都内の2DKのアパートで大好きな母親と幸せに暮らす4人の兄妹。しかし彼らの父親はみな別々で、学校にも通ったことがなく、3人の妹弟の存在は大家にも知られていなかった。
ある日、母親はわずかな現金と短いメモを残し、兄に妹弟の世話を託して家を出る。この日から、誰にも知られることのない4人の子供たちだけの「漂流生活」が始まる・・・。
誰も知らない 2004年/日/是枝裕和
私、好きですね~、是枝裕和監督。
私にとって初めてと言っていいくらい、日本映画で何が言いたいのかが伝わってきた監督といってもいいかもしれない。
あ、映画の感想。
特に印象に残ったのは、明の友達になる紗希の存在。
監督曰く、ラストの妹・ゆきを埋葬に行くシーンになぜ紗希を同行させたのかは、監督自身、“根拠の無い確信”によるものだそうで、この“根拠の無い確信”とは彼女を起用した時点から、更に揺るぎのないものとなったのではないだろうか(もちろん、オーディションより脚本が先に出来上がってはいるけれど)。それくらい、彼女(紗希)の存在は大きく、紗希を演じる韓 英恵さんの演技には目を惹いた。
明にとっても、私にとっても、紗希はある種特別な存在であって、だから、私はこの映画はフィクションと素直に捉える事ができたと思う。そして、彼女なしにはこの映画は成り立たないと思った。
そう、これはフィクションだ、と確かにそう思う。この後、この子達はどうなったの??などと思うのは愚の骨頂なのである。
そうでなければ、ラストに僅かではあるけれど光の射す未来と、その未来を勝ち取る強さを感じる事はできないかもしれない。この子達は生き抜くと、そう感じるラストシーンだと思った。
さて、この映画を観たいと思ったのは柳楽優弥くんの演技が観たかったからなのだが、うん、納得した。
彼の素晴らしさと人を惹き付けるあの存在感は、もちろん彼自身の持つものだと思った。
ただ、やはり監督のお陰と言えると思うのも事実で、明を見事に引き出したのは是枝監督だと思う。
そういった意味で、先日観た『星になった少年』と比較させてもらえるなら、『誰も知らない』の柳楽くんは凄いと思った。
「ディスタンス」は扱ってる題材が題材なため、賛否両論ありますね。私の好みではありますが。
是枝監督、次回作が時代劇ということで、演出をしないという今までの方法論をどう変えてくるか、非常に楽しみです。
・「茶の味」好きです~。あの、のどかーな風景とシュールさと家族のバランス。そんな私はゆるい映画好きでございます。
TB&コメントありがとうございます。
おお~、ご親切にありがとうございます。
『ワンダフルライフ』はやはり良い作品なのですね?観るのが楽しみです。
他の2作品も観てみるつもりでいます。
そうなんですってね~、時代劇。早く観たいですね。
是枝監督、大注目しています。
【茶の味】
もじもじ猫さんはきっと穏やかな方なんでしょうね~。私はせっかちだし、ガガガーってタイプなので、何も感じない映画は苦手です。気持ちが動く映画じゃないとダメなんですよね~。こういう映画を良い/好きと仰れる方が羨ましいです。
お金持ちの家に住んでは居るものの、家族愛に恵まれぬ環境が明と順応同化したのだなと思っていました。
が、いま、izumiさんのTBを読ませて頂きました。紗希は更に深い存在価値があったようですね。朧気ながらその輪郭が見えてきたような気がします。ありがとうございました。
あ、いえいえ、私の感想は独りよがりですので・・・。
私も今観ても同じ感想を持つか分かりませんし、この時は、紗希が気になって仕方なかったのかもしれないな~なんて思います。
ただ、彼女の存在がなかったとしたら、彼ら兄弟はどうなっていたか・・・。やはり、現実のお話として観てしまっただろうなと思うような気もします(モデルになった事件はもちろんあるわけですが)。
う~ん、気になってきたのでもう1回、観てみようかな~。