ハミなし頭絡で楽しい馬生活!日本ビットレスブライドル協会

テーマ別に連載形式になっています。テーマ別に最初の記事からお読みください。

削蹄されてない馬の蹄

2020年11月22日 | 裸蹄管理

 ということで、知人宅のお馬さんの蹄。種類は道産子の雑種みたいなお馬さんです。背中が丸まっこいので、裸馬でそのまま乗って楽しめるタイプですね。そんなに運動してるってわけでもないです。

蹄壁ひび割れの一つもなし。丈夫な品種だから、で済ましていいんでしょうか?

 知人はこの人たちが生まれてからこっち、全くプロ削蹄師を入れず、時々縁をちょこっとヤスリで磨いている程度だという。普段いる場所は土で、すり減りやすい場所に住んでいるという訳でもない。で、これですよ。

 じゃあ、プロ削蹄師って何やってるんでしょうかね?

 結局、削蹄も「足し算管理」ってことかな。

 そうなんですよ。例えば、鹿だって、山にいるってことは、そもそも蹄が「すり減る」場所に住んでいるわけではないでしょ。でも、必要以上に伸び過ぎることもない。逆に奈良の鹿、アスファルトの道路をウロウロしてて、だから蹄病が蔓延して、なんて話も全然聞かない。普通に暮らしてるわけで。

 野生動物と家畜動物との違いを云々して蹄病の原因を考察する、こと自体が間違ってる。というか、言っちゃ悪いけど、今プロの削蹄や装蹄を一回でも受けたら即水虫菌をうつされる、と考えてよい。つまりまあ、世界中の牛馬の大半が水虫に罹患してるってことで、これを基準にして考えるから、見方を間違っちゃう。「普通」=「正常」ではない、のだから。

 ここんとこ、江戸時代あたりまで、米ってどうやって作ってたんだろうと考えてるんです。米=金だったわけだから、今よりずっとシビアだったのになあ、除草剤なし、肥料は人糞程度・窒素リン酸カリみたいな知識もなし、どうしてたんか?でも、こんな動画を見たら、ある程度納得できるんです。

ひょっとして、当時の農家さんて普通にヒマだったのかもなあ。これも、引き算管理ですけど。蹄も、色々あーだこーだやるほどおかしくなるような気がしてね。


同業者批判はしたくないのだが・・・・

2020年11月18日 | 馬の医療や管理について

 なんだかな。我々小動物獣医師と大動物獣医師、「縦割り」になっちゃってる、のか、知識交換もないし、お互いの交流もないし、だからなんでしょうか?大動物診療をちょっと見ると、「あれが効く」「これが効いたのに」って、どこにエビデンスがあるんでしょーか?と言いたくなる事例ばかりで。。。。っていうか、もっと勉強してよ。

 例えば、疥癬。こんな動画ですが、出たのは最近なのか・・・・・・。

Mange 疥癬症

疥癬症とは、疥癬虫なるダニ(家にいるダニとは違います)が皮膚をほじって寄生する、もんだからめっちゃ痒い&刺激された皮膚にもトラブルが起きる、皮膚病としては重度レベルの疾患だと思う。これ、ついこないだまで(いや、今でも小鳥には時々見つかる)ペットショップから来た子犬や子猫にたかってて、困らされた。これの変形に耳疥癬という奴もいて、これは耳道内に似た種類のダニがたかる。ひどいフケがごっそりたまる&猛烈に痒がるという症状と、痂疲を鋭匙でほじって鏡検してダニを見つけて確定診断とする。鏡検の仕方なんですが、この動画にあるような「水」なんかで封入したら、ダニはさっさと泳いで逃げてっちゃいます。サンプルを取る皮膚を予めグリセリンで湿らせておいて、鋭匙でグリセリンごとがりっとやってサンプリングする。で、鋭匙にくっついた皮膚&グリセリンの固まりを更にグリセリンで封入して鏡検するとダニが逃げてかないから検出率が高い。
 で、治療法なんですが、なんかよく分からない薬とも呼べないような奴をこの方は紹介してますが、実は、昔からあるごく普通の外用薬が極めて有効です。それはクロタミトン軟膏。添付文書の効能効果には記されてないから知っている人は少ないが(従って、人医療では適用範囲外処方になってしまうんだろう)、今でも自分は鳥疥癬に使っている。クロタミトンにはステロイドが入ってるのもあるが、これを使うと却って広がってしまう。皮膚の免疫を抑えてしまうから。ので、入ってないシンプルな奴を塗りこんで治療する。毎日塗っていると1週間くらいで治癒します。殺ダニ効果があるそうで。

 「塗り込む・すり込む」治療を鳥疥癬にやっていただくと(人にうつらないよう、塗った直後の手洗いを忘れずに!)いいコミュニケーションにもなるみたいなんです。痒いとこをさすってもらえるから、気持ちいいんでしょうね。

