ハミなし頭絡で楽しい馬生活!日本ビットレスブライドル協会

テーマ別に連載形式になっています。テーマ別に最初の記事からお読みください。

ハエ対策は、今の時期に始めるのが吉じゃないかという話

2021年01月21日 | ハエ対策

 寒いです。大雪で大変な場所も今年はたくさんあるようで、なのに、コロナのせいでスキーにもおちおち行けない。管理人のいる場所は現在緊急事態宣言が出ている&なのに全く患者数が減少しない事態になっております。あまり外出しづらい今日この頃、ならやっぱり大掃除しかないのではないかと。

 ハエ対策を今の時期にしっかりやっておくといい事が色々あるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

おおむね、内側対策と外側対策に分けられます。内側対策は、馬から出る糞尿をハエが好まないものに変えること。そのためには

  • 濃厚飼料を与えない(ヘイキューブも含む)
  • 活性誘導水等を使って、腸内細菌叢の改善を行う

 活性誘導水の広報か、と言われそうですが、自馬は変わりましたからね~~。濃厚飼料はもう何年も前から止めてるんですが、それだけじゃダメだったんだいな、とつくづく思った次第。食べる方で言うと、食事時はやたら前搔きして、ガツガツ食べまくる、だったのに、前搔きがなくなった。がっつかず、落ち着いて食べるようになった。この食べ方が草食獣本来のものでしょう。がっつかないようにあれこれ飼料入れを工夫しているケースが多いですけど、なんでそんなに腹が減るのか、を考慮してなかったわけか。腹が減るのは飼料効率が悪いから。なぜ悪いかというと、腸内細菌叢がダメだから。それを改善することで、こんな効果まで出るのね。

 で一方、糞便が小さい&固い&軽い、ということで、床が汚れない、掃除が楽と。ジメジメ湿らないから、ハエも呼びにくいと思う(これは夏になってみないと分かりませんが)。

 外側対策ですが、どうしても、馬房より、堆肥舎が気になるんです。まともに発酵してないんじゃないか?発酵しなければ、中でハエがわんさか育っちゃう、中途半端な発酵温度だと(50℃とか)今度はネズミが巣をつくる。冬場こそガンガン発酵させるか、よそにどんどん運んで堆肥舎を空っぽにするか。

 どちらもできそうもない、場合、ちょっと考えているのは、もう、今から堆肥舎に虫が出入りしにくくするのはどうか。手っ取り早いのは、堆肥舎の出入り口にレースのカーテンかなんかをかけておく方法。堆肥舎を開け放すからハエが出入り放題になってしまう。完全にふさげれば御の字ですけど、サシバエって高さ2mも飛び上がれないそうなので、 出入り口に丈2m程度のこんな感じの大判レースを吊るすだけでも、そこそこの効果は見込めるんじゃないかと。今のレースカーテンは防炎なんか当然の機能みたいですから、かなり安全なのでは。通気性も保てるし。ふさげなくても、上にはクモが巣を張ってくれます。うまく誘導して、協力して防除する。殺虫剤を振りまくよりよほど効果的かも。

 カーテンにサナギがつく可能性も高い。それを一網打尽にする。虫に一番有効なのは熱。ケルヒャーのスチームを、カーテンに吹き付ける。サナギは、そんなに高い位置まで登らないでしょうから、1m位辺りまでスチームをかければ、多分ゆだっちゃうんじゃないでしょうか。やる価値はありそう。殺虫剤を使わないから、天敵の虫に影響しないのもいい点。

 濃厚飼料は、ネズミも呼びます。どうしても食べさせるのであれば、きちんと密閉できる容器に入れて保管する癖をつける(濃厚飼料信仰はもういい加減やめた方がいいと思いますが)のを、今のうちに倉庫整理を兼ねてやってみるのもいいと思います。

 ハエもネズミも、対策するのは、被害が出づらい冬場だと思います。暑くなって被害が出始めてから慌てて対策、と繰り返すのもどうかと思う。


内側からのハエ対策の可能性

2020年11月04日 | ハエ対策

 前回の話(ハエ対策部門)で、濃厚飼料を与えるべきでないと書きました。その理由は様々ありますけど、結局は「草食獣に草食獣としての食生活をさせる」という、かなり原則的な話です。

