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ザルツブルグにモーツァルトを訪ねて-19

2006-10-28 23:10:29 | 旅行記
 午後8時から、祝祭大劇場に隣接する、フェルゼンライトシューレ(Felsenreitschule)で、モーツァルトの初期のオペラ「Butelia Liberata」を観る。

 このホールは、ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」(The Sound of Music) の中で、最終場面での音楽コンテストが行なわれる会場である。このホールの雰囲気をお知りになりたい方は、「サウンド・オブ・ミュージック」の最後の数十分を御覧ください。

 会場の入り口をはいると、広いスペースと高い天井のエントランス・ホールがある。その昔乗馬学校があったところらしい。



 この劇場は背後の岩山を切り開いて作ったというだけに壁や床は岩肌そのまま。舞台の背後も岩山を切り拓き、古代の神殿のようなつくりにしている。正面には、バルコニー状の構築物を配してあった。
 舞台は、その岩肌の上に木造らしき造作で作ってある。客席床面は、前の方は岩肌そのままであり、後方の結構勾配のある客席段床は木造で作ってある。客席には結構な傾斜がついていて、見やすい。私の席は上手前方のほうであった。


 
 さて、そのモーツァルトの初期のオペラ「Butelia Liberata」の開演が近づいた。
オーケストラと合唱団が入場。
オーケストラのチューニングが始まるのに前後して、近くの大聖堂の鐘が鳴り始め、その音が場内にまで響いてくる。その鐘の音2・3回ではなく、結構長く続いている。
 そして、鐘の音が余韻となって響く頃、ソリストと指揮者が入場。心憎い演出。
午後8時過ぎ演奏が始まった。

 演奏はミュンヘン・カンマー・オーケストラ、合唱はウィーン・スターツオーパー(国立歌劇場)合唱団、指揮はクリストフ・ポッペン。
 いわゆる演奏会式オペラである(ソリストも合唱もオラトリオの演奏会のような感じで、演技なし)。
 言語はイタリア語。 Mozartのオペラは殆どイタリア語で、当時はドイツ・オーストリアでも音楽分野ではイタリア語が公式言語であり、ドイツ語での上演は格が低いとされていた。
 映画「アマデウス」では、モーツァルトがドイツ語での上演を企画した際に宮廷音楽家の総スカンを食うところを描いている。
 日本のオペラ界が、いまだに原語上演に拘って(日本語上演は格下だと考えているようだ)、字幕を見ながら聴くと言う、音楽に集中できない本末転倒の環境を良しとしていることを、モーツァルトが見たらどう思うであろうか?
 なお、モーツァルトがドイツ語オペラを上演したのは、「魔笛」など彼にとっては晩年のことである。
(つづく)

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ザルツブルグにモーツァルトを訪ねて-19
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