仕事は暇になっても、なんだかんだと忙しい。
慌ただしく家を出て、車で約30分のクライアントに撮影CDを届け、さらに車で走ること20分、11時、美容院。
先日、“髪にやさしい”カラーの店を探して行ったばかりだが、カットもカラーも今ひとつ、しかも高価でまったく納得できなかった。というか私はかねがね、以前ウィッグをカットしていただき、私に新しい人生をくださったここ「ゆとり炉の木」の店長にカラーもカットもお願いしたいと思っていたのだが、遠いし、時間がなくてなかなか来ることができなかった。彼女ならば、カットはもちろん、私など思いも至らぬカラーによる陰影など含めた素敵なスタイリングをしてくれるはず、とにかく腕が信用できる! そして何より、抗がん剤終了後の髪についての知識が豊富なのが心強い。
案の定「まだキューティクルが整っていないので、ヘアカラーより、表面だけをコートするヘアマニキュアをおすすめします」とのこと。そして、まだ髪が薄く短いおでこ回りだけは周囲よカラーを少し濃くして立体感を持たせましょうと(つまり髪が多く見える)。素晴らしい! もう完全にお任せモードで目の前にあった写真集を手に取る。
アリ・セス・コーエン
『Advanced Style~ニューヨークで見つけた上級者のおしゃれスナップ~』。60~100歳のお洒落女性を撮影した写真集。いつまでも「女子」なんつって喜んでる日本が馬鹿みたいに思えるほど、素晴らしい、個性的に服を着こなしだ高齢女性たち。これは若い頃からの投資がないと、できないことだよ。ホント、生きる勇気が湧いてくる! 「誰かが着ている服は、自分が着るべき服ではない」などというご本人からのコメントもいい。私もまったく同じ考えだ。人と同じ服を着るくらいなら、裸でいたほうがいい。そのくらい、個性がない着こなしは恥ずかしい。ちなみに当たり前だけど人気ブログの書籍化は世界的潮流のようで、元ブログはこちら。
『Advanced Style』。
あまたある女性雑誌より一冊の写真集に心惹かれたことを、観察力の鋭い店長はすぐに察したようで、「私、写真集大好きなんですよ! いつも深夜までスタバのコーヒーを飲みながらTSUTAYAにいるの」と次々とおすすめの本を持ってきてくれた。
試歩
『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』。新人研修でFacebookの「いいね!」の数を競った女性が自分の強みである旅をテーマに作ったフェイスブックページの書籍化らしい。その名の通り、世界中の絶景を集めた写真集なのだが、この人の写真、本当に素晴らしい! つまらない絵ハガキ的写真になっていないのは、本人の感動がそこにプラスされているからだろう。見ていてため息が出るし、鳥肌も立った。そして、旅に出たくなった。つまり、もっと生きたくなった。フェイスブックページ
「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」でその一部を見ることができる。58万「いいね!」 すげーな!
続いて、伊原美代子
『みさおとふくまる』。私は猫はどちらかというと苦手だが、左右の眼の色が違うこの猫は可愛い。元々耳が聴こえないらしいが、とても不思議な力を持って耳の遠いおばあちゃんと交信しているように見える。いつも一緒。猫ってこんなふうに人になつくものなの? さらに、桑原奈津子
『パンといっぴき』。おいしそうな食事がのったテーブルと、その下から、物欲しそうに見上げている犬の様子を写しただけの写真集。こんなんありか!?と料理研究家の発想にショックを受けるとともに、十分写真集として成立していると実感する。巻末にレシピが掲載されている料理も作ってみたくなったし、なんといっても、登場する犬がブサイク(褒め言葉です)なのがいい。
ちなみにこのヘアサロンの中には店長と暮らしている大きなおおきな犬がいて、寝そべったり悠々と店内を歩いたりしている。
そんなわけで? 続いて、また犬本。ジョンソン祥子
『ことばはいらない』。これは先日書店で見かけ、涙なしには見られなかった本。柴犬と赤ちゃんのふれあいという、今やカラスでも食わないだろうというありふれたテーマの写真集なのだが、素人さんが撮ったこの写真が、たまらなく、いいのよ。人間のそばにいて、犬が心配してる顔、安心しきった顔、いたずらな顔、誇らしげな顔。全部、見覚えがある。ガク…! そして赤ちゃんと一緒に年月を経る様子を写すことで、否が応でも犬のほうが先にトシを取るという残酷な現実を見せつけられる。あたたかくも、それだけではない、もろもろ示唆に富んだ本。書店で手にとった時と同じく、やはりきちんと最後まで見られなかった。思い出すことがたくさんあり、つらすぎるのだ。元ブログは
「Maru in Michigan」。
そして最後に。「このあたりを写した昔の写真集があるんですよ」と。井上孝治
『思い出の街』を持って来られた。ノスタルジックにはあまり興味がないのでペラペラとめくり始めたが、一番見応えがあった。事故で聴力を失って会話ができない方だったらしいが、写真は饒舌。ずっと前にこのブログにも書いたが、彼の構図とユーモアあふれる人間観察力に、
「アンリ・カルティエ・ブレッソン」を思い出した。当時、様々なコンクールに出品しては、賞を総なめにしていたらしい。相当才能にあふれた方だったんだろう。福岡住みならずとも、一見の価値ありの写真集だった。
髪に色が入りづらくてマニキュアをやり直したり、時間はかかったが、その分、素晴らしい時間を過ごさせてもらった! しかもウィッグカット同様、申し訳ないくらい安い…。本当にありがとうございました。
もう13時半。薬を飲まねばならないのでお昼を食べねば! エフコープ近くの「花畑食堂」に立ち寄る。カキフライが目当てだったのだが、売り切れ。好物のアジフライにも惹かれたが、外食だし揚げ物はやめておこうと、豚キムチと白飯と味噌汁をチョイス。かまど炊きごはん、おいしかった~。420円也。
帰宅して夕方に備え、休む。明日開催される小学校のバザーの手伝いに行くのだ。
約束の16時半少し前に体育館に入るも、大勢いる係員からまったく指示がない。私以外の、複数で連れ立ってきたママたちは次々となんとなく作業に入っていくのに…。私は何をすればいいのか? しびれを切らして係員に尋ねるも、「時間になったら皆さんを集めて作業の指示を出すので待っていてください」とのことだったが、それから5分経っても、一向に指示がない。よく見れば、私以外にも、やることなし…の体で暇そうに立ち話を続けているママたちが見られた。人が足りないから、お手伝いを募集したんじゃなかったんかい! 切実な感じがしたから、お手伝いを申し出たのに…。この系統だってない非効率的な感じがものすごく嫌だ。さらに、この居場所のない感じが耐えられない! ここは私のいる場所じゃない…! 暇な人たちが勝手にやってくれ…!と思って、入場から10分経過した時点で誰にも何も言わず勝手に自主退場。
自分の社会性のなさに激しく自己嫌悪するも、いやー、あれは耐えられないよ…
その足であっくんを迎えに行き、これはバックレにあたるのではないだろうか、やはり体育館に戻るべきかと何度も考えたが、できなかった。
家に帰り、カズに「誰もママには指示してくれないからお手伝いしないで帰ってきちゃった…」と言ったら、「そんなことしていいの?」的な腑に落ちない顔をしていた。だよねー。嗚呼、また激しく自己嫌悪…
タネは昼間の間に作っておいたので、夜、揚げないコロッケを作ってみる。カズはよく食べてくれたが、やっぱり普通に揚げたコロッケのほうがおいしいと思った。バザーの件が気になり、白ワイン→赤ワイン。
就寝前はまた筋トレ。今夜は逆立ちも。