 クロタミトン軟膏については、かつて犬疥癬治療で(大昔です。現在は犬猫用には疥癬に極めて有効な外用薬なんかいくらもあるから)往生させられた時に、手当たり次第に治療薬辞典等々(人医療の方です)調べまくって、たった一行書いてあった、それに気づいて処方を変えてみたらスカッと治るようになった。これについては、メーカーにも問い合わせてみたのだが(毒性等々)、疥癬は現在は知らないが、当時(20年くらい前の話ですよ)人医では精神病棟等に集団発生することがよくあって、その時に大量に塗る、軟膏ツボに入った薬を全部食べてしまった方もいたそうなんだけど、特に問題は起きませんでした、という言質を頂いて、そんなら舐めてもOKだべ、とやってみたらうまくいった。

 クロタミトンは今や、かゆみ止めとして化粧品にも含まれるような薬だから、使いやすいと思うんだけど。価格も安いし。

 但し、最も有効なのは。ダニなんだから、要はこんなダニをくっつけてよこす育成牛業者から牛を買わないことです。これに尽きる。こうやって飼育法の改善を促すのが早道と思うのに。このダニ、人にもうつる。甘く見すぎじゃないですかねえ。

 あと、ガンベ。糸状菌症に対するネットに出てる対処法がめちゃくちゃ。こんなんで治療と言えるのか?油を塗れとかさあ。ありえヘン。どういう根拠があるのよ?

 まだ、人間の水虫スプレーや水虫石鹸の方が有効でしょう。尤も、自分的にはナノソイを使うほうがいいですよ~~、と言いたくなりますけど。優秀な殺菌力&安全性で一押しなんだけどな。
 というか、この位の情報は今やいくらでも入手できるではないですか、そうした情報を提案して、そもそも疾患が発生しないで済む方策を考えて提供するべきだと思うのに。

 感じるのは、「動物の身になって考えてない」んじゃないか、という疑念。どーせ経済動物だから、みたいな小馬鹿にしてる感じがするのよ。どーせ金かけないんだろ、とか、どーせ治らないし、とか、どーせ治療を続けないんだろ、とか。仕事に「どーせ」は禁句。プロじゃない。


野生動物の蹄

2020年11月17日 | 裸蹄管理

 厚木に行きました。目的は「野生の日本鹿」の蹄。厚木といえば、管理人のうちから高速でぶ~~っと1時間しない場所なんですが、獣害がひどいとの事。鹿だのイノシシだの、駆除してもしても食い荒らされて焼け石に水っぽくなってしまっているらしい。大昔、自分が学生だった頃、同じ大学の環境保護学科の友人が1週間山に入って「鹿のカウント」なる調査をした。その位当時は減っていたのに、それから30年もしたらこの有様、難しいですね。

 で、駆除して食用になった鹿の足がうんとこさあるとの事、その蹄を頂いてきたんです。ついでに、そのお宅で飼ってて、適当に管理されている馬の蹄も写真に撮らせていただきました。蹄をあれこれ言うなら、まずは野生動物の蹄をきちんと見ないと。別に馬の必要はない、原則同じ組織ですから。

蹄底。溝らしきものが全くない。溝=すでに白癬菌に食い荒らされてる、とみていい。

蹄壁。一応写真にとる前に洗ったんですが、洗う前からちゃんと綺麗で、土なんかこびりつかないんです。別にヤスリ掛けなんかしなくてもいいわけね。とういうか、ヤスリ掛けなんかするからこびりつきが起こる。ヤスリ掛けする理由ってなんですか?

偶蹄類には、馬の蹄叉に当たる部分はないのだが、その代わりに趾間。

牛ではよく趾間皮膚炎が起きるといいますけど、全然そんなことなし。趾間皮膚炎もおそらくは「水虫」症状です。

 かねがね大本の白癬菌はどこから来たんだろうと思ってたんです。おそらくは「ガンベ」でしょう。「ガンベ」をほっとくから、結局成牛の蹄に残っちゃう。それを削蹄した道具で馬の蹄もいじるから、馬に白癬菌がうつっちゃう。牛の皮膚糸状菌症がここまで蔓延しているとは知りませんでしたが、この菌は人間にも軽く寄生します。水虫と同じ。馬にだって、そりゃあうつりますよ。

 「ガンベ」は子牛同士だと無口の共有でうつるとのこと。当たり前ですね。

 適当に管理されている馬の蹄は次回。


足し算管理の危険性

2020年11月11日 | 馬の医療や管理について

 人間でも動物でも今って「あれやりましょう、これやらないと」っていうののオンパレードですよね。例えば食事一つとっても、あれ食べろこれ食べろ、「摂取」って言葉が気になる・・・で、栄養が足りない?じゃあサプリだなんだって。いくらざぶざぶ食べたって、吸収せにゃ意味ないで、じゃあ、乳酸菌なんかどうです?次から次へ、よくまあ思いつくもんだよなあ・・・・。

