つれづれ日記(仮)

今年から入所施設で働いています。

アルコール依存症

2010-01-20 22:25:57 | 研修・講演
アルコール・薬物問題 全国家族フォーラムへ参加してきました。


アルコール依存症の当事者の集まりではなく、その家族の会です。最初、「当事者置き去りじゃないか?」と邪推していたのですが、アルコール依存症の問題の一つに家族を巻き込んでしまうことが挙げられるため、家族は家族としての当事者性があるのだなと知ることができました。


このフォーラムに行こうと思ったのは、私の大好きな漫画家の西原理恵子さんが講演をされるということを知ったから。彼女は、実父がアルコール依存症、義父がギャンブル依存症、夫がアルコール依存症というすさまじい経験者。


今回は特に夫の話がメインで、すでに私が知っていることもお話いただいたのですが、「辛い記憶って人はいい記憶に上書きすることがあるじゃないですか?だから夫が家でどうだったかってあまり覚えていないんですよ。一つ思い出すとだーっと全部思い出してしまいそうなこともあって、思い出せない。」と言っていたのが印象的でした。


夫がもうどうにもならなくなって、自分自身を見つめなおしてもらうために離婚しその後、夫は依存症を治して復縁されるのですが、
「あと1年早く離婚してあげてたら、あと1年子ども達の成長を一緒に見ることができた。依存症を治して家に帰ってきたときには癌が進行していて家族4人で生活できたのは半年しかなかったから。家族ががんばったって依存症は治せない。専門家にきちんと見てもらって治してもらうのを家族は後方支援することしかできない。」
と言っていたのも感慨深かったです。



アルコール依存症への偏見、私も持っています。今もまだ持っていると思います。自分はふだんお酒が美味しいとあまり思わない&飲めないのも手伝ってそういう認識がありました。

でもアルコール依存症はだれでもかかることのある病気。だらしのない人間、意志の弱い人間がなるものだという偏見で自分はアルコール依存症ではない!と思って何の治療もしていない人が多いと聞きます。また、家族も日々巻き込まれる事態に疲弊し助けを求める気力すら残っていないと聞きます。当事者や家族が気付き、自分たちから専門家のドアを叩くことは困難な病気だと思います。

頭が痛かったら熱を計ります、熱があったら病院へ行きます。
足が痛くて歩きづらくても病院へ行きます。
アルコール依存症の症状は深刻に受け止められず、ただの大酒のみ、酔って絡む人、飲むと人格が変わる人、お酒が大好きで毎日飲んでしまう人という程度の認識ではないでしょうか?
当事者も家族も頭が痛いとか、熱があるとか、足が痛いとかわかりやすい症状であれば病院へ行く。けれどもアルコール依存症のわかりづらい症状に気づけない、だから自分たちから病院へ行くことは困難な病気なのではないかと私は思います。

いろいろな病気がありますが、風邪や怪我とは違って患者が来院するのを待っているという体制ではアルコール依存症は長年にわたって放置されるし、そのことによって重症化、家族崩壊→修復不可能というところまで陥ってしまうのではないかと想像しました。



だからアルコール依存症が軽いうちにアラームになるようなセーフティネットが必要だと思います。


今回のフォーラムでは「社会への啓発」ということが何度か言われていましたが、それも一つの方法だと思います。
啓発が進めば「あれ?これってアルコール依存症の症状じゃないかな?」
と当事者自身あるいは周囲の人が気づくこともあるでしょう。しかし、それでは不足している気がします。


定期健康診断や内科受診がセーフティネットになることは難しいでしょうか?

内科医でもアルコール依存症の知識がない人もいると知りました。アルコール依存症の当事者は当然、肝臓が悪く、また飲酒過多の影響で静脈瘤が破裂して吐血し救急車で何度も運ばれているということもあるそうです。それでも診察した医師は「あなたはアルコール依存症だ」とは言ってくれなかったそうです。




なんだかとりとめがなくなってしまったのでこの辺で終わりにしたいと思います。
まだまだ知らないことがありすぎる。