大いなる勘違い ~ 早稲田MBA奮闘記

早稲田大学ビジネススクール(WBS)での入学から卒業までの記録 + その後

MBA受験 エッセイ

2008年12月31日 | MBA入試
MBAの受験で最大の評価項目は、事前に提出するエッセイである。

※あくまで私見です。

どこのビジネススクールでも、エッセイの提出は必須だ。課題テーマはMBAを目指す理由、成功体験、失敗体験等で、数問から多くて5問程度である。さっと書けば数日で書けてしまうものだが、ここが評価の最重要項目であることを念頭に、1,2ヶ月程度じっくり時間を掛けることをお勧めする。

大抵の場合、1ページ以内などの長さ制限がある。思いついたことをすべて書こうとすると、どうしても長くなってしまうので、「最も言いたいこと」だけを残して、あとは「捨てる」と言う勇気も大切だ。大事なのは、この1ページの中に、いかに説得力をもって、分かりやすく論理展開できているかである。また、試験管は膨大な量のエッセイを短期間で目を通し、評価しなければならないはずである。長文でとうとうと論理が展開されていても、頭に入ってこないだろう。その点を注意した上で、私は以下のようなアプローチを取った。

1.まず結論を書く(少しインパクトのある書き出しやワードを使った。)
2.この結論に至った理由や方法論などを3つ程度挙げる。
3.第一に、第二に、第三に、と言った具合に論理を進める。

例えば、「MBAを志す理由は」と言うような問いがあったとする。「ビジネスを体系的に・・・」みたいなのは面白くない。また、皆同じようなことを書いてくるので印象が残りにくい。そこで、

1.私の将来設計はこうだ!(インパクトを与える)
2.それを達成するには今次の3つが不足している
3.その1つ1つについて、MBAがどう解決するのかを論じる。

このような感じで論理展開を進めた。この方が、読み手も分かりやすいし、「意志の明確さ」が伝わるだろう。書く前には、論点をブレークダウンし、出来ればフレームワークで纏めてから書き始めた方がが論理の一貫性が保てると思う。


■ 早稲田MBA入試エッセイ

早稲田MBA(夜間主)の2009年度入試の課題テーマは次の4つである。

1.職歴・職業経験のなかで成し遂げたこと
2.志望動機
3.志望モジュールへの期待と入学後の研究計画
4.修了後のキャリア計画

他のビジネススクールと比べて、非常にストレートなテーマであり、かえってエッセイに落としにくいテーマである。私の経験から、他校の課題テーマの方がビジネススクールらしい設問が並んでいるので、そちらも参考にしてみると良いと思う。

この4つの課題エッセイを仕上げるにあたって、1つ気を付けるべきは、第1問目の「成功体験」から第4問目の「キャリアプラン」まで、繋がりと論理の一貫性を持たせること。ストーリー性とまでは言わないが、個々のテーマがバラバラに存在しているのではなく、それぞれが繋がりをもって、最後のキャリアプランまでを仕上げる形にしないと説得力に欠けてしまう。こう言った点も意識した方が良いだろう。


早稲田MBA 二次口述試験(面接)

2008年12月30日 | MBA入試
口述試験(面接)について、少しお話します。(あくまで私見です。)


■ 面接試験のポイント

・ モジュールごとに部屋を分けて行われる。
・ 試験管は3人でモジュールで担当となる先生方で構成されている。
・ 基本的に提出した志望理由書(エッセイ)の中の「研究計画書」の
 部分を中心に質疑応答が行われる。
・ 随所に鋭い突っ込みが入る。

突っ込みには、「かわす」や「反論する」と言うより、突っ込みを受けて「自分はこう考える」と言う意見や考察を述べる方がベターだと思う。いかにその研究課題に対して、具体性と修士論文に纏めるに当たっての戦略をもっているかと言った点を見ているように思えた。


■ 面接の風景

早稲田MBA(夜間)の2009年度入試は、一次試験通過者が85人で、最終合格者が56人だったので、約30人が面接で落ちたことになる。面接会場では、一人一人名前が呼ばれて出欠確認を行うのだが、欠席者はいないようだった。筑波の合否発表がこの一週間前にあったので、「もしかしたら」と甘い期待もあったのだが、そう甘くはなかった。

