きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

7月21日の日本民話 サルの尻はなぜ赤い

2009-07-21 06:01:50 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 7月の日本民話


7月21日の日本民話


ほらふきサルの尻はなぜ赤いの旅



サルの尻はなぜ赤い
佐賀県の民話佐賀県情報


 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがすんでいました。
 おじいさんは毎日、山の畑をたがやしに行きます。
 ある日の事、おじいさんがいつものように畑をたがやしていると、側にあった石にサルが一匹腰かけて、
「あのじじいの畑をたがやす姿は、左にヨロヨロ、右にヨロヨロ」
と、悪口を言うので、おじいさんは腹を立てて、
「このサルめ!」
と、クワをふりあげて追いかけましたが、サルは素早くて、ぜんぜんつかまりません。
 次の日も、おじいさんが畑をたがやしていたら、昨日のサルがまたやってきて、
「あのじじいの畑をたがやす姿は、左にヨロヨロ、右にヨロヨロ」
と、また悪口を言うのです。
 怒ったおじいさんは、またサルを追いかけましたが、今日も逃げられてしまいました。
 家に帰っても腹の虫がおさまらないおじいさんは、その事をおばあさんに話しました。
 するとおばあさんは、
「それなら、サルのすわる石に、モチをベッタリとぬり付けたらいいよ」
と、言ったので、次の日、おじいさんは朝早く畑へ行って、石にモチをベッタリとぬり付けました。
 さて、やがてあのサルがやって来て、その石に腰をかけました。
 そしていつものように悪口を言うので、おじいさんがクワをふりあげると、サルは逃げようとしましたが、お尻にモチがベッタリとくっついているので、逃げようにも逃げられません。
 そこでとうとうおじいさんにつかまって、家に連れて行かれました。
 家に帰ったおじいさんがおばあさんに、
「おばあさん、おばあさん、このサルは味噌汁(みそしる)にするとうまいから、味噌汁を作ってくれ。それからもちもついてくれ」
と、言って、また畑仕事に出かけました。
 おばあさんは、おじいさんに言われたように味噌汁を作り、もちをつき始めましたが、それを見ていたサルが、
「おばあさん、おばあさん、年寄りにはもちつきは大変だろうから、おれがかわりについてやる。だからこのなわをほどいてくれ」
と、いったのです。
「そりゃ、助かるよ」
 おばあさんがサルのなわをほどいてやると、サルはおばあさんにおそいかかって、おばあさんを殺してしまったのです。
 そして殺したおばあさんで味噌汁を作ると、自分はおばあさんになりすましました。
 やがておじいさんが帰って来たので、
「サルの味噌汁が出来ました。早よう食べてください」
と、おじいさんに味噌汁を出しました。
「どれどれ、これはいいにおいじゃ」
 おじいさんが味噌汁を食べようと味噌汁を見てみると、中から髪飾(かみかざ)りが出てきました。
 これはおじいさんがおばあさんにあげた、おばあさんの髪飾りです。
 ふと、おばあさんを見てみてると、お尻から尻尾(しっぽ)が生えています。
「このサルめ、よくもおばあさんを殺したな!」
 正体のばれたサルは急いで逃げ出すと、そばにあったカキの木に登っていきました。
 それを追いかけてきたおじいさんが、持ってきた大きなハサミでサルのお尻に切りつけたのです。
 サルの尻は血でまっ赤になりました。
 それからです、サルのお尻がまっ赤になったのは。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 自然公園の日
きょうの誕生花 → ルドベキア
きょうの誕生日 → 1962年 羽賀研二(タレント)



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きょうの日本民話 → サルの尻はなぜ赤い
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7月20日の日本民話 みそ買い橋

2009-07-20 08:14:56 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 7月の日本民話


