エキスプローラーは日本ではあまり知られていませんが、遠征ヤの連中から高い評価を得ているシーカヤックです。僕は一昨年日本一周をしたジェフアレンからこのカヤックを譲り受けましたが、彼が日本一周にエキスプローラーを使った理由は「多くの困難な遠征を成功させている艇」だから、ということでした。
荒れた海での安定感、積載の多さ、実績で文句のないシーカヤックカヤックでしょう。
しかし僕はスパルタンキングを選びました。それにはいくつかの理由がありました。そして実際に使ってみて、製作者の意図以外にもこのカヤックのよさがあり、それを最大限に利用して、利用できたこそ、今回なんとか宮崎まで漕ぎぬけられたと思います。
今回はスタート前から寒波が強く、北西の季節風が強いことは出発前から分かっていました。つまり風に強いカヤックである必要がありました。さらに、風が強いときは岸ギリギリを漕ぐ必要があります。ロックガーデンや断崖絶壁の直下を50cmずれてはいけないコース取りで進む必要がありました。
これらの条件を考えると、船長が短く、ロッカーが強くコントロール性が高いスパルタンキングが最適と考えました。構造的に、風を受ける面積もキングの方が低いです。体重70kgの僕と40kg弱の荷物を積んで長いツーリングをするのに、大きな力を発揮してくれました。さらにキングはエキスプローラより5kg軽かった。毎日カヤックを岸から上げ下げするのを考えると5kgと言えども大きな違いです。
また、新品のフネを使えると言うのも実は実は大きな魅力なのです。劣化や目に見えないクラックなどがないのです。古いカヤックは絶えず艇が破損しやすいと言う問題を抱えています。それは新艇でも、雑に扱えば同じですが、新艇の方が強度が高いのは当然のことで、理想は絶えず新品のフネを使えることですが、そのようなことが出来るのは、限られた恵まれた人だけです。今回、WF社から新品のシーカヤックをお借りできたのは、ありがたかったです。
スパルタンキングの僕が最も気に入ってる性能は真横風にべらぼう強いということです。いわゆる「風見鶏現象」が、90度、270度からの風だと起こらないのです。10mを超える風の中でも大丈夫でした。つまり、風が強くなり、どこかに逃げ込むときは、横風を受けながら移動できるところにエスケープポイントを選び、風にさらされながらも逃げ込めるということです。このカヤックにこのような性能があると分かってからは、精神的に余裕を持ってこの風の九州を漕げるようになったものです。季節風の強いこの時期に16日間漕いで、停滞日が1日で済んだのが、それを証明しています。


画像提供 福岡 さださん