控え室では、黒板に大きく「私語厳禁」の文字が、皆重々しい雰囲気で自分の書いた「志望理由書(エッセイ)」に目を通したり、どこかの予備校が作ったのか、面接の問答集を見ながらイメージトレーニングをしている人などがいた。

エッセイには、私自身の思いの丈をそのまま書いたので、読み返すまでもなく頭に入っていた。「なぜMBAが必要か」「MBAを通して何を実現したいか」 この一年、ずっと自分自身に問い続けながら、エッセイを作り、そして明確な答えをもって受験に挑んでいる自負があるので、いまさらそこを聴かれてアタフタすることもないだろう。

問題なのは「なぜ早稲田か?」である。実はこの答えが一番曖昧だった。早稲田でなければならないと言う理由はなかった。私はビジネススクールを選ぶ過程で、消去法で最終的に早稲田にたどり着いた。だから、「これがあるから早稲田」のような強い志望理由を持っていなかった。

嘘はつけない。歯の浮くような返答をしてもボロが出る。そこで、この種の質問に対しては、あくまで複数の中から選定した結果が早稲田だった、と言うことを強調しようと考えた。ただ、志望理由が弱くなることを避けるため、他校との比較による早稲田の優位性を徹底的に検証した。

実績、実践性、モジュール制、ブランド力 ・・・・・

そして、これらの優位性が「MBAを通して成し遂げたい目標」の実現にもっとも有効であると言った論調にした。

面接は午後の組の第二部で、14:30集合だった。志望した経営戦略モジュールでは一番最後の順番だったので、実際の面接が始まったのは16:30頃だった。さすがに2時間も待たされると、これを話そうと事前に思っていたことも忘れ、無言の控え室の中で、眠くなるし、喉は渇くし。。。。

ようやく順番が回ってきて、面接室に入ると、試験管の先生方もやや疲れた表情。そりゃ、今日一日、十数人相手に同じ質問繰り返しているのだから疲れるのは当然。ご苦労様です。

事前に想定していたシュミレーションとはだいぶ違う方向に話が行って、やや熱くなってしまった感があった。研究計画書やエッセイの書き方がまずかったかな、など反省点も多くあった。とは言え、出せる力の80%くらいは出せたので悔いはなかった。ようやく終わったと言う安堵感の方が満ちていた。


早稲田MBA 一次試験(小論文)対策

2008年12月29日 | MBA入試
MBA受験にあたって、小論文対策に読んだ本を参考程度に紹介します。

早稲田MBA(商学研究科ビジネス専攻マネジメント専修)の一次試験は、MBAの基礎的な部分の知識と理解度を問う問題が多い。そのため、マーケティングやマネジメント系の基礎的な部分は押さえておきたい。(過去問が公開されているので、一度目を通しておくと、大体の傾向は掴めると思う。)


「コトラーのマーケティング・コンセプト」




「ポーター教授『競争の戦略』入門」




「ハーバード流 人的資源管理「入門」」




「経営戦略の基本」




上記4冊で、出題された課題文に出てくる用語や知識問題はカバーされていた。恐らく、経済や経営を学部で学んだ人にとっては、既に習ったことなのかと思う。私は理学部出身のため、まったくこの辺りの基礎知識がなく、読んでいて新鮮なところも多かった。実際の仕事と比較しつつ理論を注意深く理解していくと良いと思う。実際の入試では用語の理解を求める問題が複数出題されるので、そこは抑えておきたい。ちなみに、2009年度入試は以下の用語が出題された。

コンティンジェンシー理論
バリュー・チェーン分析

基礎知識の理解に加えて、毎年「時事問題」が出題される。今年は「サブプライム・ローン問題」だった。過去問を見ても「ホリエモンのニッポン放送の買収(企業の買収防衛戦略)」だったり、その年で一番ホットな話題から出題される傾向にある。この辺は新聞や雑誌など、日々の話題に目を向けて、常に自分の意見を持つようにしておくと良いだろう。


MBA受験 ~ 予備校には行くな!