7月20日の日本民話


みそ買い橋



みそ買い橋
岐阜県の民話岐阜県情報


 むかしむかし、飛騨の国(ひだのくに→岐阜県)の乗鞍岳(のりくらだけ)のふもとに、沢田(さわだ)という村があって、そこに長吉(ちょうきち)という正直な炭焼きが住んでいました。
 ある日の晩、長吉の夢にひげの長い仙人(せんにん)のような老人が現れて、
「これ、長吉よ、高山(たかやま)の町へ行って、みそ買い橋の上に立っていてみよ。たいそうよい話が聞けるぞ」
と、教えてくれたのです。
(よい話って、なんですか?)
 長吉がよく聞こうとしたところで、目がさめました。
(たとえ夢にしても、せっかく教えてくれたんだから、とにかく行ってみよう)
 長吉は、まだ暗いうちに起きて炭をせおうと、高山の町へ出かけて行きました。
 町に着いて炭を売ってしまうと、長吉はみそ買い橋の上に行って立っていました。
 みそ買い橋という橋の名まえは、橋のたもとにみそ屋があったのでついた名前です。
 どこにでもあるような小さな木の橋で、長吉はさがし当てるのに苦労しました。
 さて、長吉は夜になるまで立っていましたが、何もよい話は聞けませんでした。
 二日目も、三日目も、しんぼう強く一日中、立っていましたが、やはり何も起こりませんでした。
 みそを買いに来る町の人や通りすがりの旅の人が、ふしぎそうに長吉の顔をのぞきこんでは、そそくさと行ってしまうだけで、話しかけてくれる人はいません。
 こうして、四日がたちました。
 長吉も、さすがに家の事や仕事の事が心配になってきました。
「今日もだめか。ただ立っていればよいというわけだったが、ほかに何かあったかな?」
 五日目も、長吉が一人でぼんやり待っていると、みそ屋の主人がそばに寄って来て、
「毎日そこに立っていなさるが、どうなさったのじゃ?」
と、たずねてきました。
 長吉が夢の話をして、橋の上に毎日立っているわけを話すと、みそ屋の主人は大笑いして、
「わははははは。バカ正直にもほどがある。つまらん夢の事など、本気にしなさるな」
と、言いました。
 それでも長吉は、
「笑いなさるが、おらはたとえ夢でもバカにしてはならんと思っておる。仙人が出てくるなどめったに見ん夢だし、せっかく教えてくれたもんな」
と、大まじめに言い返しましたから、みそ屋の主人はすっかりあきれてしまいました。
 ですが、
「じつはな、わしもこの間、おかしな夢を見たんじゃ。ひげの長い仙人のような老人が現れてな、なんでも乗鞍岳のふもとの沢田とかいう村に、長吉とかいう男がおってな」
と、自分の見た夢のことを話し始めました。
 これを聞いた長吉は、これこそ夢の中で老人が教えてくれたよい話にちがいないと思って、
「おらが、その沢田の長吉だ!」
と、言い出しそうになるのをがまんして、主人の話を聞きました。
「その長吉の家のうらに、大きなマツの木があるから、その根もとをほってみよ、宝物が出るぞと、その老人が教えたのじゃ。わしは沢田なんて村には行ったこともないし、たとえ知っとっても、そんなバカげた夢の事など信ずる気になれん。お前さんもいいかげんにして、帰りなさったほうがいい」
と、主人はくわしく長吉に話して聞かせました。
「それはすまんこって。では、さいなら」
 長吉はあいさつもそこそこに、いそいで村に飛んで帰りました。
 家につくと、すぐにクワを持ち出してきて、うらの大きなマツの木の根もとをほってみました。
 すると大きなかめが三つも出てきて、その中に金銀やらサンゴなどの宝物がいっぱいつまっていたのです。
 長吉はそのおかげで、たちまちたいへんな長者になって、いつまでも楽しくくらしたという事です。


おしまい


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7月19日の日本民話 打ち出の小づち

2009-07-19 11:38:51 | Weblog

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7月19日の日本民話


打ち出の小づち



打ち出の小づち
高知県の民話高知県情報


 むかしむかし、ある村に、ひどいなまけ者がいました。
 おかみさんがガミガミ言っても、仕事をしないで遊んでばかりいます。
「さて、今日は大黒(だいこく)さまのお祭りでも見物にいくか」
 ある日、なまけ者はおかみさんに何も言わずに、出かけていきました。
 なまけ者は、大黒さまにお参りをして、
「大黒さま、どうぞわたしをお金持ちにしてください」
と、おがみました。
 すると、大黒さまが現れて、
「なまけ者でも、わしのところにお参りにくるとは感心。お前にこれをやろう。これをふれば、なんでも欲しい物が出てくる」
と、言って、一寸法師で有名な、打ち出の小づちをくれたのです。
 なまけ者は大喜びで、家に帰りました。
 その途中で、ぞうりのひもが切れたので、なまけ者はためしに打ち出の小づちをふってみました。
「ぞうりよ、ぞうり」
 すると、どうでしょう。
 ぞうり売りがやってきて、ぞうりをただでくれたのです。
「これは、いい物をもらったぞ」
 なまけ者は新しいぞうりにはきかえると、大いばりで帰ってきました。
 ところがおかみさんは、なまけ者の顔を見るなり言いました。
「米を買うお金もないというのに、どこを遊びまわっていたんだい!」
「大黒さまへ、お参りにいってきたんだ」
「なんだって! 大黒さまが、あんたのいうことをきいてくれるもんか!」
 どなるおかみさんに、なまけ者は打ち出の小づちを見せて言いました。
「ほら、これが大黒さまにいただいた打ち出の小づちだ。ほしいものは何でも出るぞ」
「お金もないくせに、こんなおもちゃなんか買ってきて。このろくでなし!」
 おかみさんは、男をなぐりつけました。
 これにはさすがの男も、とうとう腹を立てて、
「やかましい! この鼻くそめが!」
と、言いながら、打ち出の小づちでおかみさんをたたいたのです。
 するとどうでしょう。
 おかみさんはたちまち、大きな鼻くそになってましいました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → マッターホルン北壁登頂の日
きょうの誕生花 → がま
きょうの誕生日 → 1964年 近藤真彦(俳優)



