板の庵(いたのいおり)

エッセイと時事・川柳を綴ったブログ : 月3~4回投稿を予定

霜月・11 川柳

2012-11-29 17:24:02 | 川柳(時事)
霜月・11川柳(2012)



1.太陽も塔だけ立派に生き残り
    岡本太郎vs石原慎太郎

2.ドジョウからバカ正直に衣替え
    野田総理通信簿を披露

3.薩長も首をかしげる合流劇
    維新の妥協

4.ゼロ増5減弱きを挫(くじ)くお茶濁し  
    違憲お茶濁し

5.手品でも戻ってきたい伝書鳩
    引退鳩山

6.三極も膨(ふく)らみ消える泡沫(うたかた)か
   +-極(自公・民)に弾(はじ)かれ

7.多党首他(ひと)の話は聴きもせず
    TV討論

8.冷やかに乱れる三極ほくそ笑み
    自公民

9.過去の人黒子なれば未来人
    無役・小沢一郎

10.総選挙どこに行こうかホームレス
    渡り歩く根なし議員

11.お幸(先)の落選わが身にすり替て
    小林幸子紅白落選


エッセイ:「アフリカと黒人パワーに関する雑感(30)」2012.11

2012-11-25 20:25:08 | エッセイ

エッセイ:「アフリカと黒人パワーに関する雑感(30)」2012.11


18回オリンピック東京大会(1964年)でマラソンのエチオピアのアベべ選手がローマ大会に続き連覇をするまでスポーツとアフリカがそれほど結びつかなかった。
当時はアフリカの選手が、オリンピックに出場して勝てる種目などほとんどなかった。アベべ選手が活躍し始めた頃以降、ブラックパワーが少しずつ注目されるようになる。

近年では、アフリカ・チームの台頭が著しく、W杯やオリンピックでも好成績を残している。アフリカ人の選手は元来身体能力が優れているとよく言われる。NBA(バスケット)、メジャーリーグ、世界陸上などブラック・ピープル(黒人)の出場しない試合を想像出来ない。

日本国内においても、東京箱根間往復大学駅伝競走あるいは全国高校駅伝大会などでも優秀な成績を上げる学校は外人選手(黒人留学生)の走りに負うところが多い。黒人選手の走は凄まじく、正にゴボウを引きぬく様そのものである。これが同じ人間、同じ高校生(大学生)かと思うぐらいに力の差があり、日本人としてお手上げである。

ところで、アフリカの黒人選手の陸上の成績を見ると面白いことが分かる。ナイジェリア、セネガル、カメルーンなどアフリカ西部出身の選手は短距離に強く、エチオピア、ジプチ、タンザニア、ケニアなどアフリカ東・北部出身の選手は中・長距離で好成績を残しているのである。

カナダ・ラバル大学がスポーツ選手の筋肉組織を調べたところ、アフリカ西部出身の選手は白人選手に比べて、速筋が多いことが分かった。速筋は白筋とも言われ、色が白い筋肉線維である。白人の選手59%に対して黒人は67%もあった。速筋は瞬発力を高める。つまり短距離競走に理想的なからだなのだ。

一方、アフリカ東・北部の選手を研究したのは、スエーデンの運動生理学者サルティン博士。激しい運動をしても血中乳酸値が上がりにくいことが分かった。遅筋は赤筋とも言われ、色が赤い筋肉線維である。有酸素運動で持久力が高いのである。激しい運動をしても疲れにくい体質といえるのである。

同じアフリカでも、民族的なルーツが違い、それぞれ異質の「身体能力」を持っているのだ。さらにアフリカ東・北部のケニアの選手は標高2千メートル以上の高地の出身者で、子供のころから日常生活そのものが高地トレーニングだったわけで、もともと持っている“身体能力”を絶えず磨いてきたと言える。
アフリカもグローバル化が進み経済力を身につけてよい環境でトレーニングが出来るようになった。あと20年もしたらアフリカのチームに勝てるスポーツはなくなるかもしれない。

