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板の庵(いたのいおり)

エッセイと時事・川柳を綴ったブログ : 月3~4回投稿を予定

エッセイ:「少女の怒り(26)」

2019-09-29 12:00:53 | エッセイ
エッセイ:「少女の怒り(26)」2019.09

予報通り台風15号は東京湾に入り千葉県の東南部に上陸していった。
夜中に風の音が騒がしく雨戸音がうるさくなったので台風が通過中なのかと思いつつ夢の中である。翌朝我が家の敷地内では大量の木の葉が車庫に吹き溜まりになっていた。
台風は無事に通り過ぎてくれて一安心と思いつつテレビをつける。最初のニュースで市原市のゴルフ練習場の鉄柱が何本も折れてネットもろとも近隣の住宅の屋根に崩れ落ち、惨憺たる状態が目に飛び込む。これを見ただけで容易ならざる事態が推測できる。
しかし肝心のテレビは、安倍内閣改造人事の方に歓心が行き台風のことなど忘れたかのように報道はしていない。ところがとんでもない災害が発生していることが徐々に判明行くのである。

千葉県では30万戸以上の世帯が停電しさらに断水も多い。また多くの家で屋根が捲(めく)れ瓦は飛ばされ惨憺たる有様である。電柱は風や倒木で無残に折れ、道路も倒木により塞がれ通行できない。被害状況を調査することもできないありさまだ。わかったことは、家屋の全半壊、一部損壊を含めて2万件を超えたということだ。

わが身に置き換えて、気力も体力も落ちお金もない人生の晩年にこのような激甚的な被害にあったら力が抜けて途方に暮れるだろう。基本的には自助努力で僅かの公的補助金とボランティアの助けを借りつつも復興はいつになるのだろう。
被災者の皆様には同情するのみである。台風が東京湾をそのまま真っ直ぐ北上していたら我が屋も同様の被害に襲われたかもしれないと思うとぞっとする。ラッキーで被災を免れたのである。

同じ千葉県人としてテレビで報じる台風関連のニュース「生活情報」を見るのがさすがに辛く、どっと疲れが出てくるのでチャンネルを切り替える。
被災者の皆さんには“これから体に気を付けて頑張ってください”としか残念ながら言いようがないのである。

ところで、23日ニューヨークで国連の「気候行動サミット」が開催された。温暖化対策の国際ルール「パリ協定」は産業革命前の1.5度未満に抑えることが目標であるが、各国の目標を達しても3度上昇してしまうという。
ご承知の通り、地球温暖化が異常気象をもたらしているのである。トランプ米国大統領は温暖化をでっちあげであるとして、「パリ協定」を離脱してしまった。
世界で最も温室ガスのもとになる二酸化炭素を排出する中国や米国に本気でやる気がないのだからどうしようもないのである。
北京は冬場になると視界きかないほど大気が汚れ、人々は防塵マスクをして生活している。であるにも関わらず中国は都合よく「発展途上国」であるからといって逃げる。
古来中国は人命軽視思想があり人の命は二の次である。共産党が全てを牛耳り、彼らに反抗するものはすべて処刑される。ただ大人しく従ってさえいれば命は取らないというのであろう。
一方米国は、世界の警察官の役割は放棄するとした。アメリカ・ファーストを前面にだし、軍事もさることながら貿易問題でも一歩も引かない自国優先の姿勢を顕著に押し出す。
 覇権争いで中国に危機感を覗(のぞ)かせるトランプに焦りのようなものを感じる。貿易戦争でイニシアティブをとるのはトランプであるが、どのように収束するのか予断を許さない。
いずれにしても、基本的に温暖化は経済活動そのもの結果である。すなわち人間の欲望を満たすものを安く大量に生産し消費する行為に他ならないのである。
ただ現在はそんなことをこのまま続けてよいのかという世界の潮流が起きているのだ。
 
さて、小泉新環境大臣は早速に福島県に行き、またニューヨークに飛んでマスコミ受けするスピーチをして注目を集めている。これまでの環境大臣に比べればその意欲やエネルギーは認めるが、結果が全てであることを認識してほしいのである。

一方、スエーデンの16歳の少女で環境活動家であるグレタ・トゥーンベリが国連の気候行動サミットに先立ち、気候問題への対策を世界規模で求めるストライキを主導した。そして、これまでよりもはるかに積極的な脱炭素対策をいますぐ実行すべきであると主張しているのだ。

そして国連事務総長のグテーレスは、「これは気候“会談”サミットではありません。話し合いはすでに十分に行ないました。これは気候“行動”サミットなのです」と、開会のスピーチで強調した。「今回のサミットに参加するにあたり求められているのは美しいスピーチではなく、具体的な行動なのです」と。

グレタ・トゥーンベリ嬢が、気候変動に対する政府の無策に抗議するために始めた学校ストライキは、SNSによって瞬く間に世界に拡散された。いま目の前で起こっている気候変動と一生を過ごすのは彼女たちの世代なのだ。

世界のリーダーたちに「いま」アクションが必要だと呼びかける“子どもたち”の声は、もはや大人たちにとって無視できないものになっている。
彼女は
「若者たちはあなたたちの裏切りに気づき始めている。私たちを見捨て道を選ぶなら、絶対に許さない」と各国政府代表者をにらみつけて対策の遅れを非難したと。

サミットでスポットライトを浴びたのは、2016年のパリ協定で定められた目標を最も行動に移している国々だ。つまり、サウジアラビア、日本、米国の代表者が登壇する機会はなかった、ということになる。

「京都議定書」(1997年、CCOP3)の旗振り役であった日本が袖にされているのは寂しい限りである。




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