2008年12月28日 | MBA入試
予備校には通わなかった。

早稲田MBAを受験する人の中で、予備校に通っている(いた)人も多いだろう。予備校での受験対策の結果、無事に合格手にされた人もたくさんいると思う。私は予備校を否定するわけではない。現に、大手MBA受験予備校ウィンドミルのホームページを見ると、ここ数年の早稲田MBA(夜間)の合格実績は50%程度で、実際の入試倍率が4倍くらいであることを考えると相応の効果がは出ているようである。

なぜ、予備校に行かなかったか。

そもそも予備校に行くという選択肢は最初からなかった。そのため、探しもしなければ、その存在すらあまりよく知らなかった。予備校を選択しなかった最大の理由は、「入試に受かること」そのものが目的となってしまうことを避けたかったからである。これまで、大学受験やTOEICの試験などでも、「合格すること」や「良い点を取ること」が目的化してしまい、結局「その後、どうする」と言うのを真剣に考えなかった、また考えることすら忘れてしまった気がしている。いわゆる「燃え尽き症候群」と言うのも、要因はそこにあるのではないか。本来、MBAを取得して社会に何らかの貢献をすることが、MBAを目指す目的でなければならない。大学院の受験は、あくまでその通過点に過ぎない。そんな思いから、私は予備校に行くことを選ばなかった。自分の「目的」と照らし合わせた結果、ROI は低いと考えた。

予備校に通わず、グロービスの単科講座を受講した。受験対策をするよりも、少しでも早くMBAのエッセンスを学びたいと考えたからだ。受講したのは「クリティカル・シンキング」と「マーケティング&ストラテジー基礎(英語)」だ。いずれの講座も非常に良かった。結果として大学院受験にも大いに役立った。

「クリティカル・シンキング」は、決断や決定、そして問題解決の際に、いかにロジカルに考え、説得力をもった結論を出していくかの手法を学ぶもので、米国の多くのMBAでは最初に受けるコースとなっている。これは、入試の小論文や事前提出するエッセイの作成にとても役に立った。論点を明確にし、ロジカルに説得力をもったエッセイが書けたのではと思っている。

「マーケティング&ストラテジー基礎」は、実際の早稲田の入試に出たValue Chainなど、このコースで事前に学んでいたことが功を奏し、的確に回答することができたと思う。

早稲田の入試に限って言えば、基礎的な知識の理解度、各基礎理論の特徴や問題点の把握、小論文で言えば、日常の問題意識をいかに論理立てて説得力を持った説明ができるか、と言ったような点を見ているのだと思う。予備校で小論文対策をやる以前に、日々の仕事や生活中で、いかにそう言った点を意識しているかが大切になる。

先に述べたように、予備校の効果は確かにある。勉強スタイルとして、合う/合わないも人それぞれだ。私は、予備校に通うこと自体を否定しているわけではなく、安易に「予備校に行く」と言う選択肢を取る前に、「なぜMBAを目指すのか」、「それを達成するのに、いま何をすべきか」を考え、予備校に行くことが相応のROI があるかどうかを熟考するべきだと思う。

私自身は、「どうしても早稲田」と言うほどの強い気持ちはあまりなかった。だから、良いと思ったMBAコースをいくつか選定し、そのどれかに受かれば良かった。MBAを取得した先に目標を置いているため、いまここで「受験」に投資するより、もっと自身の成長に繋がる投資をしようと思ったことが、結果オーライだったのかもしれない。


DiSC

2008年12月27日 | 日記/雑談

この2日間、会社の営業研修の一環で「DiSC」なるものを受けてきた。

DiSCとは、1928年に心理学者ウィリアム・M・マーストン博士により提唱された、行動心理学的な特性を基に人を「D,i,S,C」の4つに分類し分析する手法で、現在ではコーチングやネゴシエーション、セールスの一手法として、広く使われている。
※DiSCは、Inscape Publishing社の国際登録商標となっており、DiSCの「i」は小文字で表現されることになっているらしい。単にデザイン性の問題か。

D (主導)・・・ Directing, Dominace
 i (感化)・・・ Interacting, Influencing
S (安定)・・・ Steadiness
C (慎重)・・・ Cautiousness

