JuJuブレスト日記

乳がん治療の記録を残していきたいと思います。

乳がん手術 (4) 抜糸 

2022-02-28 11:38:01 | 乳がん手術

2022年2月22日

乳がん手術後、ちょうど1週間目の診察日。

 

この1週間、退院時に指示されたように

「無理しない程度の日常生活」を送ってきました。

仕事は長期休み

今後の経済計画を考え直す必要があるけれど、いったん考えないことにして

気をつけることといえば栄養バランスと

重たいものを持たないように、買い物で軽めの食材を選ぶことくらい。

「頓服でいい」痛み止めは、3日間だけ服用。

歩くときの振動や腕を伸ばした時の傷の痛みは、

薬でかなり軽減される実感がありました。

まだ、右胸から脇の下まで全体が腫れて熱をもったまま。

センチネルリンパ切除時の脇側の傷は、動かすと痛みます。

乳輪まわりの傷は、なぜか、それほど痛みません。

 

久々に、電車とバスにのってT病院に行きました。

 

診察室にはいると

挨拶もそこそこに主治医から

では、ここに横になってくださいと

大きなタオルを渡されベッドのカーテンが引かれます。

上半身を脱いでタオルをかけると

すぐに 「表面の糸を切っていきますよ」と言われました。

抜糸なんだ。

抜糸のことは、予定表にもなかったし、聞いてもいなかったので

すっかり油断していました。

手術が終わって安心して、ぼーっと暮らしていました。

事前調査していません。

痛いのか、だけでも調べてくればよかった

と考える暇もなく

パチパチと糸が切られていきます。

痛みはありませんでした。

でも「表面の糸」って? 

中の方は溶ける糸なのかな?

抜糸のあと、テープが張られました。

 

着替え終わると

「今日から、お風呂にはいってもいいです」

「テープは剥がれたら剥がれたで。

まあ剥がれにくいですけどね」

という2点、説明がありました。

「これで今日は終わりです。次回は2週間後」

え?

もっといろいろなことを説明してほしかったけど

いつも通り、とっさに質問もできません。

 

診察室をでるとき

「傷が思ったより小さくて、

こんなので癌が取り出せるんですね」と言ったら

「そうですね。こんなので、とり出せるんですよ」

と、主治医がにっこりしました。(マスクの下で)

 

帰宅後、抜糸について調査。

広島大乳腺外科の先生のブログにとてもわかりやすい説明がありました。

皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つに分かれていて

傷をきれいに治すためには、真皮の層をしっかり合わせることが重要。

ここで行われるのが、真皮縫合。いわゆる溶ける糸での縫合。

その後、表皮のみをぴったり整えるように、非吸収性縫合糸で縫合する。

これが溶けない糸で、こちらは抜糸が必要。

 

主治医から言われた「表面の糸を切る」という意味がわかりました!


乳がん手術 (3) 術後1日目の状態

2022-02-27 11:05:25 | 乳がん手術

2022年2月15日

手術の翌朝

昨日の手術は 「右乳房円状部分切除術+センチネルリンパ節切除」でした。

 

夜明けとともに

苦しかった熱と吐き気、痛みが、徐々に、ひいてきました。

新しい朝

と誰かが歌っていたっけ。

爽やか、とまではいかないけれど、ずいぶん楽になりました。

念のため検温してみると37.2度。

朝イチで鎮痛解熱剤をもらおうと思っていたのを、やめることにしました。

 

7時頃、看護師さんが来られて体を拭くための熱いタオルを渡されました。

熱さが気持ちいいです。

朝食は、まだ胃がムカムカしていたので、残念ながらパス。

 

主治医の先生方が来られました。

胸のカバーが外されて、

解放感。

いつも淡々とした、さっぱり主治医の先生のマスクの目が、笑顔に見えます。

退院していいですよ

と言われて

ああ、順調なんだなと思いました。

苦しかった夜のことはコロッと忘れて、元気が少しづつみなぎってくる感じ。

主治医の一言一言や表情の影響は絶対的です。

 

1時間くらい点滴をしたら、フリーになります。

妹に電話して迎えに来てもらうことにしました。

 

点滴も終えて着替える時、恐る恐る傷口を確認しました。

ちょっと見だけ。

・・・

右胸から脇下にかけて全体が、少し腫れ気味?

浅黒いところと赤っぽいところのまだら状態。

内出血?

テープの下は、黒っぽい縫い目?