きょうの日本昔話 → びょうぶのトラ
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きょうの日本民話 → 打ち出の小づち
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きょうの江戸小話 → かみなりぎらい


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7月18日の日本民話 やまんばと名刀

2009-07-18 05:56:32 | Weblog

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7月18日の日本民話


やまんばと名刀



やまんばと名刀
山形県の民話山形県情報


 むかしむかし、ある村に、隼助(はやすけ)という若者が住んでいました。
 住む家も小さい貧乏な若者でしたが、先祖(せんぞ)から代々伝わる家宝(かほう)の宝は、とても立派な名刀(めいとう)でした。
 隼助の先祖が立派な手がらを立てて、お殿さまからほうびにもらった物だそうです。
 ある日の事、隼助が山に山ブドウやアケビを取りに出かけると、アケビのつるで編(あ)んだ、大きな大きなカゴをひろいました。
「おお、これはちょうどいい」
 隼助はその大きなカゴに、ブドウやアケビをたくさん入れて山を下りました。
 さて、その夜の事。
 山の方から、
「ドシン! ドシン!」
と、いう、地ひびきが家に近づいたかと思うと、家の戸が、
「ドンドンドン! ドンドンドン!」
と、たたかれ、そしてカミナリのような大声で、
「隼助! わしのぞうりを返せ! わしのぞうりを返せ!」
と、さけばれたのです。
 隼助は、ブルブルとふるえながら、
「おっ、おら、人のぞうりなぞ知らねえぞ」
と、いうと、
「うそをつくな! おらの干しておいたぞうりの片方を、山から持って行ったでねえか。返せ!」
「何んだか知らねえが、山でひろったものなら家の裏にほしてあるから、持って行け」
と、いうと、それっきり静かになりました。
 翌朝、隼助が外にでて見ると、大きな足あとが山まで続いています。
 その大きな足あとは、山でひろった大きなカゴと、同じくらいの大きさでした。
「この大きな足あとは、きっと山姥(やまんば)だ! そしてあの大きなカゴは、やまんばのぞうりだったのか」
 隼助が山姥におそわれなかったのは、山姥が家宝の名刀におそれをなして、家に入る事が出来なかったからといわれています。


おしまい


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7月17日の日本民話 お化けじぞう

2009-07-17 06:27:02 | Weblog

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7月17日の日本民話


お化けじぞう



お化けじぞう
愛媛県の民話愛媛県情報


 むかしむかし、あるところに、こんぴら橋という橋があって、そのたもとにおじぞうさんがたっていました。
 このおじぞうさんは、昼間は普通のおじぞうさんですが、夜になると、『のびあがり』というバケモノになって、ムクムクと背が伸びて、首が伸びて、ビロローンと長い舌を出すのです。
 ですから村の人たちは怖がって、だれもこの橋を通ろうとしません。
 ある村の人がこの話を聞いて、友だちの又平(またべえ)という男にいいました。
「おじぞうさんの前に、赤いくいを打ち込んできたら金をやるぞ」
「本当か? よしよし、そのくらいわけもない」
 又平はさっそく、赤いくいとつち(→物をうつ道具)を持って出かけましたが、だんだん怖くなって、ガタガタブルブルとふるえています。
 それでもなんとかおじぞうさんの前まで行くと、目をつぶってくいを打ち込みました。
「さあ、終わったぞ。はやく帰るとしよう。なんだかおじぞうさんが、今にも『のびあがり』に化けそうじゃ」
 又平はクルリと向きを変えると、あわてて逃げようとしました。
 ところがおじぞうさんが又平の着物を引っぱって、放してくれないのです。
「うひゃー、助けてくれー!」
 又平は、ありったけの声でさけびました。
 それを聞きつけ人々が、ちょうちんを手にかけつけました。
「どうした? なにがあったんじゃ?」
「こ、このおじぞうさんが、この『のびあがり』が、わしの着物をつかんで放してくれんのじゃ!」
「なんだって!」
 かけつけた人々はビックリしましたが、又平の着物を引っぱっているものを見て大笑い。
 なんと又平は、自分の着物のすそに赤いくいをうちこんで、もがいていたのです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


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きょうの誕生花 → ぎぼうし
きょうの誕生日 → 鈴木葉月(タレント)


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きょうの日本昔話 → 千両箱の昼寝
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きょうの日本民話 → お化けじぞう
きょうのイソップ童話 → プロメテウスと人間
きょうの江戸小話 → 念仏坂(ねんぶつざか)


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