もう少しブレークダウンすると、

D ・・・ 意志が強く、チャレンジ精神に富み、行動的で結果をすぐに求める傾向がある。達成志向が強く、成果に対する執着が大きい。

 i ・・・ 人と接することを好み、社交性が高く楽観的。周りを楽しませることを好むため、人から好感を持たれ易いが、仕事に対しては手抜きにも映る。

S ・・・ 変化を好まず、極力安定や現状維持を好む。人を助けるとこが好きで、任務遂行のために他人と協力することに重点を置く。表に立つことは嫌い。予測可能な範囲で行動するため、何事にもリスクヘッジを取る。

C ・・・ 細部に注意を払いながら、分析的、論理的に物事を進めることを好む。仕事の質を高めることを重視し、計画性をもって系統だった手順で作業することを好む。掌握している状況の範囲で働く傾向にある。

DiSCの理論では、人はこの4つのカテゴリーに分類されるようだ。それぞれが良い悪いと言うのではなく、その行動特性により、例えば
コーチングの分野では、部下にどう指示をすると、より能力を発揮できるか。セールスの場面では、どのように対応すると、より相手が心地よく感じてくれるか、と言ったような心理学的アプローチを提唱している。

ちなみに、私は「D」のタイプらしい。我が強く、達成志向・・・・的を射ているようで怖い。
評価では若干「S」の部分も出ているので、「D」と「S」二面性も見え隠れしている。


Lead & Learn 4つの問いかけ

2008年12月25日 | 経営戦略
1.率先して行動していますか?
2.お互いのネットワークを作り上げていますか?
3.共に成長していますか?
4.結果が得られていますか?

これは、日本ベーリンガーインゲルハイム社(以下、ベーリンガー)で実践している、社員の行動指針である。

12月24日付けの日経新聞に「今、若者たちへ」と題した特集記事広告があり、その中に多くの会社から「わが社の経営理念」と言うタイトルでの投稿が並んでいた。

「より良い社会のために・・・」「お客様のために・・・」「夢をつくり・・・」など、パッとしないお決まりの文句が並ぶ中、ベーリンガー社の投稿は、私にはひと際目を引くものだった。

ベーリンガー社はドイツの製薬会社である。会社が戦略を決めるとき、社員が何かActionを起こすとき、そして何か問題にぶつかったとき、社員は常にこの「Lead & Learn」と呼ばれる4つの問いかけを自分に、そして仲間にし、成功への正しい方向を見つけ出すのだと言う。

そもそも「経営理念」ってなんだろう?

グロービスの「MBA経営戦略」には、このような定義が載っている。「“経営理念”とは、企業の価値観。および、すべてのステークホルダーや社会への誓約」

私は、企業が経営を実行するために、次のような階層的な指針が必要と考えている。

Philosophy
  ↓
 Vison
  ↓
 Value
  ↓
Strategy

そして、このPhilosophyからValueまでの一連の思想・信念を「経営理念」と言うのではないかと考えている。つまり、会社がStrategy(戦略)を考え、実行するための、ある決まった思考や行動の指針が「経営理念」なのではないか。

そう考えると、ベーリンガー社以外の掲載されている「わが社の経営理念」は、到底「経営理念」とは言いがたく、当たり障りのない標語のようなものである。これで、経営者や社員は正しい経営判断や行動の判断ができるのであろうか。

日本の会社の多くは、この経営理念と言うものを明確に持っていないような気がする。当然、それは社員にも浸透していなく、「御社の経営理念は?」と聞かれて、社員がすぐに回答できる企業は少ないだろう。

昨今、企業による不祥事が相次いでいる。これも、企業がしっかりとした「経営理念」を持ち合わせていないことが原因なのではないかと思う。日経に掲載された、ベーリンガー社の「わが社の経営理念」はとても参考になった。この会社がグローバル企業に成長した理由が分かるような気がする。


英語の授業は英語で

2008年12月23日 | 日記/雑談
文部科学省が22日に出した高校の新学習指導要領案に「英語の授業は英語で行うことを基本とする」と明記された。

文科省がいったいどう言った授業をイメージしているのか分からないが、この文面だけを見ると、「一切日本語を使わず、100%英語で行う授業」のように読み取れる。

果たしてそんな授業は可能か?