 この場合、サプリ会社・乳酸菌飲料屋等々が儲かる仕組みになってます。

 化粧だと。しっかり洗顔しないと角栓がこびりつくんですよ~~、それを落とさなくちゃ、シミ取りなんかどうです?シミがあると女として見てもらえないんですよ~~(ってyoutube動画でよく宣伝してますけど、そんなこと言う男なんざこっちから願い下げですよ。だって、そいつだって数十年後にはシミだらけになるもの。人の事、言えるのかよ!!)、で洗顔したら化粧水つけて乳液つけて保湿クリームつけないと、そうしないとお肌が荒れるんですよ~~、んでもって、下地塗ってファンデ塗って、そうそう、目元にはアイクリーム塗らないと、粉はたいて、部分化粧するんですよ、で、そのままにしとくと角栓がこびりつくから~~ってエンドレスじゃん!!かように化粧品屋が儲かる仕組みになっています。

 馬だと。濃厚飼料やって体力つけなくちゃ、ガタイをよくしなくちゃ胃潰瘍になったじゃ、胃潰瘍薬(高~~い薬)なんかどうです、濃厚飼料のせいで糞便が臭くなってハエがわんさか、殺虫剤使わないと、虫よけなんかどうです、胃潰瘍どころか疝痛起こしたぞ、じゃ、治療しましょ、ハミ使って馬がイライラ、じゃ、おとなしくなるように調教しましょう、なんとかホースマンシップなんかどうです、蹄鉄使って蹄病、じゃ、装蹄し直さないと、こまめに削蹄して治療しなくちゃ、蹄の管理が悪い、なんとかトラッシュなんかどうです、餌が悪い、ビタミン剤を足さないと、ビオチン(これはビタミンBの一種、草食獣に不足するはずなし)なんかどうです、蹄をつくるタンパクが足りないんでしょ、濃厚飼料食わせないと、でエンドレス~~。
 すなわち、餌会社・装蹄師・獣医・ホースセラピストなんとかいう仕事をやってる人、が儲かる仕組みになっています。相手が動物だからたちが悪いのさ。人間相手だったら「や~~めた!!」って思えばそこで終了なんですけどね、馬は何も言えないから。

 従って、馬業界の人達はいつも金がない。ざぶざぶ馬に金を吸い取られて「馬貧乏」。借金だらけで首が回らない、馬のためにやってる筈なのに、全て裏目に出る、馬に人生を食い潰されてる人、多いですよね。 もう、いい加減そういうのやめませんか?


最近の三課目

2020年11月09日 | ハミなし頭絡

 自馬さんの蹄病治療がいよいよ終盤戦です。一旦白癬菌が食い荒らした爪組織は元には戻らないので、健全な爪が伸びるのをひたすら待つしかないわけですけど、いよいよ強度の低い部分が蹄底~蹄尖に集まってきたので、10月は見に行くと毎度蹄尖辺りがボロボロ剥がれていて、コワカッタ・・・

 そんな状態では、障碍の練習はとても無理、ということで、馬場チックな練習に切り替え。3課目辺りまではかなり基本的な運動なので、できないと困ります。この程度はハミなしで余裕で回れます。「ハミ受け」は別に興味ない&蹄の負担を考慮して、テキトーですね。
 ノービス部門位、ハミがあろうがなかろうがどうだっていいじゃないですか、って思うんですけどね。ああ、そう言えば馬場鞍も使ってなかったわ。あんな重い鞍、馬が可哀そうでねえ。

 点数が取れるとは思えないですけど、現在はこんな感じかな~~。50%いけばいい方?

 しかし、いつも思うのだが、馬場の採点って、なにが基準なんでしょうか?採点競技のあいまいさが気になる。以前部内競技会では、例えばAから駆歩発進、ジャッジ①は4点、ジャッジ⓶は6点、同じ場所で観てるのに。意味が分からん。これじゃあ、何をどう改善すりゃいいのかさっぱり。あのジャッジペーパーを見て、不信感がマシマシ。で、馬場競技自体に興味がなくなった。ジャッジのご機嫌取りなんかバカらしくて。結局好みの問題なのか?ジャッジの教育ってどうなってるんでしょう?そういうのもちゃんと公開して、公平性をはっきりさせないとまずいんじゃないでしょうか?採点競技といえば、体操なんかもそうですけど、なにを基準に減点しているのでしょう?なんかよく分からない、そういうあいまいさに振り回される選手が増えると、競技自体に魅力がなくなると思う。