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2007年2月-2010年2月 石神の丘美術館ブログ

2007年2月から2010年2月の岩手町立石神の丘美術館の活動記録(現在は更新していません)

浦島草

2007年05月21日 | 四季折々
屋外展示場の「山野草のゾーン」は、
もともとの山の地形や植生を生かした一角です。

初夏には、シラネアオイをはじめ、シュンラン、
シロバナエンレイソウ、オダマキ、エビネ、ベニバナイチヤクソウ
などたくさんの山野草が可憐な花をつけます。

このゾーンでも、特に変わった形で目をひくのが
「ウラシマソウ」です。
漢字で書くと「浦島草」。
ながーくのびた「付属体」と呼ばれる部分
(細長い紐のような部分のこと、30cm以上もあるんですよ!)
を、浦島太郎がたらす釣竿にみたててつけられた名だといいます。
可愛らしいとは言い難い姿ですが、
名前の由来などを知ると、何となく愛嬌があるように思えます。

サトイモ科の植物の特徴として
肉穂花序(にくすいかじょ)・・・小さな花が棒状に集まって咲く咲き方
仏炎苞(ぶつえんほう)・・・花をつつむ苞
があります。
同じサトイモ科の仲間、ミズバショウなどを
思い浮かべていただくとわかりやすいかもしれません。
このウラシマソウも、赤紫色の部分は花ではなく、
仏炎苞と呼ばれるもので、花はその中にあります。

園内には、ウラシマソウに近い種類の「マムシグサ」もあり、
コチラは緑色の仏炎苞に蝮のような柄の茎が特徴です。

ちょっと変った自然と出会いたい方にオススメの植物です。


オキナグサ

2007年05月09日 | 四季折々
「オキナグサ」が咲きました。
別の名を「うずのしゅげ」ともいいます。
花全体が細かい毛におおわれており、
花が終わった後の種は
長い毛に包まれたとても面白い形をしています。


宮澤賢治の童話に「翁草」と題されたものがあります。
自然を愛した賢治らしい、細やかな視点と繊細な描写の文章です。


少し引用してみましょう。
(読みやすくするために、改行してあります)



うずのしゅげを知っていますか。
うずのしゅげは、植物学ではおきなぐさと呼ばれますが
おきなぐさという名は何だかあのやさしい若い花を
あらわさないようにおもいます。

そんならうずのしゅげとは何のことかと云われても
私にはわかったような亦わからないような気がします。

それはたとえば私どもの方で
ねこやなぎの花芽をべんべろと云いますが
そのべんべろが何のことか
わかったようなわからないような気がするのと全くおなじです。
とにかくべんべろという語のひびきの中に
あの柳の花芽の銀びろうどのこころもち、
なめらかな春のはじめの光の工合が実にはっきり出ているように、
うずのしゅげというときはあの毛莨科のおきなぐさの黒朱子の花びら、
青じろいやはり銀びろうどの刻みのある葉、
それから6月のつやつや光る冠毛がみなはっきりと眼にうかびます。

まっ赤なアネモネの花の従兄、
きみかげそうやかたくりの花のともだち、
このうずのしゅげの花をきらいなものはありません。

ごらんなさい。
この花は黒朱子ででもこしらえた変り型のコップのように見えますが、
その黒いのはたとえば葡萄酒が黒く見えると同じです。
この花の下を終始往ったり来たりする蟻に私はたずねます。

「おまえはうずのしゅげはすきかい、きらいかい。」

蟻は活撥に答えます。

「大すきです。誰だってあの人をきらいなものはありません。」

「けれどもあの花はまっ黒だよ。」

「いいえ、黒く見えるときもそれはあります。
けれどもまるで燃えあがってまっ赤な時もあります。」

「はてな、お前たちの眼にはそんな工合に見えるのかい。」

「いいえ、お日さまの光の降る時なら誰にだって
まっ赤に見えるだろうと思います。」

「そうそう。もうわかったよ。お前たちはいつでも花をすかして見るのだから。」

「そしてあの葉や茎だって立派でしょう。
やわらかな銀の糸が植えてあるようでしょう。
私たちの仲間では誰かが病気にかかったときは
あの糸をほんのすこうし貰って来てしずかにからだをさすってやります。」

「そうかい。それで、結局、お前たちはうずのしゅげは大すきなんだろう。」

「そうです。」

「よろしい。さよなら。気をつけておいで。」

 この通りです。

(宮沢賢治「おきなぐさ」より)



現在咲いているのは、数えるほどですが、
これからもっとたくさん咲き、
不思議な形の種をつけることでしょう。
賢治の童話を片手に、オキナグサを見にいらっしゃいませんか。

スイセン畑と黄色いカタクリ

2007年05月05日 | 四季折々
昨日の夕方、今朝方と、
春雷が轟いた岩手町です。

屋外展示場の植物たちは、
花や葉に受けた雨粒が陽光に反射して、
生き生きとした印象です。

スイセン畑。


黄色いカタクリも、一輪咲きました。

スイセンたちのすぐ近くで咲いています。
別なつぼみももうすぐ開花することでしょう。

屋外展示場植物の開花状況-シラネアオイほか

2007年05月03日 | 四季折々
人気の高い山野草、
シラネアオイが今年も花を咲かせました。



この連休中が見頃となりそうです。

コブシも咲いています。


「満開」というにはまだ少し早いですが、
屋外展示場出入り口斜面のスイセンもやっと開花し始めました。

最近、暖かい日が続いているので、
この連休中に一気に開花するかも知れません。

これから咲く主な花としては、
既につぼみを付けている黄色いセイヨウカタクリ、
小振りで可愛らしいピンク色の花を咲かせるヒメサユリ(例年5月下旬)などが
挙げられます。

ラベンダーの開花に関するお問い合わせも増えて来ました。
石神の丘美術館屋外展示場のラベンダーは、
例年、6月下旬から7月上旬にかけて見頃を迎えます。
開花まで、もうしばらくお待ち下さいませ。