授業の中での日本語使用は禁止!・・・そんなルールを作れば、生徒は意外と早く順応し、高校を卒業するころには、それが当たり前になっているのではと私は思う。当然、生徒間の英語力の差は大きく、英語嫌いの人にとってはこれほど苦痛な時間はないのだが、それでも「しょうがない。45分間無言で過ごして、英語の成績は諦めよう」と割り切ることもできるだろう。英語嫌いを助長するとの声もあるが、そもそも英語が嫌いな人は、英語でやろうが日本語でやろうが、嫌いなものは嫌いなのだ。少なくとも、私が高校生の頃を思い返すと、恐らく「その程度」のもので、さして問題はなかったであろう。

問題なのは、むしろ教師の方だ。・・・果たして100%英語で授業ができる先生がどれほどいるだろうか?単に英文科を出ただけで、外国で生活したことのない先生は多数いる。つまり、100%英語で、ある一定の時間を過ごした経験を持ち合わせていない。生徒間以上に、先生の間の英語力格差はもっと大きいのではないかと想像する。そもそも、日本人で100%英語で授業ができるだけの英語力を持っている人は、英語教師はやっていないのでは、ビジネスの世界で海外を飛び回って、バリバリ働いているような気がする。

小学校での英語授業導入のときもそうだが、文科省はいつもこの「先生の問題」には言及していない。「担任の先生が教える」、いやいやそれは無理でしょう。

英語に限らず、数学、理科、国語、結局日本の学力が低下している原因は、教科書の分量や時間数ではなく、教師の指導力の低下なのではないか。いまは、教師と言う職業が昔ほど「憧れ」ではなくなっている。優秀な学生は教師を選択しない。給料の面でも仕事の面でも、教師と言う職業が優秀な学生を引き付ける魅力を持ち得ていない。文科省は、教科書の内容や指導要領を細かくいじる前に、まずいかに優秀な教師を創出し、育成していくかを考えるべきだと思う。

アメリカの小・中・高校の教師の多くは大学院を出ている。つまり、マスター(修士)レベルの教育を受けた専門の人が教育に携わっている。逆に考えると、修士を出ないと教師になれない(なれないことはないが、なっても出世しない)くらい、学力も意識も高い優秀な人が教師になる。日本とは大きな違いである。

案ずるより生むが易し・・・100%英語の授業。発想としては悪くない。とやかく言うより、まずやっていよう。いまの先生ができないのであれば、いっそうのこと高校の英語の先生は全部外国人してみたはどうか?


MBAで身につけるべき5つのスキル

2008年12月21日 | 早稲田MBA(全般)
私は、早稲田MBAを通して、次の5つのスキルを身につけたいと考えている。

1.知識力
2.創造的思考力
3.人的ネットワーク力
4.競争力
5.生存力

1.知識力は、経営理論などを体系的かつ実践的に学び、習得することを指している。MBAに通うからには、当然MBAホルダーとして、ビジネスの世界で知識的優位性を発揮できないといけない。

2.創造的思考力は、自身の思考パターンや思考方法をもう一度見直し、よりロジカルに、かつスピーディに考える力を身につけたいと思う。経営者は、問題解決や経営判断を瞬時に的確に行はなければならない、その上でも、この「創造的思考力」は身につけておかなければならない能力である。

3.人的ネットワークの構築力。 成功するビジネスリーダーの必要最低限の能力は人のネットワークの構築力だと考えている。経営資源の4要素であるヒト・モノ・カネ・情報、これらを引き寄せる最大の吸引力は“人的ネットワークの力”である。MBAには多種多様な業界から自分を高めたいと言う野心を持った人が集まってくる。人的ネットワークを構築するうえで、これほど適した環境はないと思う。

4.競争力。 いま、急速にグローバル化が進み、世界はますます“フラット”になってきている。一方で日本に目を向けると、少子化で人口推移はマイナスに転じ、労働人口は急激に減り始めている。そのため、いずれ中国やインド、そして他の新興国等から、優秀な労働者が大量に日本になだれ込んでくる、また、そうせざるを得ない事態が来るのでは思う。そうなると、今のままでは個人の競争力の低い日本人は、勝ち残っていけないだろう。少なくとも、私はこんな恐怖感を日々抱いている。自身の競争力を強化していかないと、いずれこの波に呑み込まれてしまう。

