Sea side memory (5)

2006-10-12 | 自作小説:Sea side memory
 -何で、いつも校庭を見ているんだい。
君は、何も言わなかった。
 -どうして?
 -昨日も聞いたわよね。あなたには、関係ないでしょう。 
君は怒っているいようだった。
 -関係ないけど・・・・。
 -ないけど?
 -関係ないけど・・・・気になるんだ。
 -なぜ?
一瞬、ドッキリして、僕は口をつぐんだ。
なぜ?なぜだろう?自分でも、はっきりしなかった。
 -なぜだろう。たぶん、同じ校庭を眺める同志としてかな。

 -理由なんかないわよ、ただ、眺めるのが好きなだけ。
  いつも聞くから、これでいい。
  今度は、私から質問。
  あなたは、なぜ、さっさと病院に行かないの?
ベランダに出て、君にいつもように質問をしようとした瞬間に、君が言った。
突然の質問に、僕は戸惑いながら、
 -なぜだろう?
 -自分のことなのにわからないの?
  それなら、私に質問する資格なんてないと思うわ。
 -そうだね。ホシには勝てないな。
  ひとつ聞いていいかな。
 -また、質問。
 -俺の名前、知ってる?
 -マツシタくんでしょ。マツシタ ヒロト。
 -知ってたんだ。
 -なんで?
 -いつも、”あなた”っていうから、名前を知らないのかなって。
 -名前で呼ばれたいの?
 -別に、そういうわけではないけど。
 -けど?
 -ただ、単純にうれしいよ。

                        つづく

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