8月25日の新刊書、新潮選書『ドイツ病に学べ』を読んだ。
http://book.shinchosha.co.jp/cgi-bin/webfind3.cfm?ISBN=603569-3
筆者の熊谷轍氏はもとNHKワシントン特派員。フリージャーナリストになった後にドイツに定住したというところが異色だ。
管理人はもともと東西ドイツの統一から生活水準が平準化するには30年はかかると見ていたが、現在のドイツははるかに悲惨な状況にあるらしい。
同書では、1)ドイツの実質GDP成長率は0.9とEU25カ国中ビリから3番目、2)全ドイツ自動車クラブでの顧客満足度でメルセデスは32位(1位はトヨタ、2位はスバル、3位はホンダ、4位はマツダ、5位は日産、6位は三菱、7位はスズキで8位がポルシェ)、3)潜在的失業者も含めるとドイツの失業率は16%などという衝撃の事実が明らかにされた後、コール元首相もついに統一に対する見通しが甘かったことを告白したことを述べる。
こう紹介すると統計だけの書物のように思われるが、1980年代には西ドイツには身なりがきちんとした人が多かったのに2006年では運動靴を履きトレーニングウェアを着ている人が目立つようになったとか、知り合いにもホームレスになった人物がいると紹介するなど、ジャーナリストとしての嗅覚を交えている著述が好感を持て、ただの学者論文とは違うところだ。著者によるとこれは「富の偏在」のせいだという。
また、職人たちは、中欧からの手工業者の流入で職を奪われているとか、年金改革で一番損するのは30歳から50歳の勤労者でごっそり保険料を払わされるのに本人は63歳まで働かないと年金がもらえず、しかも支給額は大幅に減らされるという(なにしろ2050年には100人で115人の年金生活者を支えるというのだから大変な話だ)このへんは日本と似ているところもあれば違ったところもある。
また、失業女性が問題意識を持つに至り国会議員になったとの報告や、失業者はSPD(社会民主党)が社会的弱者に配慮していないという不満があるなどの記述はどこかの国のとこかの党にとっても参考になるだろう。
個人的には複合的大企業シーメンスのことについては詳しかったがボーダーフォンによって吸収されたマンネスマンのことも知りたかった。
いずれにせよ、日本の将来を見据えての好著、お勧めの一冊である。
http://book.shinchosha.co.jp/cgi-bin/webfind3.cfm?ISBN=603569-3
筆者の熊谷轍氏はもとNHKワシントン特派員。フリージャーナリストになった後にドイツに定住したというところが異色だ。
管理人はもともと東西ドイツの統一から生活水準が平準化するには30年はかかると見ていたが、現在のドイツははるかに悲惨な状況にあるらしい。
同書では、1)ドイツの実質GDP成長率は0.9とEU25カ国中ビリから3番目、2)全ドイツ自動車クラブでの顧客満足度でメルセデスは32位(1位はトヨタ、2位はスバル、3位はホンダ、4位はマツダ、5位は日産、6位は三菱、7位はスズキで8位がポルシェ)、3)潜在的失業者も含めるとドイツの失業率は16%などという衝撃の事実が明らかにされた後、コール元首相もついに統一に対する見通しが甘かったことを告白したことを述べる。
こう紹介すると統計だけの書物のように思われるが、1980年代には西ドイツには身なりがきちんとした人が多かったのに2006年では運動靴を履きトレーニングウェアを着ている人が目立つようになったとか、知り合いにもホームレスになった人物がいると紹介するなど、ジャーナリストとしての嗅覚を交えている著述が好感を持て、ただの学者論文とは違うところだ。著者によるとこれは「富の偏在」のせいだという。
また、職人たちは、中欧からの手工業者の流入で職を奪われているとか、年金改革で一番損するのは30歳から50歳の勤労者でごっそり保険料を払わされるのに本人は63歳まで働かないと年金がもらえず、しかも支給額は大幅に減らされるという(なにしろ2050年には100人で115人の年金生活者を支えるというのだから大変な話だ)このへんは日本と似ているところもあれば違ったところもある。
また、失業女性が問題意識を持つに至り国会議員になったとの報告や、失業者はSPD(社会民主党)が社会的弱者に配慮していないという不満があるなどの記述はどこかの国のとこかの党にとっても参考になるだろう。
個人的には複合的大企業シーメンスのことについては詳しかったがボーダーフォンによって吸収されたマンネスマンのことも知りたかった。
いずれにせよ、日本の将来を見据えての好著、お勧めの一冊である。