5.生存力。 最近の金融恐慌など、世界は将来に対する“不確実性”が増している。また大規模な自然災害や、テロや宗教対立による地政学的リスクも増加し、周りを取り巻く環境がいつ急変するか分からない。どんなに優良な企業であっても、激変する社会の中で「明日」が保障されているとは言えない。そんな時代に、最終的に頼れるのは個人の生存力(survivability)だと信じている。急激な変化の中でも、それに適応し、進化し、生き抜いていくこと。この生き抜く力を持ったビジネスリーダーでありたいと考えている。MBAでの生活の中で、考え、発想し、創造し、常に自身を変革していくことで、自身の「生存力」を高めて生きたいと思う。

この5つのスキルを身につけ、「社会に変革をもたらし、挑戦し続けるビジネスリーダー」になる。このことが、私がMBAを志す最大の意味である。

■MBA大学院受験生へ

上記のことは、早稲田受験の際の志望理由書の中にも似たような内容を書いている。これから受験する方へのアドバイスとして、エッセイを書く際、自分の持っている問題意識を明確にし、それに対して、何が必要と考えているか、そしてそれがMBAにどう結びつくのか、と言うことを書いていくと良いと思う。そうすることで、MBAを目指す意義が明確に示せるのではないでしょうか。


すし屋の閉店

2008年12月20日 | 街角経済

六本木交差点から乃木坂方面に歩いて7,8分のところに「まぐろ人」と言う小さな寿司屋がある。
(正確には「あった(過去形)」 / 写真は「まぐろ人」六本木店の皆様)

板さんの苗字が私と同じだったせいもあり、非常に親近感が沸き、ランチに度々足を運んでいた。
ランチにぎりは10貫で1000円。六本木でこの値段で、かつこのクラスの寿司が食べられるところはそう無い。

そんなお店が昨日最終日を迎えた。不況の折、経営が難しく、店を閉めると言うのだ。

寿司の商品ライフサイクルは短い。食品の中でも極端に短い方だろう。その中で店の経営を安定させるには、日々一定の稼働率を維持しないと難しい。周りには、和・洋・中、様々な飲食店が立ち並び、代替品(substitute)となるものはたくさんあるため、価格も上げ辛い。同じ価格で勝負するなら、ライフサイクルの短い寿司は、中華料理などに比べて、圧倒的に利益率で見劣るだろう。そうすると、ある程度の集客力もないと立ち行かない。

やはり、あの場所でミドルクラスの寿司屋を運営するのは難しいのか。いっそ、回転寿司にして薄利多売戦略を取った方が、ビジネス客を取り込めてうまく行くのだと思う。実際、繁盛している回転寿司はこの地区にたくさんある。

最終日は、閉めると言う噂を聞きつけたのか、ランチに、店の前に長蛇の列が出来ていた。消費者は勝手なもんである。この列が普段から出来ていれば、店を閉めることもなかっただろう。

最終日のメニューも、いつもと変わらない「ランチにぎり」。サービスとして、鯨の握りが入っていた。いつものように同僚と談笑しながら、寿司をほう張り、20分程度でたいらげ、1000円を支払うと、同じ苗字の無口の板さんから、「いつもありがとうございました。」

こちらこそ、「本当にありがとうございました。」


パナソニックの交渉術 ~ 三洋電機買収

2008年12月19日 | 企業の話
パナソニックによる三洋電機TOBが決着した。

経営不振の三洋電機と、電池事業を国際的な収益基盤としたいパナソニック。両社の利害は一致しており、組み合わせとしては悪くない。本社も同じ関西だ。

面白かったのは、今回の買収に際してのパナソニックの取った戦略である。通常、企業買収をする場合、株主側の利益を考え、直近の株価にさらに30%程度のプレミアを付け提案するのが常套だが、今回のパナソニックの提案額はなんと120円。三洋電機の直近3カ月の終値ベースでの平均株価は約180円だったから、えらく低く見積もったものだ。

