goo blog サービス終了のお知らせ 

NOBODY KNOWS

本、漫画、映画を中心に日々読んだり観たりしたもので、ツボにはいったものの感想を書いていきたいと思います。

ザ・万歩計

2011-05-27 21:59:31 | 一般本
「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」「プリンセス・トヨトミ」と
独特の不思議ワールドが持ち味で、
その作品がことごとく映像化されている万城目学さんですが、
エッセイも出しています。

その初エッセイ集だという「ザ・万歩計」

子供時代から、学生時代、会社時代、はたまた執筆無職時代のエピソードから
または筆者の妄想ワールドまで、薄い本ながらも内容はみっちり。

特に秀逸だったのが「御器齧り戦記」
そう、ゴキブリとの戦いです。

奴らとの数々の戦い、そのネーミングに爆笑し、
奴らに対する対応パターンの分類に妙に納得し、
奴を責任を持って一人で倒したときに真の大人になるという言葉に感嘆を禁じえませんでした。


普段、エッセイの類は時間つぶしの雑誌感覚で文庫本を買い、
その9割は半年以内にまとめて売り飛ばしてしまう私ですが、
この本は読み終わった後も繰り返して読んでしまいました。

数年ぶりに本棚に保存するエッセイとなりました。











戦争を知らない人のための靖国問題

2006-07-18 01:58:34 | 一般本
 夏になるとこの手の本を読むことが多くなります。

 元々歴史は子供の頃から好きで、日本史は明治以降の近代史が一番好きなのでこのあたりのことに描かれた本は片っ端から読んでいるのですが、靖国問題を正面から扱っている本を読んだのは恥ずかしながら初めてでした。

 作者の上坂冬子さんの文章はエッセイしか読んだことはありませんでしたが、この年代の女性には珍しく、客観的かつ鋭い分析の文章をかかれる方だという印象がありました。

 この本もまさにそうでした。
私はかねがね、中国や韓国の靖国参拝や教科書に関する横槍は難癖としか思えなかったのですが、自分の中で理論として整理できていなかったので歯がゆい思いをしていました。

 しかし、この本を読んで、サンフランシスコ条約に署名していない中国や韓国が戦犯に関して文句を言う筋合いが法的にないのだと言うことがはっきりしたので、非常にすっきりしました。

 そして、そのことを言明し、中国や韓国にピシッと言ってやる政治家が皆無なことに失望しました。知らないなら国会議員として不勉強だと思うし、もし知ってて言わない人が多いというのなら、もっと問題です。
 
 大体、国家財政が赤字なのに、反日をあおる中国に3兆円もくれてやる必要がどこにあるのかと思います。あいつら、感謝なんかしてないよ、絶対。
 韓国だって今、反日映画が史上最大の大ヒットを飛ばしてるそうです。現実にはありもしない戦前の条約で、日本が朝鮮半島の統一に難癖をつけてくるという設定の映画らしいです。もし、反対のことを日本人がやれば、韓国人は黙ってないでしょう。いくら韓流が流行ったところで、結局浮かれているのは日本側だけということです。

 今年、小泉首相が靖国参拝を8月15日に行えば、この一点で私は彼の存在意義を認めようと思います。でもまた日にちをずらすようなことがあれば、やはりパフォーマンスのみの偽者だったということで結論付けるでしょう。できれば、最後に有終の美としてびしっと決めてほしいところですが。


 

国家の品格

2006-04-29 00:01:07 | 一般本
 作者の藤原正彦さんが某週刊誌で対談していたのを読んで、興味がでたので読んでみました。

 おおむね私が常日頃抱いていた感覚と近いものがあったので、すんなり内容には入っていけました。


 この本を一言で言うと「論理より情緒」なわけですが、かなりアメリカ文化に汚染されたとはいえ今でもその考え方は基本的に日本人の感覚には合うんだと思います。

 私自身も十代からアメリカ文化にかぶれたくちですし、洋楽も洋画も今でも大好きです。

 また、アメリカには何回か行っていますが、あちらに行っていつも思うのは「長くは住めないな」ということ。いいところもあるけど(おそらく論理)何かにつけ無神経というか、大雑把なところが日本人としては耐えられないというか(ここが情緒かな)
 そもそもパリス・ヒルトンのような生き物がもてはやされる国ってやっぱりおかしいと思うな。しかし、4代目続いた金持ちであそこまで無教養で下品というのもすごいね。アメリカならではですね。まあ大統領もそんな感じだし。

 もうひとつ納得いったのは「子供には英語より国語」。
 私は学生時代から塾講師や家庭教師などでたくさんの子供の勉強を見てきました。今でもたまに頼まれるので時間のある時は親戚や知り合いのの子供の勉強をみたりしています。

