今日、音楽の発表会があった。
ここでは、子どもの発表会というよりかは、授業でどんなことをやってきたのか、子どもよりも先生のやってきたことが試されるための会という感じである。まずそこからがおかしいなと思うのだが、それがモンゴル流。でもそんな風潮の中でも、音楽教師のオーノーと、同じ学校に派遣されている音楽隊員の二人は、子どものことを一番に考えて、毎日音楽の授業で練習してきた。
私は今入っている2年生の図工の授業で、自分たちが歌う歌についての絵を想像して、みんなで大きな絵を作ることでちょっと会に加わせてもらった。
会のプログラムも早々に考えて、どこから入場してどこに立って、どう退場するか、すべてのクラスでやって、子どもたちも担任の先生達に怒られながらも頑張って覚えて、表現して。
そして、いよいよ明日本番!ってところで、
「高校の校舎の外でやりなさい」
理由は、
「高校の先生達にも会を見せたい。小学校では親も全員が入らないから。」
まただ・・・いつも直前になっていろんなことが変わる・・・。
もともと、そんなに親に周知していないのでそんなに来ない(実際に来たのはほんの少しだった)。高校でやるとなると、小学校の先生達は自分のクラスの発表でも、来ない人が多い。
そして、いままで小学校でどれだけ練習してきたか・・・。練習してきたことと違うことを急に入れることで子どもたちはまた混乱するし、(急に場所や時間や日にちが変わるのは今に始まったことじゃなく、いつも・・・)
とにもかくにも、直前になっていろいろ変えるのはよくないと、だったら前からやる場所をそのように言っとくべきだとか、二人の先生と子どもたちがいままで練習したことを発揮できる場所でやるべきだと話した。今回は私は指導をしてきた張本人ではないけれど、校長先生と教育マネージャー(教頭)に言った。いつも上の思い付きで子どもが一番困難な思いをしている。先生達は思ってても、上には絶対反論しない(反論したら自分の評価に関わるから言えない・・・。)
いつも、委員会から偉い人が来るたび催しをさせられる。こないだは、県内のお偉いさんたちが学校にきて、子どもたちのダンスや演奏の発表を、ご飯を食べながら聞いたり見たりした。レストランのディナーショーかのように。まるで接待である。
モンゴルでは今年、「子ども一人一人を伸ばす教育」という教育目標を掲げているが、まだ子ども主体で考えられていないのが現状だな、と感じる。
子どもたちは、
知らない大勢の人に見てもらい、ちょっとの拍手をもらうことを欲しているのではなく、
今まで自分が頑張ってきたことをよく知ってる人、親や先生、友達など、一番身近な人に見てもらって、「よく頑張ったね、よかったよ」と、
認めてもらいたいのだと思う。そして、はじめて満足感を得られて、幸せを実感する体験となるのだと思う。
それが大ぜいじゃなくても。
たった一人でも。
一言でも。
認めてもらいたい人に認めてもらえることが幸福感と自信につながるのだと。
今日になってもこちらの思いは伝わらず、午前中、てんやわんややって・・・
私は案の定、昨日からのいろいろな感情が入り交ざり、涙腺が弱くなっており、同じく音楽教師のオーノーも悔しさから涙・・・
そんで教育マネージャーがうちらの様子を校長に話たのだろう。じゃ、小学校で、また今度外で、ということになった・・・けど、
きっと、ちゃんと上には伝わっていないと思う。
場所だったり、時間だったり、いろんなことを、まずは子どものことを一番に考えてほしい。
学校は、先生でも、親でもなく、子どもが主役の場所だから。
まだまだ、まだまだ、これから伝えなきゃ、わかってもらわなきゃいけないことがありますな。
いろいろあったけど、
練習の成果を自信をもって出せていた子どもたちはとてもキラキラしてました。
3年生、はじめてのリコーダー!!