以前、会社の研修で、人材開発会社Wilson Learningの「Negotiation」の講座を受けたことがある。

そのとき教えられたことの一つとして、価格交渉の際の初期提案は、売り手は出来る限り高く、買い手は出来る限り安く提案する。「自分が想定している売買価格より、50%程度上積み(下積み)して提案しなさい。」

これは、そもそも売り手と買い手では価格に対する思惑が違うため、いかに自分に有利(自身の側に利益が出るよう)に価格条件を引き上げ(引き下げ)られるかが大切で、相手の想定を大きく外すことで「相手の目線を変える」と言う交渉技術である。

売り手が、いきなり想定価格(買って欲しい価格)で交渉を始めると、最終的にさらにディスカウントを強いられる羽目になり、結果として、想定価格より安い価格で売らざる得ないことになってしまう。営業をしている人であれば、何度かそんな経験をしたことがあるのではないか。

三洋電機の大株主の金融3社は、恐らく200円台後半を目論んでいただろう、仮に直近価格にプレミアを乗せて200円で交渉をスタートしていたら、今頃230~250円くらいに跳ね上がっていただろう。その点、初期提案で120円と言う、大きく相手の出鼻をくじいた交渉戦術はさすがであった。

当然、周到な情報収集も行ったうえで、交渉の“まな板”に乗る最低限の価格としてはじき出したのであろうと思う。各金融機関はそもそも三洋電機株を1株70円で買っていた。つまり、120円でも利益が出る。恐らくパナソニックは、初期提案を120円として、交渉の進捗によっては、最終的に180円程度まで引き上げる余地はあったのではと思う。

金融危機の煽りを受け、結局すぐに現金が欲しい金融3社は、交渉の長期化よりも、早く利益を確定すること優先し、131円で妥結した。外部環境もパナソニックに味方した形だ。

ただ、巨大企業を買収し、自社に融合していくのは容易なことではない。両社は重複分野も多く、それらをいかにリストラしていくのか、今後の舵取りが難しくなる。パナソニックの次の戦略に注目したい。


ビジネススクール選択、そして早稲田

2008年12月18日 | ビジネス・スクール全般
ビジネススクール・マッピング 

各ビジネススクールは、それぞれ異なった特色を持っている。
非常に実践的なところ、論理に重点を置いているところ、マーケティングが強いところ、経営戦略に強いところなど、一般に一橋や筑波は論理系、青山やグロービスは実践系との印象がある。早稲田はその中間よりやや実践色が強い印象である。

ビジネススクールを選ぶにあたって、海外ではいろんな指標があり、それに基づいて、BusinessWeekやFinancial Timesにランキングが公表される。単純に難易度のランキングではなく、授業は実践的か、どうのような分野(職種)の学生が多いか、さらに卒業生の年収など様々な角度で検証がなされている。

一方、日本には残念ながらまだそう言った調査結果は存在しない。ビジネススクールとしての歴史が浅いため、客観的な調査をするにはサンプルが少ない為だ。

日経キャリアマガジンの「MBA、会計、MOTパーフェクトブック」と言うのがある。恐らく国内MBAについて、唯一公式にランキングを出している本だ。ただ、在籍生の主観的な満足度や、学費が高い、女性が多いなど、あまり参考になるとは言えない。

ビジネススクールを選ぶにあたって、私はとにかく各大学院が開催している入試説明会に、時間の許す限りたくさん参加した。やはり実際に行ってみて、話を聴いたり、雰囲気を感じてみないと決められないからだ。

行ってみると、意外とそれぞれ特徴や印象が違うものだ。中には説明会の会場に行った瞬間に「ここはイイ・ここはダメ」と判断の付くビジネススクールもある。

説明会での内容を基に、写真のような“ビジネススクール・マップ”を作った。縦軸がビジネススクールとしての実績値(歴史年数や卒業生数、本や雑誌の出版実績などで位置づけ)、横軸は右方向が実践性の強さ、左方向がアカデミック性の強さを表している。

私自身の年齢から考えて、ここ10年くらいの間にビジネスの世界で結果を出すことが重要であり、その意味で、現時点で実績を有し、より実践性の高いビジネススクールに行く必要があると考えた。そこで右上の枠に入るビジネススクールとして、次の4つを選定した。
※昼間のみ開講や通学圏が会社や自宅から離れているところは最初から除外した。

