Sea side memory (10)

2006-12-05 | 自作小説:Sea side memory
僕は、タバコに火をつけた。タバコなんて好きなわけがない。
ただ、タバコでも吸わないと、君と対等になれないような気がしただけだ。
タバコが吸えても、大人にはなれないし、君に近づけるわけでもない。
ただ、時間つぶしにはなる。もうすぐ2時だ。

後方で砂を踏むような音が微かにした。
 ”久しぶり。”
振り返ると、そこに君が立っていた。

君に会うのは、本当に久しぶりだった。
あの日以来、3ヶ月と4日ぶりだ。
あの日、駅で別れてから、君は学校に来ることはなかった。
最初は、病気か何かと思っていた。
僕はさり気なく、君と同じクラスの知り合いに、
君がなぜ休んでいるか聞いてみたりしたが、誰も知らなかった。
理由がわかったのは、それから2日後だった。
君のクラスの担任が、転校したと級友に報告した。
高校はそんなに簡単に転校できるはずはない、
僕は君が転校したのは、嘘ではないかと思った。
転校するなら、僕にひとことあるはずだ。
僕は悩んだ末、先生に聞いてみることにした。
先生の話では、転校先を探していて、
それが急に見つかったとのことだった。
 -ホシは、家庭環境が複雑だからな。
 -、、、、おばあさんの家に住むことになった。
と先生は言った。

 ”どうしたの?私のこと忘れた?”
忘れるわけがない。忘れたら、ここに来たりしない。
 ”元気そうだね。”
 ”あなたもね。”
そう言うと、君は僕の隣に座った。

                        つづく

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