いろいろモヤモヤありますが、
一歩町から離れると、のんびりとした光景に癒されるのも、モンゴル。
川の流れを見ていると、わりといい気分転換になるものです。
さて、9月に始まったモンゴルの学校、6月から年度間の長ーい夏休みに入るので、もうすぐ今年度も終わり。
学校での活動以外に、2か月に2回、県の教育局で、市内の先生達に向けてセミナーをやってきた。
1年生から5年生の先生達に、ひと学年2回、計10回。
市内の小学校で担任をしているすべての先生に会うことができた。
先生達の、普段、子どもたちの前では見せない、可愛い姿をいっぱい見ることができた。実際に活動をさせるとキャッキャッと子どものように言って取り組む先生達。「これで合ってる?どう?どう?」と子どものように聞いてくる先生達。
私たちが紹介したことを学校に戻って実践してくれてる様子が見られたり、話に聞いたりし、嬉しくなった。
今まで自分たちがやってきた方法とは違った方法や新しいことを取り入れるのはそんなに容易じゃないはず。でもドルノド県の先生達は素直にそれらを取り入れようとしている。いろんなことを試してやってみようという人たちが多い気がする。だから、私たちもできる限りのことを伝えたいなと思った。
そんな今までのセミナーのきろくを忘れないようにかいつまんで残しておこう。と、思う。
私たちのセミナーの流れは、いつも理科(図工・算数)とは・・・と一番伝えたいことをパワーポイントを使って話して、その間や後に実際に先生達に活動をしてもらうといった流れ。
写真はその先生達にしてもらった活動が主です。
10月、初めてのセミナー。すごく緊張した。言葉にも自信がないし、今思うと、一番準備を入念にしたセミナーだったな・・・。
第一回 5年生理科。実験や観察をする授業の過程について説明し、実際に授業をした。
空気は温められるとどうなる?実験方法を先生が示すんじゃなくて、どうしたら確かめられるか、子どもたちが自分たちで考えるんだよ、とか。
第二回 5年生、図工。当日、熱を出してしまい、私は行けず・・・同期の子、一人でやることに。ごめんね・・・。
第三回 4年生、理科 内容は5年生と同じ。暖められた空気は、上に行くのか、膨らんでるのか。どうしたらわかる??
第4回 4年生、図工。
これは、何も考えずひいた線の形から、どんな動物を見つけられるかな??線という材料から想像力を働かせて表現する方法。
可愛い作品いっぱいでした。
クレヨン、絵の具、色鉛筆などを使ってのいろんな表現方法を紹介。
形を置いてスポンジポンポンしたり。5つの方法を紹介して、そのあと、紹介した方法を使って、自分の想像する「恋」を表現してもらった。
第5回 1年生 算数。
発達段階に沿ってやっていくことの大切さ。
日本では誰もが1年生でやったことある、計算カードでゲームとか。先生達には新しい経験で、興味津々、熱中してました。
楽しみながら自然に身につくって大事。
繰り下がりの引き算。いきなり数字じゃなくて、絵やブロックで示してあげること、これも大事。
1時間かけて一つの問題をみんなで一緒に解き方を考える授業はいままでほとんどされていなかったようです。
熱心に写真撮ってました。
第6回 1年生 図工。いろんな音が鳴る!と、遊んでみてから、世界に一つだけの楽器を作りました。
作りたいものを頭の中に描いてから材料を自分で選んで物を作る。
楽しそう。
第7回 3年生 図工。
図工の授業は、一人で一つの物を作るばっかりじゃなくて、友達と話し合って一緒に作る活動だっていい。
並べてみて、想像力を膨らませて・・・
これもおおしろかったなあ。お話から想像力を膨らませる活動。
ぐりとぐらをモンゴル訳したお話を読聞いて、一番心に残った場面、好きな場面を想像して描く。
ぐりとぐらの絵を見てないので、いろんなぐりとぐらがいておもしろい。
でも・・・このぐりとぐらは・・・??野ねずみのはずが人間に変わってる・・・こわい(笑)
グループでつくってる班もあった。
ぐりとぐらが・・・ミッキーとミニーに・・・(笑)
可愛い作品がたくさんできあがりました。
第8回 3年生 理科。
残念ながら写真がない・・・。4年生から始まる理科、実験や観察の過程を説明し、光と影の単元の授業をした。
第9回 2年生 図工
これは前の重ねて並べて・・・と同じ。宇宙人だそう。
洗剤、絵の具、水を入れてあわぶくぶく。
できた泡の形から想像してみよう。
そしてやっと、今年度最後~~第10回 2年生 算数。
計算棒を使って、繰り下がりのある筆算の解き方を考える方法を紹介。
子どもたちの手元にも計算棒があって、何度も何度も自分たちで操作して、やっと頭の中で計算の意味がわかる。
長さも。教室の長さをCMだけで測ったら・・・・大変・・・正確に測れない・・・
だから、メートルが必要なんだね!こういう経験をたくさんさせて量感を身に付けていく。などなど。
こうやって載せてみると、少し同じ内容を組み合わせたものもあるけど、全10回、いろいろやったな、と思う。
確実に言えるのは、一人ではぜーったいできなかった。
最初、教育局の小学校担当のボマからその話をされたのは赴任したばかりの9月。
言葉もまだぜんぜんわからないのにいきなりセミナーなんて・・・と思った。
でも同じ任地の同じ職種の仲間と一緒にということはかなり心強く、二人だから「がんばってやってみようか」となった。
お互い配属先の学校での活動がある中、月1回、もしくは2回のセミナーの準備をするのは容易ではなかった。平日は学校での授業があるから、二人で準備できる時間はなく、学校が休みの土曜、日曜日が準備の日になった。
こうして二人で何日間かかけてセミナーの準備してる時間、お互いの考えを共有したり、いろいろ調べたりしてる時間、すごく勉強になってるよね。日本帰ったらこの経験が役立つと思う。と、同期の子と最近よく話す。(そう言い聞かせてがんばってたってのもあるが・・・)
話してると、千葉と神戸の学校でもちょっと違うところがあったりもして、おもしろいし、新しい発見がある。
語学が堪能で、普段から努力を惜しまず教材をいろいろ作っている同期の彼女から学ぶこと多く、どれだけ助けられたか・・。ほんとにありがとう。
来年度はひと学年、一回ずつしかできないけど、また、先生達との出会いを楽しんで、実り多い研修ができたらいいな。
とはいっても、いままで「ああ、セミナーの準備しなきゃ~・・・」と思う日が多かった日々から、ほんの3か月だけど解放されると思うとちょっと、ほっとしている。
夏休み、たっぷり充電して、またがんばろう。
さあ~て、かなり更新をサボってしまった。
一度忙しさに負けて更新しなくなると、なかなか手をだしづらくなる・・・このままいくと1年たたずしてこのブログも終わっっちゃう・・・?
