:〔続〕ウサギの日記

:以前「ウサギの日記」と言うブログを書いていました。事情あって閉鎖しましたが、強い要望に押されて再開します。よろしく。

★ いま明かす、私がアーミッシュに拘った本当のわけ (その-2)

2008-08-15 14:23:33 | ★ アーミッシュ




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★ いま明かす、アーミッシュに拘った本当の訳(その-2)

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=インカルチュレーション(宗教の文化への受肉)=


前回の話は、「キリスト教(今のカトリックもプロテスタントも含めて)が、ナザレのイエスの平和の教えを裏切って、戦争の一方の当事者の後ろ盾としての宗教に変質してしまったのはいつの頃からだったでしょうか?」と言う問いで終わった。

この「変質」は、コンスタンチン大帝がキリスト教をローマ帝国の国教扱いにした時期と明らかに符合する。キリスト教は、その時を境にして、ローマ帝国の中で不協和音を奏でる異分子、気持ちよく共生できない嫌な存在、であることをやめて、ローマ帝国の文化(カルチャー)に滑らかに融合・土着化した。現代的なカトリック用語で言えば、インカルチュレートしたのであった。

その結果、ローマ帝国の版図、地中海世界は、あっという間にキリスト教一色になり、その状態は、神聖ローマ帝国、キリスト教的ヨーロッパ中世を経て、前世紀の半ば(大体東京オリンピックの頃)まで続いた。

第三千年紀(2001年からの千年間)は、キリスト教にとってアジアの千年間と言われる。そして、そのためには、キリスト教はアジアにインカルチュレートする必要がある、と分かった振りをするキリスト教知識人がいる。
そのしたり顔の人士に対して、私はひどく懐疑的である。

私は、日本のカトリックの知識人たち・高位聖職者たちが「インカルチュレーション」を連発し、自分の説を都合よく組み立てるのに利用しているのを横目で見るにつけ、「あんた、ほんとに分かって物言ってるの?」と密かに心の中で問うてきた。

現に、その人たちが「インカルチュレーション」を納得のいく、説得力のある形で定義したのを、ついぞ聞いたことがなかった。みんな、めいめい自分の信条や自説に都合よく意味づけして、互いに整合性のない形で勝手に使っている風であった。また、ローマのグレゴリアーナ大学に8年間も在籍して、色んなゼミにも顔を出してみたが、当代一流の神学者たちが、誰一人「インカルチュレーション」の権威ある定義を教える者はいなかった。

無秩序な用語の都合のいい独り歩きを止めるために、ローマの聖座は公式見解を出してしかるべきだが、今もってその気配がない。既製品がなければ、手作りするしかないだろう。早速、試しにやって見よう。インカルチュレーションを正しく定義するには:

① 宗教の教義の本質、この点をはずしたらその宗教が骨抜きになる核心の部分(魂)と、その宗教が生まれた社会の文化(カルチャー)を区別しなければならないだろう。
② 同じように、ある宗教が新しい世界に遭遇したとき、その世界に固有の宗教・道徳の本質(魂)と、その世界の文化(カルチャー)も区別しなければならない。
③ さらに、宗教が新しい文化と遭遇した結果生まれる新しい文化(カルチャー)の出現にも注目しなければならない。ヘーゲル流の弁証法になぞらえて言えば、正・反・合の「合」に相当する何か新しいものである。

もう一つ、大切な点は、宗教と言うものは、決してその教義・神学が純粋な形で裸で存在することはなく、常に歴史と文化(カルチャー)の中に受肉(インカルネート)しているという観点である。それは、ちょうど道行く人がその人の目には見えない精神、魂、霊だけで浮遊しているのではなく、常にその人の個性をる表す目に見え肉体に受肉し、しかもちゃんと脱着自在の服をまとっているのと同じである。

① 霊魂
② 肉体
③ 衣服

この三つのものの区別に相当する区別を、宗教のインカルチュレーションを語るときに念頭に置いておかなければ、問題の本質を正しく把握することは決して出来ないだろう。
この区別を道具に使って、過去の宗教と文化の関係性、新しい文化との遭遇、インカルチュレーションの様態を点検していけば、キリスト教に関して、第三千年紀のアジアに何が予想され、それをどう導いていかねばならないか、また、どこに落とし穴があり、何をしてはいけないか、などが見えてくるのではないだろうか。(つづく)

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