事前に聞いていたように傷は、乳輪のまわりに沿っていて

サイズは意外に小さく、全長4~5cmくらい。

あとは、脇下に5~6cmほどの斜めの直線。

一番ショックだったのは、胸の上部右側に、少しへこみがあってデコボコにみえたこと。

手でそっと触ると硬くてへこんだまま。

やっぱり、元通りにはならないんだな。。

陥没しないって言われてたのに。。

不思議なことにボリューム自体は、あまり変わらず

洋服を着れば全くわからないくらい。

速攻観察約10秒のあと

放心状態が30秒くらい続きました。

 

その後、思い直しました。

うん、悪いところをとってもらって

強く望んでいた温存もできた

あんなに心配だったリンパへの転移もなかった。

120点。

1000点かな。

 

退院後の次回診察は1週間後です。


乳がん手術 (2) 手術当日

2022-02-26 11:16:58 | 乳がん手術

2022年2月14日

手術の日

朝、6時半起床。

窓辺にうっすらと雪が積もっていました。

大雪予報でちょっぴり期待していたのに、数センチだけ。

少し生温くなった経口補水液を100ccほど飲みました。

 

看護師さんが手術衣と弾性ハイソックスを持ってきました。

これを着て、9時になったら歩いて手術室に行くそうです。

てっきりストレッチャーで運ばれると思っていました。

非日常感。

これからどんなことが起きるのだろう。

 

9時、病室を出てエレベータにのり、手術室へ。

つきそいの看護師さんはストレッチャーを押していますが、これは帰り用とのこと。

手術室のグレーで厚い金属のドアが開きました。

ドラマで見たことがあるような既視感

緊張の一瞬です。

 

入口を入ってすぐのコーナーで、麻酔担当の先生2名から説明を受けました。

点滴で静脈麻酔薬を投与すること

麻酔が聞いた直後、呼吸維持用にのどの奥にチューブを挿入すること

意識が戻ったらチューブを抜くこと (怖いです)

事前に読んでおいた説明書通り。

リスクについて説明を再度受けたあと、同意の書類にサインしました。

 

指示されるがまま

歩いて手術台まで行き、自分で横になります。

手際よく、大きなカバーをかけられて、手術着の肩や脇のホックが外され、

手術着は上下2枚に分かれるような状態になり、

少し腰をあげると、足の方から引っ張られて、するっと脱げました。

うまくできているんだなと感心。

マスクの上から酸素吸入用のマスクをかぶせられます。

2重マスク。

心電図の装置をつけられ、

主治医の先生から、付き添いはいますか?と質問されました。

ここで聞かれるのか。。

いえ、一人です。

「では、麻酔がさめてクリアになったら、直接説明します。

転移がなかったですよ、とかね」

了解です。

手の甲に点滴用の針をさされて、麻酔をします、という声が聞こえて

数秒後

意識を失っていました。

 

夢の中で、「転移がなかったですよ」という声が聞こえました。

・・・

 

気がつくと

病室のベッドの上

怖かった喉のチューブを外されたという記憶はおろか

手術室やストレッチャーで運ばれた時の記憶も、一切ありません。

夢の中で聞こえた声だけが妙に鮮明に残っているので、

一時的に意識は覚めていたのでしょう。

 

点滴と、酸素マスク(1重)、尿管がついています。

手術をした胸も硬いカバーで覆われています。

私は寝つきよく、いくらでも眠れるのですが

こんなところでいったいどのくらい寝ていたのか。。

長時間、同じ体位だったせいか背中と腰が痛みます。

 

傍らで看護師さんが

しばらくしたら、水を飲む練習、歩く練習をしましょうと言いました。

 

酸素マスクを外して

一口、水を飲みました。

立ち上がって歩いて

病室の端まで往復しました。

これで、トイレにも行けると判断されて

動くたびに気持ち悪かった尿管を外していただき、

弾性ハイソックスからも解放され

スッキリしました。

しばらくして点滴も外れました。

少しづつ、日常が戻ってきました。

順調みたいで良かった。

 

窓の外は、陽が落ちかけていました。

 

夜、主治医の先生方が来られました。

胸カバーをはずして、患部をさっと見ただけですぐにカバーを戻しました。

締められてちょっと苦しい。

「転移ありませんでしたよ、良かったですね」と言われました。

感謝の気持でいっぱいですが、うまく言葉に表せず

はい、としか言えませんでした。

 