いや、それはいけん。記録としてモンゴルの1年9か月をちゃんと残しておくべく、再開。
モンゴルは厳しい冬をやっとこさ乗り越え、春になりました。とはいってもモンゴル東の果ての、山など遮るもののないどこまでも続く平原のこの地は春は砂嵐の時期でして、、、ここ最近の天候は、砂嵐7割、晴天3割といったところ。
それでも、確実に気温は暖かくなってきており、木々に葉っぱがつき、草が生え、雨もほとんど降らないのでそりゃあ、ほんのちょっとのことなんだけど、でも季節の移り変わりがこんなにも嬉しいものなのかと思う、今日この頃。小さいことに喜びを感じていることがまた嬉しい。
今学期は2年生の図工と生活科(理科)と総合の学習に入っている。モンゴルでは校外学習もなければ、学校の外に出て活動している姿もほとんど見ない。
寒い時期はしょうがないけど、暖かくなってきた今の時期、しかも6月から8月は夏休みだから、外で活動できるのはホントに今の時期くらいしかない。だから、今、いっぱい外に出て、子どもたちに生の体験をさせよう。教科書の物ばっかりじゃなく、本物に触れて見て聞いて学ばせよう、と先生達に話してみた。
てなわけで今学期、2年生は図工で作った作品(風車や船)を持って校庭や湖で遊び、理科や総合では野菜を育てている家庭に行って見学させてもらったりと、普段は椅子に座っていることがほとんどの先生や子どもたちが、よく動いています(笑)。
こないだ行ったクラスの子の家
「野菜の育て方を友達のお家から学ぼう」
あらかじめ、聞きたいこと、知りたいことをノートにメモして行きました。
外で見学させてもらうだけかと思いきや、迎えてくれたおじいちゃん、おばあちゃんが中にはいってはいって、と。
これがまさにモンゴルのおもてなしの心。すごいな~とおどろく私。
29人ほどいるクラスの子どもを、ひと部屋の家に招き入れた。
みんなでおじいちゃんに詩を詠いました。おじいちゃん、ちょっと涙ぐむ。いいなあ。
クラスみんなにお菓子とお茶をだしてくれました。しかも、「クラスの友達がみーんな来てくれるなんて、こんないいことはないねえ、おじいちゃん、」といいながら。なんて気持ちの良い家庭だろう・・・涙
心優しいおじいちゃん、おばあちゃんに心和んで・・・・と、幸せに浸っているばっかじゃ、いけん、いけん。
本題の観察。ちゃんとしなきゃ。
家の庭にハウスを立てていました。
キャベツ、トマト、キュウリなどなど。少しずつ芽を出していました。
考えてきたことをちゃんと質問しました。
汲んできた水を少しおいてから水をやることや、
家畜の糞を肥料として使っている事なども学びました。
(これは人参)
チャッツァルガーンというモンゴルでは定番の、ビタミンたっぷりの実がなる木も育てていました。水のやり方も教わってやらせてもらった。
子どもも教師も学び多き一日。こういう体験、いっぱいさせてあげたい。
この後、時刻は夕方の7時近くまでなっていたが、心優しいこの家庭は、なんと夕ご飯のスープまでみんなにごちそうしてくれました・・・。
そして、秋にはみんなでできた野菜を食べようねと。