 結論から言うと、国語ができない子供はどの科目も伸びません。英語はもちろんですが、数学もです。そういう子供はほぼ間違いなく読書が嫌いです。活字に触れる絶対量が少ないために、文章を読み取る能力も弱いしボキャブラリーも少ない。あと性格の良し悪しは別として、年齢に比して幼いというか世間知らずが多いのも特徴。
 
 ついでにいうと、今の教科書は馬鹿を養成したいのかと思えるくらいびっくりするほど内容が薄いですわ。そりゃちょっと物事を考える親なら無理してでも私学に入れようという気持ちは本当によくわかります。

 まあ教える側にも問題ありなんだろうけどねえ。そういえば、自分自身の経験に照らしても小・中・高と国語の授業なんてろくなもんじゃなかったしなあ。

 それに藤原先生のおっしゃる通り、実社会では英語ができるだけで、その他使えない人って確かにいますね。

 ・・いやいや私にとってはなかなかいい本でした。
 


流転の王妃の昭和史

2006-02-05 02:44:43 | 一般本
 

 清朝最後の皇帝にして、満州国の皇帝でもあった愛新覚羅溥儀の弟溥傑に嫁いだ日本人女性、愛新覚羅浩さんの自伝です。
皇室にゆかりある華族の生まれながら、むしろそのために軍部主導で政略結婚をさせられます。
 その後満州国での不遇な扱い、満州国崩壊後の別離・逃亡・軟禁の日々、帰国後の長女の不慮の死、夫溥傑氏との再会、中国帰国後の文化大革命・・まさに流転の人生を歩んでこられた方です。

 確か亡くなられた時にニュースになったので、それを見て初めて溥傑氏の奥様が日本人であったと知りました。

 2年前くらいに、常盤貴子、竹之内豊のコンビでドラマ化されてましたね。
ドラマそのもののつくりはちょっと陳腐でしたが、主演のお二人の熱演で救われていた感じでした。

 文章は素人の書いたものなので少し読みにくいところもありますが、見たことや感じたことをかなり率直に書かれているという印象をうけました。いい意味でも悪い意味でも当時の上流階級の女性の考え方が良く出ていると思います。
 
 ただ、最初は政略結婚であっても、時代の波に翻弄されても、溥傑さん、浩さんの夫婦としてのゆるぎない信頼やお互いを思いやる気持ちは本当に感銘をうけました。

 

 

ミカドの肖像

2006-02-03 23:55:31 | 一般本
 ミカドつながりでもう一つ。
 猪瀬直樹さんの代表作ですね。
 
 いやあ、読みにくくて時間のかかること。しかもまとまりなし。
 西武の創設者堤康次郎が、終戦後旧宮家の土地を買いあさるくだりはまだ面白かったのですが、フランスのデュオ”ミカド”ミュージカル”ミカド”、アメリカ、ミシガン州の田舎町”ミカド”・・要するに色々”ミカド”の語源をたどることでその実像を明らかに・・ということらしいですが、結局収集がついてないです。

 これも十数年前かなりベストセラーでしたよね。
 どうも、下流社会同様、内容のよさで売れたとは思えませんね。
 
 文庫はある程度時の洗礼を受けているはずなのですが、それでも時々はずしますね。まあ、好みの問題もあるのでしょうけど。
 

 

下流社会

2006-01-18 03:23:06 | 一般本
 今日(すでに昨日)のニュースは阪神大震災11年目に始まり、ヒューザーの社長の証人喚問やら、宮崎事件の判決やら、大きい事が多すぎて、一昨日のホリエモン今日はすっかり過去の人ですね。でも、株価に影響与えるまでになるなんてたいしたもんだなと思ったりもするわけですが。

 今日の時事ネタには思うところはかなりあるんですが、書き出すとキリがないんで、ホリエモンから無理やり連想した本の感想を。

 やはり、最近のベストセラーにほいほい飛びつくのは間違いでした。ここんとこそれでよく失敗してるんですよね。
 
 下流社会。

 確かに今は持つものと持たざるもの、二分化しつつあるっていうのはそうだと思いますよ。書いてることもそうかなと思う部分もある。でも、何か浅いんだもの。データとってるけど、たいした数じゃないし、首都圏限定だし。分析そのものもどこかで目にしたような表現をうまくまとめた感じで、目新しくはなかったし。
 ついでにいえば、自分は下流じゃないって立場から見下してるかんじがプンプンするし。
 こう、世間の波にうまく乗せたというか、マーケティングの勝利なんでしょうね。書評に乗せられて買った自分が馬鹿なんですが。

 本はある程度時間の洗礼を受けたもののみ読もうと、改めて思いました。