自燈明・法燈明の考察

宗教の大別方法

「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」

 これは平家物語の敦盛の抄にある有名な言葉です。織田信長は好んで詠んでいたとも言われていますが、今の時代では人生80年を超える様になっています。

 医学的には人間の肉体とは百五十年は生きられると言いますが、実際にはどれだけ生きていけるのでしょうか。まああまり長生きしてもどうなのか、また肉体は保っても頭がボケてしまっては、もともと意味がないとも思えたりします。

 いまの日本の政治では、人生100年とか言ってますが、そこ迄生きる事は、今の日本の社会保障制度では、苦しむだけではないのかとも思ったりします。

 さて今日のお題です。
 日蓮というか、天台大師の教相判釈が元になるのでしょうか。宗教を立て分け比較する考え方で「五重の相対」というのがあります。これは以前にもこのブログで若干触れましたが、内容としては以下の構造になっています。

 ①内外相対
 内道(仏教)と外道(仏教以外)の比較相対
 ②大小相対
 仏教の大乗教と小乗教の比較相対
 ③権実相対
 大乗の実経(法華経)と権経(法華経以外)
 の比較相対
 ④本迹相対
 法華経の本門と迹門の比較相対
 ⑤教判相対・種脱相対
 日蓮宗と日蓮正宗では異なる比較相対

 この比較相対から、日蓮正宗や創価学会では、自分たちの宗教が正しく、他の宗教は劣っているという事を主張しています。確かに観点的にはとても良く出来ていると思いますが、単に宗教の表立った形を評価するのは、さして意味が無いかなと私は最近になり考えています。

 具体的に言えば、確かに世にある宗教の「表立った教義」を見て比較して、それにより「私達は絶対的に正義の教えなんだ!」なんて言っていながら、その一方では「御本尊ちゃま!お願い!叶えて!」なんてやっていたり、「(自分達が考えている)正しい手続きに基づき印刷された文字曼荼羅」が正しく、それ以外の手続きによる文字曼荼羅を「偽物!」なんて言っている時点で、結果としてその宗教とは「外道」になっている訳です。

 だって仏教が「内道」と言うのは、自分自身の「心の内」にすべて求めるモノが収まっており、それを探求する教えであるから「内道」だというのです。

 やれ「御本尊様〜!」とか言ってたり、またその紙幅の文字曼荼羅を本物だ偽物だと言ってみても、所詮、それらは「自分自身の心の外」ばかりを見ている訳であり、それは「外道」と同じではありませんか。そのどこに自身の心の内面を見る視点が有るのでしょうか。

 思うに人類社会にある宗教とは、大別するとこの「自身の心の内面」を見るものと、「自身の心の他に」救いを求めるモノの2つに大別されますよね。そしてこれは一人ひとりの宗教に対する理解や認識に依って判別されるものだと思います。

 仏教は確かに教学体系としては、人の心の内面をみていますが、何故か信仰する段になって、やれお釈迦様とか、やれ日蓮大聖人だとか、阿弥陀仏や盧遮那仏(大日如来)とか、様々な存在におすがりする信仰になっています。
 一方でキリスト教において、そこにある教義は聖書であったり、一神教的な体系なのですが、そこから自身の内面に対する洞察を深めていき、心の内省を薫発する信仰観にたどり着く人もいます。

 ここから考えると、教えとは導入部であり、そこから外道的信仰となるのか、内道的信仰になるのか、そこは個々人の捉え方とか、認識によって様々な事なんでしょう。けして単に組織的な宗教によって分類出来るものでは無い様です。

 「お祈りすれば問題解決出来るから、ええやん!」
 「信仰体験により、幸せになれれは良いだろ!」

 そんな声もあるかもしれません。信仰をご利益得られる手段として捉えるだけなら、それもありかもしれません。しかし往々にして、外道的な信仰をする人達は、結果として心の自由、要はマインドの自由というのを剥奪され、やもすると宗教貴族と言われる人達に、人生を利用される傾向がありますよね。

 果たしてそれで良いのでしょうか。

 教相判釈(宗教の分類・判別)には、そこいら辺の目的が本来あるのであって、何も特定な宗教や宗派に優越感を得させるための理論では無いと思います。

 果たして自身の信仰が、より自身を向上させるものであるのかどうか。そう言った観点を持つべきではないでしょうか。




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