 しかし、現在日本で乗馬馬の主流になっているサラブレッド君達は、子供の頃から訳分らんサプリだのなんだのを食べさせられてて、腸内細菌叢ぐちゃぐちゃ、胃潰瘍ありあり、という不健康状態が慢性的に続いている、と思われまして、牧草のみの生活に変えて即座に腸内細菌叢が草食獣本来のバランスに戻る、とは思えない。彼らが基本不機嫌なのは、その辺も大きいと思う。で、あげくに疝痛で死去、か。なんだかね。

 牛にせよ馬にせよ、どうしてこうハエがわんさかいるんだろうか?今までご紹介してきたのは、ハエがちょっとでも少なくなるように、外側から考える戦法でしたけども、これって、羽がついてるハエの方が有利に決まってますわね。内側からどうにかできないのかしら?そんな事を考えてたら、YOUTUBEで妙な動画を発見したんです。牛舎の動画ですが、ご覧下さい。

 この動画は、半袖だから、夏頃撮影されてます。場所は北海道なんだけど、北海道だって夏は暑い。牛がいっぱいいる=ハエもわんさか、の筈が、この動画ではほぼハエが映り込んでない。草だけ食べてるっぽいのに牛は丸々太ってる。体に全く糞がこびりついていない。糞便を貯めてる堆肥舎にもハエがいなさそう、オーナーの方曰く「カラスが堆肥舎の汚水(のはずなんだが)を飲みに来てる」との事。どうなってんの?

 この動画は、「活性誘導水」というA飼料の紹介動画なんですが、このアヤシイ水が、牛の腸内細菌叢に働きかけて有用菌を優勢にする、で、消化吸収を改善して、ついでに糞便や尿の性状もよくする、らしい。糞便や尿の臭いがなくなってハエが呼ばれなくなるだけでなく、繁殖もできなくなるようなのだ。堆肥の発酵温度が軽く80℃くらいになるそうで。それじゃ、ウジなんか生きられない。

 面白そうなので、試しに自馬に飲ませてみることに。この水、20lで1万ちょい(送料込み)=500mlで250円程度。その辺のちょっとしたミネラルウオーターと変わらない価格だし、何しろ1日当たりの添加量が牛一頭(ホルスタイン700㎏くらいで)70mlというんだもの、馬なら簡単に換算して50mlくらいか。1.5lで1か月持つわけですよ。サプリとしては安すぎます・・・・。どうなるか、後ほどご報告します。いずれにせよ、草食獣については「引き算管理」するべきなんですよね。ついつい「足し算管理」したくなるんですけど。足し算管理ってやり出すときりがない、くせして成果が上がらないから。


餌とハエ

2020年07月27日 | ハエ対策

 当院で入院やお預かりしている犬を散歩に出した時、外で排便したとすると、するや否や即座にやって来るキンバエには恐れ入ります・・・・・。多分臭いを察知してどこからか飛んでくるんでしょう。ハエ軍団は、臭いにとても敏感なんでしょうね。

 サシバエも、秋終盤になると、ひっくり返した馬着やゼッケンにたかりまくるようになります。自分の保温もあるし、やっぱりゼッケンや馬着に馬の体臭が付いているから誘われる、という事もあるんでしょう。となると、体臭をどうにかしないと、ということになります。

 しかし、馬のような草食獣は特段体臭なんかないはず、「体臭」とされているものはなにか、これは馬房の臭気でしょうね。臭気(特にアンモニア臭)が染み付いちゃってるんだ。あーやだなー、動物関連施設ってどうしてこう臭うんだ

 自分で動物病院をつくらなくちゃならなくなった時(勤めていた病院をいきなりクビになりまして)、とりあえず、他の動物病院をちょっと見学させてもらったんですけど、どこもかしこも凄い臭気でたまげちゃって。鼻が曲がるよくこんな場所で仕事ができるなあ、いや、それどころか入院患者さんにこの臭い絶対に染み付くぞ、トラブルにならないのか?と不思議で。ああ、そういえば、勤めていた病院もめちゃくちゃ臭くて、それをハイターを撒きまくってなんとか臭気を失くしたんでした・・・・・。

 ので、当院では一切臭いが出ない・付かない・いい空気が維持できるよう、設計段階からかなり考えました。臭気って空気清浄機をつければどうにかなる、ほど、甘くないです。開院から20年以上経過してますけど、未だ臭い0。入院患者さんも臭いなんかつかないから、安心して預けていただいてます。「先生のとこにいれば安心だから」と言っていただけるのは、有難い(緊張もしますが)。カンケーないですが、動物病院やペットショップ等々、臭う場所は基本的な管理が不行き届きと判断していいと思います。行かない方が吉。下手すると病気をうつされます。

