インフェルノ 上・下
ダン・ブラウン 著 角川書店 / 2013.11
目覚めたらフィレンツェだった。窓からヴェッキオ宮殿が見える。
いったい、イタリアで何をしているんだ?
当惑するハーヴァード大学宗教象徴学教授・ラングドンに、医師はシエナと名乗った。
「ここはICU。あなたの頭の傷は、銃弾によるものです」。
直後、病院に現れた暗殺者に襲われ、ほうほうの体で病院を逃げ出した二人だが、
ラングドンのハリス・ツイードの上着のポケットには、見知らぬ金属製の円筒が。
“生物学的有害物質(バイオハザード)”。指紋認証で開封すると、ボッティチェルリの“地獄の見取り図”が現れた。
ダンテの“地獄篇”の影響を受け描かれた絵には、暗号が隠されているのか?
追っ手を逃れヴェッキオ宮殿に向かった二人を次々と危機が襲う!
医師シエナとともに、ヴェッキオ宮殿に向かったラングドンは、
監視カメラにダンテのデスマスクを盗み出す自分の姿を見いだし、驚愕する。
昨夜自分はいったい、何をしでかしたのだ?
マスクの所有者であるスイスの大富豪ベルトラン・ゾブリストには、壮大な野望があった。
生触細胞操作の分野を一から築いたゾブリストは、人類が人口爆発のせいで滅亡するという説を唱え、
黒死病(ラ・ペステ・ネーラ)に着想を得た過激な方程式を提唱し、危険視されていた。
デスマスクに残されたメッセージ、仕組まれた世界の破滅。
ラングドンは医師シエナとともに、ヴェネツィアに飛ぶ。
次々現れる追っ手をかわし、巨大な野望を食い止められるのか―!?
正直、今までで1番盛り上がれませんでした…。
劇的なオープニングだとは思いますし(その後明かされる、実は……のトリックがバカバカしいけど)、その後の展開もそれなりに楽しめることは間違いないのですが、美術、建築、歴史などの説明がやたらと多く、好きな人にはワクワクする場面だとは思うのですが、私は芸術的センスも興味も皆無なので、正直、面倒くさかったです。
これは、早いところ、映画を観せて頂きましょう…とほとんど捨ててしまいました。
そんなこともあり、なかなか読み進めることができなかったのですが、お話の筋としてはとても興味の持てるものでした。
ゾブリストの思うところはもっともだと思いますし、私も、これ以上、世界の人口が増えなければいいのだけど…と思っています。
そして、その為には、きちんとした教育を受け、知識を持つことが重要だと思いますが、ゾブリストはその特別過ぎる知能でもってある方法を思いつき…と、なかなかの展開でした。
シエナについては、過去に登場したヒロインほどの魅力は感じられませんでしたが、ゾブリストに匹敵するくらいの凄まじい知能を持ちつつ、嘘のつき方や演技力の方にイメージが偏ってしまい、ちょっと残念なヒロインだったかもしれません。
ですが、最後はラングドンの真摯な対応によって……、というのが当然ながら待ち受けていますので、まぁ~、そうですね…(笑)。
でもって、1番心配だった、ミッキーマウスの腕時計がラングドンの腕に戻って何よりでした。
そして、映画が楽しみです。
そう言えば、読みながら頭の中に描くラングドンは、トム・ハンクスではなくて、著者のダン・ブラウンでした…。