連作ミステリ作品『女と男、そして殺し屋』を読みました。
石持浅海の作品は、昨年4月に読んだ『君の望む死に方』以来ですね。

-----story-------------
殺し屋は、実行前に推理する…殺し屋シリーズ第3弾!
殺し屋は、殺害前に推理する──。
殺し屋×推理小説 第3弾が文庫書下ろしで登場!

殺しの依頼の不可解な点から、二人の殺し屋、それぞれの視点で一つの真実へとたどり着いていく推理過程はシリーズの中でも圧倒的な重厚感と面白さ。
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2014年(平成26年))に刊行された殺し屋探偵シリーズの第3作……殺し屋探偵シリーズは昨年4月に読んだ第1作の『殺し屋、やってます。』 以来ですね。

 ■遠くで殺して
 ■ペアルック
 ■父の形見
 ■二人の標的
 ■女と男、そして殺し屋

ビジネスライクで安定と信頼の副業殺し屋、富澤允と鴻池知栄……お互いの存在を知らないが、彼らには揃いも揃って標的の奇妙な行動の裏を推理せずにいられない癖があった、、、

各々が受けた依頼の謎に深入りするうちに、交わらないはずの2人の推理が驚愕の真実を導き出す……殺し屋が日常の謎に奔走する異色のミステリ中短篇集。

本作では短篇4作に加え、表題作でシリーズ初の中篇『女と男、そして殺し屋』の5作品が収録されています、、、

普段は経営コンサルタントとして働く富澤允と、インターネット通信販売業を営む鴻池知栄……副業として殺し屋稼業を請け負っているという裏の顔を持つ殺し屋が2人になったことで物語に厚みが出ましたね。

しかも、お互いの存在を知らない2人には、さらにもうひとつ共通する癖を持っている……それは不可解な依頼を推理すること、、、

ビジネスライクに、安心安全に、そして確実に任務を実行するために、彼らは依頼を様々な角度からみつめ、謎解きをしてしまう……そんな富澤と鴻池が、交互に描かれる短篇4話のあと、表題作の中篇『女と男、そして殺し屋』では、ある依頼を通して急接近してしまいます! 殺し屋が日常に潜む謎を解く、一風変わった展開が愉しめるだけでなく、お互いの存在を知らない2人の殺し屋が登場することにより、これまで以上に面白い展開になりましたね。

雰囲気も大好きだし、続篇を期待したいですね……未読の第2作『殺し屋、続けてます。』も古書店で見つけなきゃ!
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ロッテの『ガーナミルク エクセレント』

2025年02月19日 20時11分57秒 | ■飲食
職場で甘いモノが欲しくなったときのために……職場のデスクにこっそりチョコレートを忍ばせているのですが、、、

ここ最近ロッテの『ガーナローストミルク エクセレント』ばかりを食べていたので飽きないようにチェンジ……旧来からの定番商品ロッテの『ガーナミルク エクセレント』を食べています。

頭の回転が不足してきたときには糖分補給が大切ですからねー ちょっとずつ食べてます。
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『山歩きのオキテ―山小屋の主人が教える11章』 工藤隆雄

2025年02月18日 21時42分40秒 | ■読書
工藤隆雄のノンフィクション作品『山歩きのオキテ―山小屋の主人が教える11章』を読みました。

-----story-------------
手軽に楽しめて、体にも良い山歩き。
けれども山には思わぬ危険が潜んでいるのを忘れてはいけません。
山小屋の主人に学ぶ登山の基本的な知識とは? 雨具と下着は良いものを選ぶ。歩き始めの一時間が肝心な理由。
雷や濃霧に遭遇した時の対処法。
快適な山小屋滞在のためのマナー……おすすめのコースや携行品リストも掲載、便利で楽しい登山ガイドブック。
『山小屋の主人の知恵袋』改題。
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2007年(平成19年)に刊行された『山小屋の主人の知恵袋』を改題後、文庫化した作品です。

 ■Ⅰ 山のことはその山小屋の主人に訊け
 ■Ⅱ 山に入る前の心構え
 ■Ⅲ 安全な山の歩き方
 ■Ⅳ 山道具に関して
 ■Ⅴ 山小屋に泊まる
 ■Ⅵ 山で起きている問題
 ■Ⅶ SOSからの脱出 そのⅠ
 ■Ⅷ SOSからの脱出 そのⅡ
 ■Ⅸ 山小屋を使った1泊2日、おすすめコース
 ■Ⅹ 山歩き10ヶ条
 ■? 道具一覧表
 ■あとがき
 ■文庫版に寄せるあとがき
 ■解説 岩崎元郎