あまりに胸のカバーが苦しくて

数時間、我慢して寝ようかと悩んだ末、看護師さんに訴えると

そこまで締めなくても大丈夫なんですよ、とテキパキと少し緩めてくださいました。

ちょうどいい締め具合です。

専門家なんだな、と尊敬の念が高まります。

 

寝るまでは、たぶん点滴の痛み止めが効いていたと思うのです。

夜が更けるにつれ、

寝返りが打てない体位で、背中も腰も猛烈に痛くなりました。

頭痛が徐々に耐えられなくなり

ナースコールで鎮痛剤をもらいました。

それでも一晩中、

熱っぽくて吐き気もして、体中が痛みます。

こんなに苦しいのは、10年以上前にインフルエンザで高熱がでた時以来。

あの時よりはマシだから大丈夫、と自分に言い聞かせました。

何度も起き上がっては、とりあえず体の痛みを和らげて

まんじりともしない

眠れない夜を過ごしました。

 

寝るのは得意なはずなのに。

昼間、たくさん寝すぎたのかな。。


乳がん手術 (1) 入院の日

2022-02-25 11:37:30 | 乳がん手術

2022年2月13日

入院の日

朝、小旅行用のバッグに着替えなどを詰めて

「じゃあ、ちょっと行ってくるね」と家を出ました。

電車とバスで、病院へ。

 

受付フロアは、休日のため外来がなく、閑散としています。

午前10時過ぎ、検温と手指消毒の後

入院手続きをしました。

病室 No.629

これから3日間?を過ごすところ。

4人部屋で2人が入っているようでしたが

コロナ対策のせいか、それぞれのカーテンがきっちりしめられています。

お隣との間には通路もあり

同室の人たちと気軽に話ができる状況ではないことがわかりました。

窓側のベッドを希望して良かった。

窓の外は、大きな空でした。

 

担当の看護師さんがこられて血液検査、血圧や検温などをしたり、

看護助手さんにフロアを案内していただいたり、

薬剤師さんにヒアリングを受けたり

そうこうしているうちにお昼。

エビフライとメンチがでて、美味しくいただきました。

 

午後、看護師さんにつきそわれてCT検査。

その後、PCR検査。

鼻に細い管を突っ込まれても、頭を後ろにのけぞらせない方が痛くないことを

2回の検査で学ぶことができました。

 

夜9時以降は、絶食

明日朝7時以降は、絶飲

とわかり、売店にチョコと水を買いに行きました。

 

他の人のブログで見た、下剤や睡眠導入剤など

処方されることはありませんでした。

今日も便秘気味なんだけど。。

 

夕方、経口補水液500ml×3本を渡されました。

夕食後から明日朝までに、最低1本、飲むようにと。

麻酔に良いそうです。(?)

水を飲むのが苦手な私が、こんなに飲めるかなと思いましたが、

麻酔のためなら、もちろん飲みます。

目標 1本半。

 

夕食後、主治医の先生が若い先生と一緒に来られました。

休日だから診察はないだろうと思っていたので、ちょっと嬉しい。

「明日9時からです」

「右ですね」

右手首より少し上に「P」と黒マジックで書かれました。

そういえば、以前に右と左を間違えて摘出した医療事故があったなあと

思い出しました。

Pってなんだろう?

主治医の先生は、いつものように淡々と話され、すぐに立ち去っていきました。

私にとっては、今や唯一の頼りになる存在。

妹には、「病院も先生もさっぱりしているんだ」と話していましたが、

初診の時から、さっぱりした優しい先生、と思っています。

 

あとは準備万端。

もう検査もないので、時々、経口補水液を飲みながら

TVでオリンピック観戦をしたり、

文庫本を読んだり。

持ち込んだミステリーやストーリーのある本は、なぜか読む気になれません。

「働かないアリに意義がある」という新書を読了。

 

今夜から明け方にかけて大雪の予報でしたが、

寒くないので、窓側のカーテンをあけて寝ることにしました。

遠くに夜のあかりがところどころついたビル群が立ち並び、

みぞれが降りそそいでいます。

子供時代、修学旅行先で泊まったときや、夜の列車に乗ったとき、

窓の外の夕闇の中で家々に灯がともる景色をみると

いつもなぜか寂しくて涙がでたことを思い出しました。

その時と同じ気持になりました。

 

明日、手術なんて本当はまだ全然、ピンときていない。

なぜ、こんな知らない場所に泊まって寝ているんだろう、と思いながら

眠りに落ちました。