「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのかー有料座席列車導入は鉄道活性化のカギ

こんにちは。大塚良治『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)で鉄道活性化策を提言しています。

「生活バスちばにう」運行開始1周年記念シンポジウムで司会を務めました

2015-06-08 22:47:50 | 日記
皆様、こんにちは。

6月7日(日)に千葉県印西市で『「生活バスちばにう」運行開始1周年記念 交通権学会・生活バスちばにう共同シンポジウム』が開催されました。

板倉正直印西市長による開催地挨拶と、上岡直見交通権学会会長による開会挨拶の後、上岡会長、武藤弘生活バスちばにう友の会会長、前田善弘交通まちづくり戦略会議理事による事例報告が行われました。

第1部 事例報告
13時10分~13時40分 上岡直見(交通権学会会長)「公共交通が地域にもたらす社会的な便益」
13時40分~14時10分 武藤弘(生活バスちばにう友の会会長)「生活バスちばにうと千葉ニュータウンのまちづくり(仮題)」
14時10分~14時40分 前田善弘(交通まちづくり戦略会議理事)「各地の住民協働型バス運行からみた生活バスちばにうの特徴」



上岡氏は、印西市は「住みよさランキング2014」でトップになっているが、現実には対東京との交通移動が多く実態は「東京都印西市」であるとし、今後も少子化が進展する現状からみると、決して楽観視できないと指摘しました。

武藤氏は、「鉄道に完全並行するバスを走らせることはけしからん」との批判に当初は反発していたが、実はそうした批判にこそ、千葉ニュータウンの街づくりを進めるカギがあると思うようになったと述べ、高運賃の鉄道では満たしきれない需要を満たすためにバスを走らせていることをもっとアピールすることが大切であること、またバスだけに留まらずに、幹線道路沿いのきれいなファミリーレストランだけでなく、昔ながらの居酒屋やラーメン屋ができるような街づくりを進めることが大切であることを述べました。

前田氏は、横浜市や川崎市の住民支援型バスの事例を紹介し、これからは地域の協力が公共交通の充実のために大切になってくることを示しました。

第1部終了後、休憩を挟んで第2部パネルディスカッションに移りました。



第2部 パネルディスカッション
15時00分~16時15分 パネルディスカッション
コーディネーター:大塚良治(湘北短期大学准教授)
パネリスト:上岡直見、細川幸一(日本女子大学教授・前内閣府消費者委員会委員)、徳永昌子(鎌ヶ谷観光バス専務取締役)、加藤俊男(生活バスちばにう友の会事務局)、前田善弘、柴田圭子(白井市議会議員)

各氏の発言要旨は以下の通りです。

上岡氏:公共交通は社会保障であり、活動が熱心な地域だけが公共交通の存続を実現できている現状はおかしい。公と民の役割分担の整理が必要。交通は就労や通学のための社会インフラである。低運賃で就労や通学の機会を提供している生活バスちばにうは意義のある交通機関。高運賃だが速い鉄道と、遅いが低運賃のバスが併存することで役割分担ができている。

細川氏:生活バスちばにうはより良い社会を実現するために住民が結集して実現した。高運賃だが速い鉄道と、低運賃のバスはそれぞれ役割分担ができている。鹿島神宮や成田空港ではJRは競争相手との競争に敗れたが、子会社のJRバス関東を通じてバスを走らせている。つまり、他社への収益流出を回避するために「次善の策」を講じているということである。競争が活力を生むという典型例ではないか。消費者は消費を通じて社会を良くするという考え方を持つことが大切。「消費者市民」となる意識を。

徳永氏:今後少子高齢化が進み、観光はジリ貧になる。家族の反対を押し切り、事業多角化のため、路線バスへの参入を決意した。運行してみて、不動産広告に生活バスちばにうが紹介されたり、仕事帰りのサラリーマンが低運賃で浮いたお金でバスの中でビールを空けたりすることが起こっている。バスが確実に選ばれていることを実感している。

加藤氏:30年前から入居が始まった千葉ニュータウンは高齢化が進んでいる。車がないと本当に不便な地域だが、高齢者は警察署から免許返納を強く要請されている。また、北総線の高運賃を避けるために、印西から新鎌ヶ谷まで自転車通学している高校生が事故に遭ったこともあった。一昨年の社会実験では自分の住む高花にバスが来るというので応援を始めたが、今はバス会社の採算をまず確保するために応援している。

前田氏:知人のアイデアをきっかけに、大塚を通じて千葉ニュータウンの住民にバス運行を提案した。関東は九州とは状況が異なるという不安があったが、住民の熱意がちばにうを成功に導いた。

柴田氏:本音は「乗らずに済ます北総線」との思いでバスに協力している。徳永氏、武藤氏、大塚とともに、関東運輸局へちばにうの路線免許の交渉に出向いたことで、地域公共交通会議が開催され、路線免許につながった。ちばにうの運行開始が、ちばレインボーバス高花線の新鎌ヶ谷駅への延長を促すという結果を導いた。住民が動けば、社会は変わる。


そして、フロアからは、住民が高齢化している船橋市小室地区へのちばにう停車運動に関する紹介や、はじめはちばにうに否定的だったが乗ってみてその便利さに好感をもった、との意見がありました。

そして、最後に太田誠北総線の運賃値下げを実現する会会長の閉会挨拶で無事散会となりました。

生活バスちばにうは明日運行開始1周年を迎えます。明日のいずれかの便に乗車の皆様を対象に、豪華景品が当たる抽選会を実施します。

どの便かは当日のお楽しみです。是非この機会に生活バスちばにうへのご乗車をお待ちしています。

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