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風神雷神~風の章

2021-04-14 15:22:51 | 読書

柳広司の『風神雷神』(講談社文庫)を読了。上下巻本なので、まだ半分しか読んでないことになるが感想を書いておく。

柳広司といえばコミックやアニメ、映画にもなった『ジョーカー・ゲーム』が有名だと思う。私もそれで柳広司と出会った。私のイメージでは柳広司は技巧派ミステリー作家だったが、『風神雷神』では柳広司らしさが生かせていない気がした。俵屋宗達を軸によく調べて独自の解釈をして、でもそれだけだという感じがした。D機関シリーズや『ロマンス』のように魅せられる感じがしない。

今回はちょっと残念だったが、柳広司は私が「この作家が好きだ」と思う数少ない作家さんの1人なので、次回作を楽しみにしている。

D機関シリーズが有名でこれも素晴らしいと思うが、『ロマンス』に漂う雰囲気はこれまでどの本にも感じたことがないものでとても気に入っている。一般的にイメージする“ロマンス”とはかけ離れているかもしれないが、私はこの作品を読んでこれは“ロマンス”だと感じた。大正や昭和の初めあたりが好きな人には本当にお勧めする。



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