Sea side memory (4)

2006-10-06 | 自作小説:Sea side memory
 -どうして、いつも一人で、校庭を見ているんだい。
君は、何も答えなかった。
 -好きな人でも、見ているの?
相変わらず、何も答えない。
 -本当なら、あそこで、俺もサッカーをしているはずなんだけどね。足を捻挫して。
 -知っているわ。ここから見えたわ。
 -かっこ悪いところを見られたな。
 -結構、さまになってたわよ。足を引きづって、校庭を去っていくところなんか。
  でも、何かに打ち込めるものがあるって、いいわね。私も、、、、。
 -俺も、その他には何もないよ。確かに、何もないよりいいかもしれないけど。
  あるだけに、その他の時間が空白なんだ。
 -私は、いつも空白。
 -ホシは、いつも寂しそうだね。
 -あなたは、いつも楽しそう。

遠くでキラッと光るものが見えた。それが、何にか目をこらして見ると、それは船だった。漁船だろうか。微動だにせず、灰色っぽい青い海に浮かんでいた。とても気持ちよさそうだ。全てを捨てて、船乗りになるのも悪くないな。でも、今の僕は海の藻屑になるのが落ちだろう。それでもいいかもしれない。

 -楽しく見える?
 -ええ、とても。廊下で、よく騒いでいるし。友達とも仲よさそうだし。
 -俺だって、寂しいよ。
 -本当に寂しいの?・・・・何か嘘っぽい。
 -本当だよ。俺が陽気に見えるのは、寂しさを誤魔化すため。
  寂しさを紛らわしているんだ。
 -紛らわせる寂しさなんて、やっぱり、本当じゃないと思うわ。
  寂しい自分に酔っているだけじゃないかしら。
 -そうかもしれないけど・・・・・・。
  確かに、ホシの言うとおりかも知れない。
  ホシは、そんな、なんと言うか、本当の寂しさって味わったことがあるの?
 -さあ、どうかしら?
そう言って、君は少し微笑んだ。そのとき、初めて君の笑顔をみた。

                        つづく

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