 鼻が曲がる臭気の主たる原因はアンモニア臭で、これは尿中の尿素が変化したもの。尿素はタンパク質の老廃物のなれの果て。糞便の臭いはどうか?これ、以前読んだ

に面白いことが書いてありました。藤田さんはかなり癖の強い方だな~~、と思いつつ。競走馬には、とにかく走ってほしい。ので、やたらサプリや濃厚飼料を食わせる、従って、馬の糞便の臭いが人間のそれっぽくなってくる、というんです。馬房がどんどん臭くなっちゃうよ・・・・。

 馬に濃厚飼料を当たり前のように食べさせてますが、必要なのか?これは、不要です。草食獣は大まかに反芻獣とそうではないのと、2グループに分けられますが、馬は反芻獣じゃない方です。長い小腸で草から乏しい栄養を極限まで吸い上げて、更に、盲腸で発酵させて取れる栄養を摂る。濃厚飼料を給餌すると、小腸から吸収される糖類がドカンと跳ね上がります。で、一過性の高血糖になるもんだから、イライラする、蹄葉炎を誘発する、わけ。で、更には盲腸の中の細菌叢をかく乱してしまうので、疝痛が起こる。特に春~秋の期間は、濃厚飼料をやるべきではありません。

 以前、割と有名な乗馬クラブに7月頃行ったら、馬の夕飼いがずらっとバケツに入っていたんだけど、ハエがわんさかたかってて。濃厚飼料のにおいに誘われたイエバエなんでしょうけども、不潔の一言。で、濃厚飼料をあてがわれている馬は皆さんがれまくってて生気がない。で、糞便や尿の臭いもきつくなるからサシバエもたかる。濃厚飼料はネズミも呼びます。不衛生を絵に描いたようになってしまうんですね。良かれと思ってやっているであろうことが、逆効果になってしまっている。

 疝痛や蹄葉炎等々を防止するには、少なくとも春~秋の間、一切濃厚飼料の給餌をストップするのが、食餌管理としては最良です。管理もラクになるし、ハエもたからなくなるし、ネズミも呼ばれないでしょうし。

 自馬を預けてる方は、まずは濃厚飼料の給餌を止めてもらえばよいかと思います。色々言われるかもしれませんが、気にしない事です。


サシバエと個人の対策1

2020年07月26日 | ハエ対策

 とはいえ、敷料も床構造も、乗馬施設の問題で、施設側が根性出さない事には何も変わりません。個人で何かやると確実に嫌がられるし、、、特にクラブホースの場合は、「施設の持ち物」ですから、深入りしないほうがいいだろうな、と思います。最善は、「サシバエがうじゃうじゃいる季節は馬に乗らない」事。危険なだけですから。お客様が減る原因がそれなら、真剣に考えると思うんですよ。考えないでしょうか?乗馬施設って、なんか厄介なんですよね。お客様をお客様と考えてない場所が多そう・・・・

 自馬をお持ちの方なら、自分の馬のためにやれることをやった方が気分がいい。その方法について、考えたいと思います。

 今いるクラブはなぜか、サシバエが毎年比較的少ないんですが、その理由として、以下が考えられます。

1)堆肥場がない=毎日どこかの農場(?)に糞便&おが粉が運ばれていて、近くに残らない。ため込んでいない。

2)厩舎の床が土。

 以前、ウジがうじゃうじゃいた個所があるんですが、そこはコンクリ床の馬房の隅っこでした。思えば、あれがサシバエのウジだったんでしょう。

 ただ、特別な対策なしでも、サシバエは他の場所より全然少ない。発生場所として堆肥場をどうしても疑ってしまうのは、例えば牛では牛舎については対策しているのに、堆肥場は無策だから。そこで大発生してるんじゃないの?と思うわけです。「堆肥をしっかり切り返して発酵させれば発酵熱で細菌もウジも死ぬ」っていうけど、本当か?ウジなんか、サクサクっと逃げ出して、堆肥の隅っこでぬくぬくしているのでは?だって、隅々70℃ってわけじゃないと思うから。きちんとサーモグラフィーで確認してみないと・・・・。ウジ側としてはいいとこ全体の1/10でも生き残れば御の字ですし。

 堆肥場の対策は置いておいて、馬房ですが。臭いをとにかく減らさないと、馬が可哀そう。嗅覚がかなり鋭い動物だし。臭い所にずっと置かれたら頭がガンガンするんじゃないかな。また、臭いはハエ寄せ磁石みたいなもので、敷料の上がハエだらけになる。

