先日、上物のHSV MALOO R8が出たというので、早速お客様のご依頼で現車を拝見してきた。
ネットオークションは現車確認をしなければ痛い目にあう確率が高い事は言うまでもないので下見は当然である。
遠方なので売主に事前確認を入れるとコンディションは良いと言う。
現地に到着して外観をさら~っと観ると、サイドステップのMALOOエンブレムはバキバキに割られてしまい中途半端に部分塗装で手直しされたボディ側面や「電話ではクリヤーを吹けば当初2万円くらいで治るんじゃない?」と売主さんが言っていたピラー部分のクリアの劣化はパープルのベースコートにまで及び、、、さらにトノカバーは中心付近にダメージ大。屋根には鋭利なハンマーで叩かれたかのようなクボミも有る。一旦クリヤー剥がしてカバーを一枚塗らないと平面が出ないし色が合いませんってば、、、ウチがざっと見ても軽~く8万円以上のお治しが必要。
さらに、下回りを見てみると案の定LS1特有のオイル漏れを発見。
点検の時点では「少々コストはかかるがエンジンメンバー下ろしてエンジンオイルパンガスケット交換」で治るか?と予想していたが、更にミッションも下さなくてはならない重大なオイル漏れを発見。シリンダーブロックの油路に関与した部分で、エンジン回転数が上がり油圧が掛かる程に漏れてしまうのだ。前オーナーが手放す気持ちも分からないでも無い。
「この症状は1000rpm以上でチョイ乗りすればベルハウジング下とセルモーターの取り付けボルトの頭にオイルの雫が垂れてくるので一目瞭然。」
更に「マフラーの熱害で破けそうなラックブーツ、ハンドルラジオボタン、SRSエアバッグ、グローブボックス歪み、などなど、VY2 のリコールは全て未対策状態!
日本車の十倍以上する価格のブレーキパットも残りわずか、、、ウエザーストリップの異常な劣化と縮み。どう見ても4万キロとは思えないレザーハンドルの磨耗やシートの痛み、、もう絶句に値する。
たった1年間を気持ち良く安全に乗って頂くまでに、いくらの出費を強いられるのか全く未知数である。
大事なお客様に対して、軽~く両手以上の出費を強いてまで乗って頂くには気がひける、、というわけで今回の取引は残念ながらお見送りさせて頂いた。
中古車をネットオークションで入手するにあたり、失敗しない方法とは。「決済確定する前に知識のある技術者の現車下見あるのみ」なのだ。
当方の基準として事前確認でオイル漏れを告知されていたら今回の物件は下見に発展しない。
しかし、あれだけのオイル漏れが有りながら電話確認の時点で「オイル漏れは無いです!」と業者に対してキッパリ言えるあの自信は一体、、、「中古車ネットオークションが振るわない理由はそういう事」なのである。