青山学院、グロービス、立教、早稲田

さらにこの中で、社会的評価とブランド力と言うやや主観的な指標から以下のようなランキングをつけ、志望順位を確定した。

1.早稲田
2.青山学院
3.グロービス
4.立教

なぜ、社会的評価とブランド力が大事かと言うと、そこに集まる人(学生)が違うと考えたからだ、企業や社会の認知度が高く、MBAとしてのブランド力もあれば、その求心力は大きい、当然優秀な学生が集まり、より高いレベルでのディスカッションが出来るのではと考えたからだ。

ビジネススクールは、自分が何を必要とし、それを得るのに最も近い場所はどこかと言う視点で選んだ方が良いと思う。実際に足を運んで雰囲気を感じ取るのも重要で、企業派遣なら良いが、私のような私費入学は、なけなしの貯金を切り崩して通うのだから、選択ミスは許されない。

海外の大学院で日本でもMBAプログラムを提供しているTempleMcGillなども当初は視野に入れていたが、さすがに学費が高すぎて断念した。良い大学院だが、私にはそこまでの ROI は感じられなかった。


青学への思い

2008年12月17日 | MBA入試
今日、青山学院へ入学辞退願いを出した。

早稲田がダメだった場合、青学へ行こうと決めていた。
正直、受かるとは思っていなかったので、ついこの前まで気分は青学生で、表参道の街を分厚い教科書を持って歩く自分を思い浮かべていた。

青山学院は日本で一番最初に社会人向けに夜間のMBAコースを始めた大学院である。

前研究科長の伊藤文雄先生の尽力のお陰で、国内大手企業からの評価や国際的な評価も高い。

現在の研究科長・高橋文郎先生も、さすがウォートンMBA取得者で、MBAは何を提供するべきか、非常に明確なStrategyを持っている。国内でMBAを真に学べる数少ない大学院の一つであることは間違いない。

受験するに当たり、多くの大学院の入試説明会に参加したが、その中で最も印象に残り、「ここはいい」と思ったのが青山学院であった。実践性も高く、カーネギーメロンとのジョイント授業も魅力的だ。

そんな強い思いがあったので、一瞬早稲田を蹴ってでも行こうかとも考えた。

入学辞退届けについて事務局に問い合わせたところ、非常に丁寧な対応だった。青山学院MBAの満足度が高いのもうなずける。(早稲田はランク外)

大学院が始まったら、出来れば青山学院の学生とも交流を深めたいと思う。国内MBAは海外のMBAと比べればそのブランド力は格段に劣る。そのうえでも、大学院の枠を超えて国内MBAを活性化していかないといけないと思う。

選べる立場にあっただけでも光栄である。青山学院に行かなかったことを後悔しないためにも早稲田で頑張ろうと思う。


早稲田MBA合格!

2008年12月14日 | 早稲田MBA(全般)
早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻(MBAプログラム・夜間主)に無事合格した。

受験者約220人に対して最終合格者56人、この中に入っただけでも奇跡に近い。

早稲田MBAを受験する多くは受験対策予備校(河合塾KALSやウィンドミル等)に通うそうだが、予備校には通わず独学で合格できたのはよっぽど運が良かったなのだろう。

小論文対策にこれを読めと言われる「日本の論点」も実はまったく読んでいない。

代わりに何をしていたかと言うと、グロービスで「クリティカル・シンキング」やマーケティング戦略の講座を受講し、この半年ほどプレMBA的な生活を送っていた。

この選択は非常に有意義なものになった。
MBAとは何かを真剣に考えることができ、またビジネス全般についての視野が広がり、結果的にエッセイや小論文、面接でも、参考書の受け売りではない、率直な意見が書け・発言できたのだと思う。

グロービスで出会った仲間にも大いに励まされ、自分自身のモチベーションにもなった。今は彼らに感謝の気持ちでいっぱいだ。

会社の同僚や上司にも、仕事との掛け持ちで少なからず迷惑を掛けているだろう、それを容認してもらっていることに感謝したい。

そして何より、理解し支えてくれている家族に感謝の気持ちを伝えたい。