日本人の多くが抱いてきた、 “アフリカのイメージ”とはどんなものだろうか。北アフリカではサハラ砂漠をラクダに乗った隊商が行き来し、アフリカ南部のジャングル(密林)には大蛇、ワニなどが、また大草原にはライオン、キリン、シマウマなどの動物が生息している。そして裸の土人・黒人(ブラック・ピープル)が槍をもって狩りをする。まさに子供の頃に見たカッコいい“ターザン”の 映画がイメージの原点にあるような気がする。

一般の日本人から見ると、アフリカは経済的に発展しつつあるとはいえ、未だ未開発の地が多く貧困・飢餓やエイズ、マラリア等に苦しみ、さらには部族対立による混とん、紛争という、いわゆるネガティブというイメージが強いのではないか。

しかし、53カ国と9億人の人口を持つアフリカ大陸は、21世紀になってその豊富な鉱物資源の埋蔵量はがぜん注目され始めた。欧米先進各国ともアフリカ各地の支援に乗り出してきた。中でも中国、ロシアなどでは資源開発・獲得に的を絞った首脳外交を強力に展開している。
ちなみに戦後、日本の総理大臣でアフリカを訪問したのは、森元総理と小泉元総理の二人だけでだそうで、アフリカ外交には極めて関心が薄かったようだ。

資源の代表格は石油、天然ガスであるが、アルジェリア、リビア、ニジェール、ナイジェリア他では世界の産出量の10%以上を占め、多くはパイプラインで欧州へ輸出されている。
またルワンダ、タンザニア、ザンビア、ボツワナに抜ける「資源回廊」と呼ばれる国々では、金、銅、プラチナ等やレアメタルなど種々の鉱物資源の発掘ラッシュが起きている。まさに“希望の大陸”と呼ばれる様相になってきたのである。これまでのような欧米による資源争奪の植民地主義化を排除し、自らの国で権益を守り自立に力を入れてきている。

アフリカは全人口の41%が15歳未満の世界で最も若い地域である。インド33%、ブラジル22%、中国20%で日本はわずか14%である。
昨今アフリカの若者世代を「チーター世代」と呼ぶことがある。彼らは親の世代と異なる価値観を持ち、民主主義と透明性、汚職の根絶を求めて、かってない早さで前進して行こうとすることからだそうだ。

アフリカの最大のテーマは教育であるが、道は遥かに遠いと言わざるを得ない。一部の国ではパソコンや情報通信技術を駆使した教育システムも導入されつつある。南アフリカでは、高等教育へのニーズの拡大に伴い、最貧困層の学生でもビジネススクールで学べるような独創的な大学も生まれている。
気の早い人が「21世紀はアフリカの世紀」だと期待する一方、現状ではとてもそれは無理という反論である。

アフリカ大陸は奴隷貿易と植民地支配に数百年に渡って苦しめられてきた。また独立後も、独裁政治が続き、経済的には植民地支配が継続してきたのだ。これらの負の遺産を将来へのバネにする可能性がどれだけあるかに掛かっている。いずれはASEANのように世界経済の牽引する役割を担えるようになるだろうが、それはいつのことになるのだろうか?

欧米の比較基準では、6大陸のうちで最も政治・経済、文化等が遅れているのがアフリカ大陸である。
現生の世界は西洋文明が世界を席巻している。自然を征服するのが西洋の文明なら、自然と共存するのが東洋の基本思想である。
人類の単独繁栄により他の生物は乱獲されたり、生存場所をせばめられて急速に数を減らしている。同時に70億人にも達する人類における貧富の格差は道徳的にも許容できない水準にまで拡大している。

私にはアフリカが西洋文明を求めてグローバル化されて欲しくないという願望がある。今の世界はこのままでいいのだろうかと思う。世界が弱肉強食に凝り固まっている。強い国、強い人間、富める者だけが勝ち残っていく。経済力最優先ではなく、もっと人間らしい生き方を求めていくアフリカであって欲しいと思うのだがそれは無理であろうか。


エッセイ:「 湯畑とお墓(29)」2012.11]