 臭いをなくすには、臭いの元を何らかの方法で分解すればいいんですが。厩舎の床が土というだけで、臭いがしなくなるのはなぜかというと、土中の細菌が増殖して尿中の臭いの元を分解してくれるからです。ここに強力な消毒剤等を撒いてしまうと、途端に臭い出す。分解細菌が死滅してしまうからですね。
 だから、たとえば次亜塩素水を馬房に噴霧する、というのは問題がある。有用細菌も一緒くたに殺してしまいかねない。

 でも、コンクリ床だと、そうした細菌がコンクリのせいで床に上がってこれないので、臭い放題になってしまうんですね。となると、そういう細菌群を床面に導入する必要が出てきます。

 それを目的とした細菌資材が最近出回り始めています。かなり効果があるのがこちら

アクアサービス(株)という会社が出している製品ですが、かなり凄いです。猫砂一袋にこれを一匙まぶしておくだけで、くっさい猫の尿臭0になります。馬房に撒いておくと、本当に臭わなくなる。水分が入ると即活性化するように作ってあるらしい。牛舎や豚舎での使用実績もあります。

 こうした細菌資材は、一回撒くと、コンクリでも床面にちゃんと残って半年くらい分解能を発揮してくれます。水槽のろ材みたいになるわけですね。同様の細菌資材は全農も出しています。 が、撒く量が多いのが難点。

 臭いを消す方法としては、他に消臭剤を使う方法や酵素を使う方法もあるんですが、特に消臭剤は、根本を叩いているわけではないので、効果は一過性のもので、なんぼ撒いてもきりがない。酵素の場合は、働きやすい温度等が問題となります。細菌資材が一番理にかなっているように感じます。あと、自分の馬房に撒くだけだから。よそ様とは関係ないわけで、そこも割合気楽でいられる。


サシバエ対策はどこからとりかかる?

2020年07月25日 | ハエ対策

 実は、サシバエじゃないですけど「ハエのウジをどうにかできんか?」という質問がYahoo知恵袋とかに結構出ていたりします。それに対する、殺虫剤以外の対処法が面白い。

1)酢水をかける。酢:水を1:1にして、それをかけると死ぬか逃げていく。

2)煙草の吸殻を入れる。これは煙草に含まれるニコチンが殺虫しているものと思われます。全然効果なし、という話もありますが。。ちなみに「ネオニコチノイド系」の殺虫剤は、動物への毒性をほぼなくしたニコチンの仲間の化合物で、それを殺虫剤にしているのです。

3)熱湯をかける。ゆでちゃうということですね。そりゃ効果あるでしょう。

4)石灰や珪藻土を撒く。これは、ナメクジに塩をかけて退治するのと同じ方法で、ウジを脱水させて殺すという事。

 ウジがわかないようにするのは、とにかく清潔にしろ!に尽きるみたいですね。コンポスト等にウジがうじゃうじゃ湧くのにビビった~~、というのはコンポストあるある話のようですが、この場合は、生ごみを投入した後、毎回土を上からかぶせると、生ごみ臭も消え、ウジもわかない。これは自分も確かめています。同じ要領で、ゴミ箱にウジが湧かないようにするには、生ごみを新聞紙やビニル袋等でがっちり密封して臭いを出さないのがベストなんだとか。生ごみの臭いはハエだけじゃなく、他の野生動物も誘いますから、ホント、注意しなければなりません。

逆に、ウジが好む、というか、ハエが卵を産みつけやすく、ウジがわきやすい場所とは

1)湿った場所

2)臭う場所、ウジの食べ物が山ほどありそうな場所

3)比較的暖かい場所

となります。サシバエの幼虫が餌にしているのは糞便だ、ということは分かっているので、厩舎等で他に条件の揃っている箇所はどこか?を探すと

1)堆肥置き場

2)馬房の隅・飼い葉桶や水桶の下

のように、敷料と馬糞が混ざり合ってジトっと湿っている箇所が怪しい、ということになります。

 逆に、こうした条件を外すと、ウジが増殖しづらくなるわけです。

となると、思いつくのは

1)なるべく湿らないようにする。

2)臭いが出ないようにする。

3)特に冬場に暖かい場所で越冬させない。

辺りでしょうか。でもねえ、かなり難しそうですよ、これは・・・・・。馬房は湿気るもんだ、臭うもんだ、という概念をひっくり返さなければなりません。できますかね?

 これに対する対策が、敷料や床や厩舎構造とも関わってきます。前回までクドクド敷料だの床だのについて書いているのは、ハエ対策と強い因果関係があるからです。