ハミなし頭絡で楽しい馬生活!日本ビットレスブライドル協会

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馬の疝痛を引き起こすもの

2019年10月20日 | 馬の医療や管理について

 ウサギでは「朝見たら死んでた、が割と普通に起こる」と書きました。これは草食獣&鳥でよく見られる現象ですが、勿論理由があります。要するに「黙って具合が悪くなってる」から、ですね。草食獣は、野生の世界では、まず寿命で大往生にはなり得ない。体調不良でよたよたした途端に肉食獣に食われてお陀仏、というのがほぼほぼ100%じゃないかと思う。なので、とにかくなにがなんでも「正常っぽくみせる」のがうまい。というか、本当にあまりよく分かってないんじゃないか、と思う時すらある。今までのケースだと、後ろ足がびっこ引くんです、という稟告で連れてこられたウサギの本当の疾患は子宮破裂&腹膜炎でした、なんていうのもありました。人間だったら七転八倒になりえるような深刻な病態なのに、飼主が理解できるのがいいとこ「びっこ」。腹痛を表現する症状がその程度だもの、ホントに困る。飼い主が病状の深刻さを全く理解してくれないしね。「昨日までは元気だったんです」。ウサギを診察する先生なら、誰でも聞き飽きているセリフ。元気そうに見せていただけですってば、となるわけですが、これが大きい診療トラブルに繋がりかねない実態がありまして(昨日まで元気だったのに、診察されたら死んじゃった、どうしてくれる、となる)、ウサギの診療をやめちゃう先生も多い。とてもよく分かります。はっきり言って、草食獣は、同じ哺乳類かもしれませんけど、全然別物、人間の常識なんか通用しません、という事は、ウサギを飼う方にはぜひともご理解頂きたいことではあります。

 馬はどうか?やっぱりどうも、分かりやすく「やばいんです」とは教えてくれなさそうですよね・・・・。

 で、ウサギでは、腹痛の原因になっているらしい原因が「毛」だったり、餌だったり、と割とはっきりしているんだけど、馬の場合、腹痛を誘発するものは何なのでしょう?「ストレス」だ、と簡単に片づけたいわけですが、この「ストレス」、馬にとっては、本当にたくさんあって、可哀そうになっちゃうんだよね・・・・。というか、そうしたストレスは結局使役されている馬に疝痛が多発している実態にリンクしている。呑気に暮らしているポニーが疝痛で死にました、という話をほとんど聞かないのは、やっぱりいわゆる「ストレス」をあんまり受けていないから、なんでしょうね。

 では、使役されている馬が被っているストレスとはなにか?図解してみました。乗馬とか競馬馬の場合です。騎乗されてる時のストレスと、厩舎にいる時のストレスと。乗っている場合は、これが基本でしょう。体があちこちガタピシしている馬がすごく多いんですが、体の痛みをあれこれかばっているうちに全体がおかしくなってしまってる可能性が高い。これを小手先のマッサージなんかで改善なんか、できるわけがない。根本をどうにかしないと。

 これに乗り手の操作が加わる。とりあえず、馬に乗りたきゃ「痩せろ」。痩せるために馬に乗るとか乗馬でダイエットなんていいますけど、これだけで振り落とされて当然と言えます。あと、手綱を引っ張ってバランスを取ってしまう乗り方をするなら、ハミを使うな。よくいます、軽速歩の時、立ち上がる時に自分の体重を下半身だけで持ち上げられないもんだから手綱を引っ張り込んで立ち上がってる人。ハミにもたれるなんて、馬を非難するバカが多いけど、ハミにもたれてんのは、人間側なんだってば。こういう乗り方をしちゃう人、初心者はほぼ全員じゃないかと思うんだけど、いつまでもそうやってる人が9割、というのが日本の乗馬の現状です。だって、指導員がそういう事を指摘しない、だけじゃなくて、自分を鍛えることを全くやっとらん人ばかりだものね。軽速歩の時に手綱を離して立つ座る、できますか?これができないなら、できるまでスクワットくらいするべきでしょ。なんもせんで要求ばかりされたら、馬がブチ切れるのは当然でしょう。おまけに鞭だの拍車だの、乗られるたびにこんなんじゃ、乗馬される=苦行以外のなにものでもない。

 あとね、夏場のアブ・ブユ・サシバエ。こいつらを防御する方策を全力で考えないと、更に事故率が上がる。馬がいる=ハエがいてもしょうがない、じゃ済まないです、これからは。虫=不衛生=病気・怪我なんだから。

 しんどくて仕方のない馬場からやっと帰ってきて、休息できる厩舎ではどうかというと。

 

 大体、乗馬クラブって川沿いにある場合が多い。土地が安くて、あまり近所に民家がなくて、割と平らで広い、というのがどうしても河川敷や、それっぽい場所になってしまうんでしょう。だから、いつも湿度が高めだというのは、考えていなければならないことだと思う。それから、濃厚飼料は、絶対に給与するべきでない。なんか、ここで人間の「常識」が出てきちゃうみたいですよね。毎日こき使ってるから、栄養のあるいい飯で、とリポビタンDを飲ませるような感覚で給餌しちゃうんでしょうけど、それやるから胃炎が起こる・で、馬ががれまくる結果になるのよ。これを一番やられてるのがサラ。若い頃、というか子供の頃から、そんな飯を給餌されている実情は、この本

に書いてありましたけど。獣医はなんも指導してないらしいなあ。なにやってんです?だから、乗馬になったサラに対しては、特に粗飼料だけにして、消化管をいたわってあげなくちゃだめです。

 馬はやっぱり草食獣ですんで、奴隷じみた日々でも、黙々と我慢してるんですよね。でも、時々ブチ切れるってわけ。日々の「苦行」に対する馬の許容レベルは、個々の馬の性格・性別・鈍感か敏感か・季節・年齢・その日の体調で日々揺れ動く。今まで見てきた奴だと、いわゆる「物見」と言われているもの・突然暴れ出す・乗り手を振り落として厩舎に逃げ帰る・色々あります。他にもありますよね、鞍付けを嫌がる・ハミを付けさせたがらない・どこかちょっと触ったらいきなり噛みついてくる・蹴る・逆に洗い場で寝落ちしてしまう・なんというか、およそ人に「慣れている」と言い難い数々の反応は、結局人といること・人からされることが不快だ」という表現に他ならない。噛むだの蹴るだのは、もう、最終手段ですから、そんな行動を引き出してしまっていることに、元来人間は猛反省するべきなんですよね。で、どうすればいいか、真剣に深刻に考えろよ、と思うんだけど、そうしないでしょ。で、あの馬は危険だ・性格が悪い、と馬におっかぶせると、最終的にはある日、限界を超えちゃって、疝痛起こして死んじゃうわけだ。

 ので、極論すると「使役をやめろ」になっちゃうんですけど、残念ながらそうはいかない。使役しないで大動物を飼う、ことはほぼ無理筋で、これを実行すると、おそらく今の「大動物」家畜の大半が絶滅すると考えられるんですよ。馬は、大動物家畜の中で一番減少率が高いと思うのだが、結局、この動物が使われてきた理由である「移動の手段」が車等々にとって代わられちゃったもんだから、使いどころが減ってしまった、のが痛いです。競馬をやめろ、というのも時々聞くが、それやったらサラは全滅となります、おそらく。だから、使役は使役として、もっと馬が快適に使役に応じてくれるような工夫をする、というのが現実的でしょう。で、それって結構簡単だと思うんですよ。なのに、だーれもそれを考えないし、実行もしないし。ので、いつまでたっても疝痛が減らない。バカな話だ。



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