次世代総合研究所・政治経済局

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レバノン問題へのシリアの関与

2006年08月07日 23時00分16秒 | Weblog
 5日電子版FTがシリアについて興味深い取り上げ方をしている。

 ハリリ・レバノン首相の暗殺により、国際世論の圧力でレバノン撤退を余儀なくされたシリアが、今回のレバノン戦争で、ヒズボラに対する影響力によって国際的孤立から脱するチャンスがあり、かつ、ヨーロッパ諸国はそれを注視しているというのだ。

 仏英両国は反対しているが、シリアはイランの兵器のヒズボラへの提供経路になっていると言われており、西、独両国はシリアをレバノンに関する議論に加えた方がいいと判断している模様だ。現にスペイン外相がシリア外相と先週ダマスカスで会談、シリアはここでヒズボラへの影響力行使に意欲を示したという。また、イタリアはより積極的にシリアやイランの関与を求めている。

 ドイツ外相もダマスカスに特使を先週派遣、レバノン問題の解決と引き換えに経済援助をすべきとし、マスコミに「シリアはこの地域で孤立させるには重要すぎる」とも語っている。オルメルト・イスラエル首相はシリアは信用できないがドイツの動きは止めないという。

 シリアにはゴラン高原からイスラエルが撤退するまでレバノンは和平に応じるべきではないという明確な主張もある。一方、レバノン外相は、レバノンへの国際部隊の配置は第2のイラクを作るだけだとも述べており、これらは理想論だけではうまくいかない中東の難しさを示している。