自燈明・法燈明の考察

記憶と自我の考察

 このブログの記事更新、最近はかなり滞っていました。

 最近の私は仕事や趣味に軸足をかなり移していて、こちらのブログの更新にあまり力点を置いていませんでした。

 今の世界には様々な矛盾が渦巻いていますし、Twitterを覗いているとそんな事をひしひしと感じます。私が創価学会に若い時代注力してきたのは、こんな世界にするためでは無かったんですが、偶に若い時代を共に過ごした人たちと会話をすると、まったく同床異夢であった事を感じてしまうのです。

 日蓮が「三度国を諌めて用いなければ、国を捨て去る」という故事にならい、鎌倉の都を去ったのも、実は似たような感覚であったのかもしれないと、ふと思うこともあったりするのです。

 とまあ最近の心情を書くとこんな感じでしょうか。

 でも人生とか心の有り様と社会の姿、また自分がこの人生でどの様に生きていくべきか、ということについては思考が止まることもなく、先日に自身が大病を患った事を切欠にして、より考えたりするようにもなりました。

 臨終正念というのは、けして絵空事ではありませんからね。

 さて、この人生は誰しもが何れは離れなければなりません。これは貴賤貧富関係なく、全ての人達に関係する事です。毎度いう事ですが、このブログを読んでいる人は、どんな人であっても例外なく、百年先には等しく骨壺に入り、墓の中に入っている事でしょう。

 この自分の人生を何時かは離れなければならない現実を受け入れる為には、やはり「自分」というものを正しく認識する必要があります。これは私の個人的な意見なので「そんな事は必要ない」という人を私は否定するつもりはありません。でもこの世界、仏教では「娑婆世界」と呼んでいますが、この世界から離れる際には、今の人生で身に着けた地位や名誉、また経済的なものは全て捨て去らなければならないのです。またこの世界で家族や友人として生きて来た人間関係も強制的に捨てなければなりません。

 そうなると、そもそもこの世界を生きて来た「自分」という存在を理解していなければ、この人生を離れる時には大なり小なり混乱をしてしまうのではないでしょうか。仏教では四苦の中にある根源的な苦悩を「死苦」と呼んでいますが、その苦しみの一つには、こういった「自我=自分」を理解していない事から起きる混乱があると思うのです。

 これは個人的に考えている事ですが。

 さて、では「自我」とは何なのか。それはこのブログでも以前に書きましたが、それはご自身の事を考えてみれば、すこし実態の一部が理解できると思います。

 私の場合には幼稚園児の時の私、また小学校から高校生の頃の私、そして今の私が「同じ自我」であると信じる根拠は「記憶」にあると考えました。私はこの「自分」を考えていく中で、過去の自分、例えば幼稚園の頃の自分と、今を生きている自分は果たして「同一=一貫した自我」なのかという事を深く考えてみましたが、どうも違和感を感じる事もあったのです。私が同一だという根拠は過去の記憶を如実に思い出せるからという事以外に根拠はありません。この過去の記憶、これは自分の周囲の状況やそこでの出来事、またその事で自分はどの様に感じたてどの様な感情を感じたのかを思い出す事が出来ますが、この記憶を抜きにした場合、果たして自分が「一貫性を持っている」という根拠を見いだせなかったのです。また当時と同じ出来事にいま遭遇したとして、感じる事というのは今の自分とは違う事になると思いました。これは一般的には「人生経験のせいだろう」と考えられると思いますが、どうもそれだけでは無いと思うのです。

 この様に考えていくと、実は人生の中で大事な事とは「記憶=思い出」であり、それが現在を生きる自分にとって如何に大事な事なのかが理解できると思います。仏教で言う「死有(死ぬ瞬間)」を越えて持っていけるのは、この記憶しかありませんし、この記憶こそが「自我」の根拠にもなっています。こういう事を考えてみると、日蓮が持妙法華問答抄で「願わくは、「現世安穏、後生善処」の妙法を持つのみこそ、ただ今生の名聞、後世の弄引なるべけれ。すべからく、心を一にして南無妙法蓮華経と我も唱え他をも勧めんのみこそ、今生人界の思い出なるべき。」と述べた背景には、こういった事も関係していたのかもしれませんね。

 この記憶は日々、瞬間瞬間、私たちは創り出していきます。であればどの様な記憶を造り出していくのか、そこをもう少し大事に考えなければならないのかもしれません。私達は日々惰性の中で生きて、そこで流した生活をしてしまう事をしてしまうの者なので、そこに少しでも意識を向けていく事が大事なのかもしれません。


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