昨日お客さんから面白い話を聞いた。
歳は５～６０代だろうか、ノーメイクでネイティブアメリカンみたいな雰囲気のおばちゃんだ。持病でてんかんがあると言っていた。
そのおばちゃんの親父さんは今だ９０歳で健在らしく第２次世界大戦で徴兵されて南勢したときの話だ。（場所はわからないらしい、多分フィリピンとかだろうか？）
船で戦地へ着いたとたん、銃や軍服をさっさと捨てて、街や村を周り、まるで観光気分で遊んでいたらしい。おばちゃんが言うには女の子ナンパして遊んでたみたいと言っていた。そして戦地で駐屯帰還が終わり船で本国へ帰る時に上官から「お前は何をしていた！」と責を受け、適当に言い訳をしたが結局その軍船には乗せてもらえず、数ヵ月後に魚船か何かでどうにか帰還したという。後の知らせで最初に出た軍船は敵の攻撃を受け撃沈。兵士ともども皆死んだそうだ。
この話を聞いたときは実に面白いと思った。
権力の支配にされされながらも”自分”というものを捨てなかった親父さん。
はたしてこの親父さんは間違っているだろうか。
権力に従い、人を銃で殺した他の多くの兵士たちは正義だろうか。
俺はおばちゃんに聞いた。
「親父さんは何を持っていたんですかね。勇気ですかね？」
おばちゃんはあっさり答えた。
「そんな立派なもんじゃないよ。ただ自分が死にたくなかったからだよ。人生を楽しみたかっただけでしょ」
権力には何の力も無い。
まして人の人生を変えたりする力もひとかけらも無い。
変える力があるのは自分なんだ。
と素直に思えた。
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