著者が山小屋の主人……というわけではなく、各地の山小屋の主人から聞いて集めた山の知恵やアドバイス、マナー等が紹介されており、実用書に近い印象ですね、、、

これから山登りを始める人向けだと思いますが、山登りに欠かせない実際的な知恵が詰め込んでありました……わかりやすくまとめてあるな とは思いましたが、読み物としてはやや退屈かな。
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『ナヴァロンの要塞』 アリステア・マクリーン(著),平井イサク(翻訳)

2025年02月17日 19時44分28秒 | ■読書
イギリスの作家アリステア・マクリーンの長篇ミステリ作品『ナヴァロンの要塞(原題:The Guns of Navarone)』を読みました。
ネビル・シュートの『パイド・パイパー 自由への越境』に続き、イギリスの作家の作品です。

-----story-------------
エーゲ海にそびえ立つ難攻不落のナチスの要塞、ナヴァロン! 
その巨砲のために連合軍が払った犠牲は測り知れない。
進退きわまった司令部は、遂にマロリー大尉ら精鋭五人に特命を下した――ナヴァロンの要塞を爆破せよ! 
頭脳と体力の限りを尽して不可能に挑む男達の姿を重厚な筆致で描いた、冒険小説の金字塔
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1957年(昭和32年)に刊行……第二次世界大戦下におけるギリシャのエーゲ海の架空の島・ナヴァロン島を舞台にした冒険小説で、1961年(昭和36年)に映画化され、小説・映画ともども評判となった作品です。

第二次世界大戦中の1943年、イギリス軍の将兵1,200名がドイツ軍占領地に囲まれたギリシャのエーゲ海にあるケロス島で孤立した……しかし、そこから海路脱出するには、その南にあるナヴァロン島の堅牢に築かれた要塞に配備された2門の巨砲の射程内を通過しなければならない、、、

ナヴァロンの巨砲にはすでに巡洋艦や駆逐艦が何隻も撃沈されており、この巨砲を無力化しない限り、ケロス島からの脱出は不可能だった……イギリス海空軍は何度もナヴァロン攻撃を試みたが、その巨砲は岩肌をくりぬいて作られた穴に設置された難攻不落の要塞に置かれており、爆撃も空挺兵による襲撃もことごとく失敗してしまう。

万策尽きたまま、ドイツの総攻撃まであと1週間という時に投入された最後の部隊が世界的な登山家キース・マロリーを指揮官とする5人の精鋭たちだった……彼らは、登攀不能と思われているため、そこだけドイツ軍の警備が手薄と推測されるナヴァロン島南面の400フィートの断崖をよじ登り、島に侵入しようというのである、、、

偽装した老朽漁船でナヴァロン島に辿り着いた彼らは、嵐の中、苦闘の末に断崖を登りきるが、どうやら自分たちの行動が敵に筒抜けになっているらしいことに気づく……次々に襲いかかるアクシデントを彼らは乗り切ることができるのか?

映画化された作品が面白かっただけに、その原作ということで期待し過ぎてしまったかな……翻訳が古いこともあったのかもしれないですが、やや読みづらい印象で物語の中に入り込めなかったですね、、、

文体だけでなく、ミラー伍長の愛称の「フケツのミラー」というのも古臭い印象……いつも薄汚れた格好で「不潔(原文は"Dusty")」な姿からきているようですが、もっと気の利いた愛称を付けてあげたいですよね。


以下、主な登場人物です。

キース・マロリー
 隊長。砂漠挺進隊大尉。ニュージーランド出身の世界的な登山家

アンドレア
 ギリシャ陸軍の元中佐。マロリーとクレタ島で後方撹乱戦を行っていた

ミラー
 陸軍伍長。爆薬と破壊工作の専門家。アメリカ人。通称「フケツ」(Dusty)

アンディー・スティーヴンズ
 海軍大尉。登山家

ケイシー・ブラウン
 海軍電信兵曹。船舶機関士の経歴を持つ

ジェンセン
 海軍大佐。後方撹乱作戦の指揮官

ルーキ
 ナヴァロン島の連合軍協力者

パナイス
 ナヴァロン島の連合軍協力者

スコダ
 ドイツ軍大尉。分遣隊の隊長

テュールジッヒ
 ドイツ軍中尉
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『パイド・パイパー 自由への越境』 ネビル・シュート(著),池央耿(翻訳)