2012-11-11 10:35:06 | エッセイ

エッセイ
:「湯畑とお墓(29)」2012.11

 近くにある市の施設コミュニティセンターに毎日集う囲碁仲間ら有志9名と群馬県草津温泉へ初めて親睦旅行に出かけた。幹事が安いツアーを手配し、何と往復とも千葉からバスで運んでくれて交通費千円である。全員が年金生活者で、多くの人に参加してもらうためにはこの手の旅行に限らざるを得ない。当然ホテルのサービスには不満もあるが、欲を言ったらキリがない。要は集う機会を作ることが大切なことである。

 安いホテルは中心街から離れて高い所に位置する。狭くて急な坂を下って10分、有名な湯けむりをあげる「湯畑」(温泉:日本三名泉、湯量日本一)を見学した。以前一度来たことはあるが「湯畑」がホテルの近くにあったため、町を散策することはなかった。今回は草津温泉街の概観を知ることが出来た。

 遅い昼食を近くの「蕎麦屋」で、店主が自慢する10割蕎麦(つなぎは30人前で卵一個)の講釈を聞きながら味を堪能した。ホテルの夕食はバイキング料理、酒の飲み放題である。ざっと見て200名ぐらいはいただろうか。腹をすかした客が大勢並んで料理をとる様は始めのうちは殺気立っていた。
 料理は日本食の田舎料理が中心で、食欲をそそる魅力的なものはそれほどなかった。「コンニャク」の生産では群馬県が全国一であると幹事から聞いてはいた。料理の中で一番美味しかったのは「コンニャク」であった。食べ放題、飲み放題のバイキングとはいっても、この歳になると食事に1時間もの時間をかけられないものだと痛感した

 翌朝の朝食時、私の隣の席にいた60歳台と思しき3名の女性グループに声をかけてみた。横浜から来た高校時代の同級生の仲間である。「皆さんのご主人は、今頃何食べているの」と尋ねると、一斉に「もう、亡くなったの」という。私は言葉に詰まって、「それにしても、皆さんお元気そうですね」というと、「主人を送りだしたら、肩の荷が軽くなったみたい」という。
 私は「妻よりは先に逝きたい。後に残りたくない」というと、彼女達は「そうね。男の人が取り残されると惨めね」と。そして返す言葉で、私のお盆に載っている料理の量を見て、「男の人がそれで足りますか」という。彼女達は私よりはるかに沢山の料理を盛っていたのだ。このバイタリティは女が男よりも長生きできるように神様が仕組んだものであろうか。

 昨今、我が家にも電話勧誘による墓地の販売が時々あるが無下に断る。両親が埋葬されている墓は九州にある。千葉県にいる私がその墓にはいることは実際上ないだろう。じゃあどうするのだ、と言われるとその当ては今のところないのである。

 近頃は銀行でも、遺言状の書き方、資産管理を含む贈与税の知識などの講習会が催されており案内状が来ることがある。また、写真屋が遺影用の写真を元気なうちに最上の笑顔で残しておくことよいと勧める。世の中は、死後に発生するもろもろの問題を生きている間に始末をしておくことが「飛ぶ鳥跡を濁さず」だ、と高齢者に甲斐性を求め始めたのだろうか。

 ところで、日本で最初に散骨を行ったのは東条英機である。1948年、極東軍事裁判で死刑の判決を受け、絞首刑が執行される。死体は家族の元には戻らず、横浜で火葬、遺骨は粉砕され遺灰とともに航空機によって太平洋に投棄された。
当時から人権を高々と謳っていた米国が、こんな理不尽なことをしたのだから太平洋戦争による犠牲で相当頭にきていたのであろう。

 昨今、散骨が静かなブーム(?)になりつつあるという。ところが不心得者がいてさすがに骨粉を下水道には流せず山村部の清流に投棄して行くらしくその地区では困っているそうだ。
首都圏では散骨セレモニー業者が相模湾を中心として安い費用(約20万円)で海上「散骨」を行っている。もちろん、「家族だけの静々しい気持ちで故人を見送りたい」との遺族の気持ちを踏まえて、海上の散骨地点の船上でセレモニーなどを行うなど十分に配慮が行き届いているらしい。もちろんその後に希望すれば、散骨地点での墓参り(?)もできるそうだ。

