新古今和歌集の部屋

春歌下 山吹、春歌上 巻末桜 筆者不明断簡コレクション



みねのさくらはちりはてぬらん
          皇太后宮大夫俊成
こまとめて猶水かはむやまぶきの
はなのつゆそふゐでのたまがは
  堀川院御時百首哥たてまつりけるに
          権中納言國信
いはねこすきよたきがはのはやければ
なみほりかくるきしのやまぶき
  題しらず    厚見王
かはづなくかみなびかはにかげみえて
いまやさくらむやまぶきのはな
  延喜十三年亭子院哥合哥
          藤原興風



  千五百番哥合に
          右衛門督通具
いそのかみふるのゝさくらだれうへて
はるはわすれぬかたみなるらむ
          正三位季能
花ぞみるみちのしばくさふみわけて
よしのゝ宮のはるのあけぼの
          藤原有家朝臣
あさひかげにほへる山のさくらばな
つれなくきえぬ雪かとぞ見る
 
 


新古今和歌集巻
 第二 春歌下
(百首歌奉りし時)
         (藤原家隆)
(吉野川岸のやまぶき咲きにけり)嶺のさくらは散りはてぬらむ
 
よみ:よしのがわきしのやまぶきさきにけりみねのさくらはちりはてぬらむ 隠
 
備考:本歌:吉野川岸の山吹吹く風に底の影さへうつろひにけり(古今集巻第二 紀貫之)
 
備考:
正治二年後鳥羽院初度百首。

          藤原俊成
駒とめてなほ水かはむ山吹のはなの露そふ井出の玉川
 
よみ:こまとめてなおみずかわむやまぶきのはなのつゆそういでのたまがわ 隠
 
備考:文治六年三月五社百首で春日社奉納山吹。本歌:ささのくま檜隅川に駒止めてしばし水かへ影をだに見む(古今集巻第二十 神遊びの歌)


          源国信
岩根越すきよたき川のはやければ波をりかくるきしの山吹
 
よみ:いわねこすきよたきがわのはやければなみおりかくるきしのやまぶき 隠
 
備考:
堀河院百首

          厚見王
かはづなく神なび川に影見えていまや咲くらむ山吹の花

よみ:かわずなくかみなびがわにかげみえていまやさくらむやまぶきのはな 隠

備考:
万葉集巻第八 1435。

          藤原興風
(あしびきの山吹の花散りにけり井手のかはづは今や鳴くらむ)

よみ:あしびきのやまぶきのはなちりにけりいでのかわずはいまやなくらむ

備考:亭子院歌合



巻第一 春歌上
          源通具
いそのかみふる野のさくら誰植ゑて春は忘れぬ形見なるらむ
 
よみ:いそのかみふるののさくらだれうえてはるはわすれぬかたみなるらむ 隠
 
備考:以下千五百番歌合。本歌:石上布留の山べの桜花うゑけむ時をしる人ぞなき(後撰集 遍昭)

          藤原季能
花ぞ見る道のしばくさふみわけて吉野の宮の春のあけぼの
 
よみ:はなぞみるみちのしばくさふみわけてよしののみやのはるのあけぼの
 
備考:本歌:立ち代わり古き都となりぬれば道の芝草長く生ひにけり(万葉集巻第六1048 田辺福麻呂歌集)

          藤原有家
朝日かげにほへる山のさくら花つれなく消えぬ雪かとぞ見る
 
よみ:あさひかげにおえるやまのさくらばなつれなくきえぬゆきかとぞみる 隠
 
備考:本歌:朝日影にほへる山に照る月の飽かざる君を山越しに見て(万葉集巻第四495 田部櫟子)







 
令和元年10月25日 伍點弐
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