ずっと気になりつつもなかなか読む機会のなかったこの本。
大正にはじまり・昭和・平成まで続くある一族の実録的小説です。
作者は佐藤愛子。
父親は大正期の人気作家・佐藤紅緑
異母兄は詩人・サトウハチロー
とぱっと見華麗な文学一家のようですが、
内実はかなりすざまじい。
登場人物のほとんどが故人とはいえ
実名でここまで書くか・・・と。
時代的にかぶっていて、自分の一族を書いた小説としては
北杜夫の「楡家の人々」がありますが、
こちらは事実をモチーフとしつつも名前や家族構成を微妙に変えていて
フィクション部分が多いようです。
(こちらは書かれた時点で一族のほとんどが存命だったという事情もあると思いますが。)
この本、文庫本でも600ページ×3巻とかなりのボリュームなのですが、
読み始めると止まらない。
紅緑と正妻との間には4男1女
芸者さんとの間にも男の子一人(この子はのちに劇作家になります)
にもかかわらず、いい歳になってから自宅に居候していた女優に一方的に狂い、
半ば強制駆け落ち状態となり生まれたのが作者を含む1男2女(男子は早世)
正妻と離婚し、女優と入籍します。
ハチローは正妻の長男ですが、複雑な環境からか早くにグレてしまい、
10代で結婚するもうまくいかず、
運よく詩人として成功してからも女癖が悪く、
妻妾同居とか3回の結婚とか、中学生に手を出すとかもうむちゃくちゃ。
その生み出す詩の内容からは考えられない生活ぶりです。
ハチロー以外の紅緑の息子たちは、結局自力で生活できず、
その最期も戦死、原爆死、心中。
ハチローの息子たちもほとんど自活できず、
二人が野垂れ死に。
その子供たちもまた似たような定職につかない人生。
作者の愛子先生も、裕福に育ち、お嫁に行ったと思いきや2回の離婚。
(一人目は麻薬中毒、二人目は借金地獄。)
その姉も平凡な主婦だったはずなのに晩年にぷっつり。
(表面上はまともな人として人生を全うしますが)
もっと優雅な大河小説的なものと想像していましたが・・・
いい意味で裏切られました。
明るい材料などほとんどないはずなんですが
エネルギッシュな小説でした。
これが、作者の気合と筆力というものでしょうか。
読み切った後は清々しい気持ちになりました。
大正にはじまり・昭和・平成まで続くある一族の実録的小説です。
作者は佐藤愛子。
父親は大正期の人気作家・佐藤紅緑
異母兄は詩人・サトウハチロー
とぱっと見華麗な文学一家のようですが、
内実はかなりすざまじい。
登場人物のほとんどが故人とはいえ
実名でここまで書くか・・・と。
時代的にかぶっていて、自分の一族を書いた小説としては
北杜夫の「楡家の人々」がありますが、
こちらは事実をモチーフとしつつも名前や家族構成を微妙に変えていて
フィクション部分が多いようです。
(こちらは書かれた時点で一族のほとんどが存命だったという事情もあると思いますが。)
この本、文庫本でも600ページ×3巻とかなりのボリュームなのですが、
読み始めると止まらない。
紅緑と正妻との間には4男1女
芸者さんとの間にも男の子一人(この子はのちに劇作家になります)
にもかかわらず、いい歳になってから自宅に居候していた女優に一方的に狂い、
半ば強制駆け落ち状態となり生まれたのが作者を含む1男2女(男子は早世)
正妻と離婚し、女優と入籍します。
ハチローは正妻の長男ですが、複雑な環境からか早くにグレてしまい、
10代で結婚するもうまくいかず、
運よく詩人として成功してからも女癖が悪く、
妻妾同居とか3回の結婚とか、中学生に手を出すとかもうむちゃくちゃ。
その生み出す詩の内容からは考えられない生活ぶりです。
ハチロー以外の紅緑の息子たちは、結局自力で生活できず、
その最期も戦死、原爆死、心中。
ハチローの息子たちもほとんど自活できず、
二人が野垂れ死に。
その子供たちもまた似たような定職につかない人生。
作者の愛子先生も、裕福に育ち、お嫁に行ったと思いきや2回の離婚。
(一人目は麻薬中毒、二人目は借金地獄。)
その姉も平凡な主婦だったはずなのに晩年にぷっつり。
(表面上はまともな人として人生を全うしますが)
もっと優雅な大河小説的なものと想像していましたが・・・
いい意味で裏切られました。
明るい材料などほとんどないはずなんですが
エネルギッシュな小説でした。
これが、作者の気合と筆力というものでしょうか。
読み切った後は清々しい気持ちになりました。