津軽ジョンがる電源日記

『KOJO TECHNOLOGY』 電源メーカースタッフ日記

おいしい帯域 その2

2019-12-23 14:03:03 | テクノロジー
こんにちは、ジョンがる隊長です。(>_<)

先日は「おいしい帯域」というお話をさせてもらった。一言でいうと、この「おいしい帯域」というのが音楽性を生み出す上で非常に重要だという内容だった。

弊社のオーディオ部門はそもそもホームオーディオ系がメインである。その中でも電源アクセサリ関連に特化しており、オーディオ用クリーン電源は弊社主力製品のひとつとなっている。

クリーン電源を手掛ける国内メーカとしては、もしかすると老舗部類になるのかも知れない。
隊長はこの会社に入社してから丸15年経過しているが、幸いにも入社直後からクリーン電源の開発や製品化に携わらせてもらえた。
また、以前の会社でも同様製品の開発、製品化を行っており、何だかんだで25年ほど前から関わっていた。
当時の製品はSIT(静電誘導型トランジスタ)を採用したクリーン電源(DA-7シリーズ)で、今では「幻の電源」と言われており結構な賑わいを見せていた。

当時はCSE、信濃電気等のクリーン電源が台頭していて、その中に割って入り込んでいた。比較的早くに始めたのはアキュフェーズだったが、それでも15、6年前くらいだったと記憶する。
海外メーカやラックスマン等の参入は、もっと後になってからだった。

例によって前置きが長くなってしまったが本題に入る!
それはクリーン電源のチューニング(おいしい帯域)についてだ。

弊社ではクリーン電源を出力容量の違いだけではなく、聴感上の違いという形で数機種販売している。なお、製品開発に関するコンセプトは「躍動×透明感」と一貫させている。
しかし、口で言うのは容易いが、この躍動と透明感はいわゆる相反する要素を持っている。

躍動から連想する言葉として、メリハリ、抑揚、強弱と言ったところだろうか。躍動に必要なのがこのメリハリで、人はこれに動揺、感動、感銘を受けるともされている。
これは何もオーディオ(音楽)に限ったことではない。

例えば車、デザイン的に名車と言われるもののそのフォルムはどうだろうか・・・。
スポーツカー、クラシックカーなんでもいい、自分が格好いい、好きと思う車や、世間で高評価され続けている車を想像して欲しい。

大体は一見シンプルなフォルムの中に、非常にメリハリの効いた何とも言えない曲線美(ライン)だったたり、武骨な感じの中に繊細さがあったりするのではないだろうか。

家具、チェアーでも良い!
具体的には「ありんこチェアー:アルネ・ヤコブセン(デザイナー)」だろうか・・・。シンプルなフォルムの中に、滑らか且つ急峻なカーブ、曲線が使われてお何とも言えないり魅力を感じさせる。デザインされたのが1950年代というのだから、「驚き」の一言だ。

もっと言おう!
隊長の好きな女性もそうだ!(やはり真面目な話だけでは済まない・・・m(_ _)m))

パッと見てもちろん顔立ちに目が行くかと思うが(隊長はお尻フェチか・・・)、全体を見た時、前述の車や家具同様、全体のフォルム/スタイルを見ることになる。
万一その女性が「ボン、キュッ、ボン」( ´∀` )のスタイルだったら、大概の人は思わず「ワーオ! nice body!」と心の中でつぶやく!

このように、ものを形作っているこのメリハリは、人を動揺させたり感銘させたりするパワーがあるのである。
音楽も実はそのようになっている。「さび」の部分だ! 通り一辺倒のメロディではそれこそ抑揚、強弱がなく面白くないのである。
概ね4分前後の曲の中には必ず「さび」が入っているのである。歌詞が2番、3番とあればその度に「さび」がやってくる。場合によってはご丁寧にも「さび」がリピートされたりもする。
バラード曲であっても必ずある。それが無いと人は動揺しないのである。感動しないのである。結果曲も売れないのである。

ネット上の音楽配信で、短時間ではあるがり試聴できるサービスがある。実際にためしてみると、のっけから「さび」に突入している曲を最近は見かける(聴きかける?)ことがある。
これはいきなりメリハリの効いた音楽を聴かせることで、人の動揺を早々に引き出し、はなから動揺させようというものである。
またこれは、そういった人の心理をうまく活用しようとしている行為にも受け取れる。
今後はこういった動きが活発になり、音楽も短くなっていくのではとも言われている。

今一度話しを戻そう!
上記のように、オーディオ機器を通じて如何にそれっぽく(メリハリ良く)聴かせるというのが、KOJOの製品チューニングのお題目である。ハリの連続は疲れる。メリがあってこそのハリでもあるのだ。

そして相対する透明感である。
透明感から連想する印象、イメージは何だろうか・・・。
静粛、高s/n、緻密さ、繊細さ、鮮度だろうか!さわやか、スカッと感もあるだろうか。
繰り返しになるが、対峙する躍動感、メリハリの中にこの透明感を同居させるのは実は至難の技なのである。
躍動感、メリハリをもたらすということは、音質的には肉があって密度の高いものにする必要がある。それを押したり引いたりするのである。
その中に透明感、静粛感を持たせる必要があるのである。

現代の音楽の方向性は、非常に広帯域である。ハイレゾ音源などもそれに該当するだろう。しかし、この広帯域化は時に腰高な高域よりのものになる可能性を含んでおり、透明感、静粛感を得る代償としてバランスを崩す危険性もはらんでいる。

要はバランスなのである。この折角の広帯域化も、バランスが崩れてしまっては台無しなのである。
回帰した話になってしまうが、躍動感と透明感を同居させるには、「おいしい帯域」を確保した上でのバランスが重要なのである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