2025年02月16日 19時41分38秒 | ■読書
イギリスの作家ネビル・シュートの長篇ミステリ作品『パイド・パイパー 自由への越境(原題:Pied Piper)』を読みました。
イギリスの作家の作品は、昨年12月に読了したアガサ・クリスティの『バートラム・ホテルにて』以来ですね。

-----story-------------
●米澤穂信氏推薦――「ひとしずくもたらされる善意。その尊さが、胸に迫る。」
●宮部みゆき氏推薦――「気骨あるおじいちゃんと、健気で可愛い 子供たちの大冒険。たまりません。」
●池澤夏樹氏推薦――「老いて無力な主人公が(…)危機にいかに対処して、子供たちを安全な国まで連れてゆくか。冒険小説というのは危難の設定が鍵だが、この話はそこのところがうまくできている。」(週刊文春2002年7月25日号より)

フランスの田舎道でパンクのため立ち往生したバスは、ドイツ軍の編隊の機銃掃射を受けて動けなくなった。
これから先は歩くしかない。
老イギリス人は、やむなくむずかる子供たちの手を引いた。
故国を目差して! 
戦火広がるフランスを、機知と人間の善意を頼りに、徒手空拳の身でひたすらイギリス目差して進む老人と子供たち。
英国冒険小説界の雄が贈る感動の1編。
訳者あとがき=池央耿/解説=北上次郎
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1942年(昭和17年)に刊行……第二次世界大戦下、1940年(昭和15年)のフランスを舞台にイギリス人老紳士と子供たちのイギリスへの逃亡劇を描く物語で、最初に邦訳された際のタイトルは『さすらいの旅路』だったようですね。

時は1940年夏、現役を退いた老弁護士ジョン・シドニー・ハワードは傷心を癒やすためジュラの山村へ釣り竿一本下げて出かけた……しかし、懸念されていた戦局がにわかに緊迫度を高め、突然の帰国を余儀なくされたばかりか、ジュネーヴの国際連盟に勤めるイギリス人キャヴァナー夫妻の子どもロナルド(ロニー)とシーラの2人を預かって帰る破目に陥った、、、

だが、ハワードの運命はそれだけにとどまらなかった……途中で世話になったホテルのメイドの姪・ローズ・テノワや二親を失った孤児ピエールなど、次々と同行者の数は増えていく。

戦火の中を、ひたすらイギリスを目差す老人と子供たち……英国冒険小説の雄ネヴィル・シュートの代表作。

イギリス人の元弁護士ジョン・シドニー・ハワードは、2人の子どもをイギリスに連れていくことになる……戦火の広がるフランスを進む途中で同行する子どもが少しずつ増え、さらにはドイツ軍にスパイ容疑をかけられながらも、子どもたちを救うためひたすらイギリスに向かう、、、

主人公が70歳の老人で同行者は子どもたちというロードノベルなので、派手なアクションはないのですが、苦難にみちた旅の途中での様々な困難を一つひとつ克服する展開は、それなりにスリリングで物語に惹き込まれましたね……フランスを占領したナチス・ドイツが最大の脅威になるのですが、それ以上に厄介なことが自分たちの中に潜んでいるんですよねー 高齢と幼少、病み上がりの幼女の虚弱、少年の無知とその裏返しである人一倍の好奇心、ナチス・ドイツに対するポーランド難民孤児の底知れぬ執念、喧嘩をしたりぐずったり、英語を話してしまったり 等々、老人と子どもの旅は気の遠くなるような困難の連続でしたね。

スパイ容疑でドイツ軍に捕らえられて万事休すと思われましたが……神は一行を見捨てていませんでしたね、、、

1942年(昭和17年)に映画化、1990年(平成2年)にはピーター・オトゥール主演でテレビ映画化され、同年日本でもNHK総合テレビにて『はるかなるドーバー』のタイトルで放送されたらしいです……観たかったな。

以下、主な登場人物です。

ジョン・シドニー・ハワード
 70歳のイギリス人。弁護士業を営んでいた

キャヴァナー夫妻
 夫は国際連盟職員。2人の子供をハワードに預ける

ロナルド(ロニー)
 キャヴァナー夫妻の8歳の息子

シーラ
 キャヴァナー夫妻の5歳の娘

ニコル・ルージェロン
 ハワードの知人の娘。フランス人女性

ローズ・テノワ
 ハワードが滞在したホテルのメイドの姪

ピエール
 フランス人少年

ヴィレム・アイベ
 オランダ人少年

マリアン・エストライヒャー
 ポーランド系ユダヤ人

アンナ
 ドイツ人少女
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