 生前墓「寿陵」は永遠の命の蘇りを信じ、時の権力者たちが巨大な生前墓を築き権力を誇示したものである。ファラオのピラミッド、皇帝や聖徳太子の寿陵は永遠の繁栄を願ってのものである。また、昭和天皇の「武蔵野稜」が寿陵として知られている。

 これからの高齢者は生前墓「寿陵」を建てて子供に負担をかけたくないという人が増えてくる。それと同時に、自分の眠る場所を予め決めて心の安らぎを持ちたい、さらにはこの寿陵は、「甲斐性のある自分が建立したのだ」という気持ちになりたいのかもしれない。
*注)日本では、一般庶民が石塔建立を認められたのは、元禄時代(17世紀)である。

 日本の人口の30%を占める団塊の世代を含む60歳代以上の大半が今後20年で亡くなっていく。現在首都圏や大都市に住む多くの人は地方圏から移り住んできたのだ。核家族化が進んだ結果、菩提寺はもとより墓や埋葬に対する考え方も大きく変化してきている。そうでないと、生前は不動産バブルで住居購入に本人が苦労し、死後には子供に墓地バブルで苦労をかけることになる。
 最近では、納骨堂の普及が一般的になって来ている。昭和初期にはロッカー型・棚方が中心であったが、仏壇型、お墓型といった高級な納骨堂も増えている。後継者がいなくても利用でき、墓石を購入する必要がなく料金が安いこのスタイルがこれから主流になっていくのだろう。

 先だっての新聞紙上で、トヨタ式のハイテク納骨堂が完成したと。トヨタグループが開発した「自動倉庫」の技術を応用した。本来は何10万という自動車部品を狭い場所で保管して効率的に仕分けする技術だが、納骨堂でも生かされた。納骨堂の受付でICカードをかざすと、自動的に遺骨箱がベルトコンベヤーに運ばれ、墓石に組み込まれる。屋外の墓地よりは割安で、使用量は85万円からだと。天候に関係なくお参り出来ることや、手のかかる管理が入らないことが特徴であるとか。
 さすがはトヨタらしい“カイゼン(改善)”の発想であり、転んでもただでは起きないというところであろうか。

 日本は、世界一速い少子・高齢化社会を迎えている。しかも経済低迷、産業の空洞化、反日による中国問題、原発等々の政治・経済・社会問題が山積みである。しかし日本だけでなく、米国、EUも日本人が想像する以上に疲弊しているのである。世界経済の牽引車といわれる中国も、日本の10倍の人口を持ちながらGDPが日本をわずかに超えたばかりの格差社会の国である。いずこも大同小異と言えるのはないか。
 日本は、世界のどこの国も経験したことのないことにチャレンジしていかなければならない。それらを克服することによって、他国にない新しいノウハウが習得できる。それは日本が世界をリードして行く起爆剤になるのではないだろうか。




10・神無月・川柳

2012-11-01 10:20:52 | 川柳(時事)

 

10・神無月・川柳


1.次自民逸(はや)る心が態度に出
    与党幻滅と財界の発言

2.万能で神の世界を覗き込み
    iPS細胞、生命の不思議

3.つまみ食いそっと隠れて手を伸ばし
    復興予算

4.ノーベル賞嫌がる国に文学賞
    中国の莫言氏へ

5.日本には登校拒否で対抗し
    中国、IMF東京総会を欠席
   
6.手の込んだ魔の一年で伯父握手
    ドラフト菅野巨人へ

7.おねだりは金の真珠にお婿さん
    国民栄誉賞・吉田選手

8.太陽の季節いつしか晩秋へ
    慎太郎節だけ燃え

9.官僚を手玉に取れる意気込みや
    石原ご立派 

10.この歳で欲徳大あり勲章かな
    叙勲