
<【正論】韓国の「人権」に普遍性はあるか 防衛大学校教授・倉田秀也>
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140331/kor14033103190000-n1.htm
■ジュネーブで開かれた国連人権理事会は、奇妙な様相を呈していた。5日の高級会合で、韓国の尹炳世外相が「今でも世界各地の紛争地域で深刻な性暴行が横行している」と述べ、「過去に発生して今も解決されないまま進行中の問題」の実証的な事例として、「日本軍慰安婦被害者」を挙げた。また、この会合では、国連の北朝鮮人権調査委員会がまとめた同国の人権に関する報告書が提出された。同じ理事会で、「人権」問題の面から、日本は北とともに追及されたことになる。
韓国の外相が国連人権理事会に足を運んだのは、初めてではない。2006年の理事会でも、潘基文外相(現国連事務総長)が出席し基調演説をしているが、慰安婦問題には触れていない。それ自体、慰安婦問題で韓国が新たな外交攻勢を仕掛けていることを示している。
最近の韓国での慰安婦問題の取り上げ方をみると、最大の論点であった「強制性」よりも、それを「普遍的」な女性の「人権」問題と位置づける論調が目立つ。ただ、これを朴槿恵大統領の属人的な発案とみるのは、恐らく誤っている。
李明博前大統領は一昨年の竹島上陸直後の光復節(解放記念日)の演説で、慰安婦問題を「二国間レベルを超え(た)戦時における女性の人権問題」としたうえで、「人類の普遍的価値」に触れて、「日本の責任ある措置」を促していた。前にも、韓国外交当局者が「女性の人権と人道主義」などに言及していたから、李発言は大統領周辺での議論の結果、発せられたものであろう。米国をはじめ国際社会で、日本を追及しようと脾肉(ひにく)の嘆をかこっていた団体は、韓国の外交攻勢にこぞって共鳴した。
北朝鮮の人権については、米国と同様、日本でも「北朝鮮人権侵害問題対処法」が成立して久しい。韓国ではこの種の法案は約8年間、「店晒(たなざら)し」状態にあり、いまだに成立の日の目をみていない。法案が北朝鮮との対話を困難にすると気炎を上げ、成立を阻む野党勢力はなお衰えてはいない。付言すれば、1992年の中韓国交正常化から二十余年がたつが、韓国が中国の人権状況の改善を求めたとは寡聞にして知らない。
誤解を避けるためにいえば、本論の力点は、韓国に「人権」外交を求めることにも、北朝鮮人権法の成立を求めることにもない。
韓国があらゆる人権問題から、「戦時下における女性」のみを切り取って標榜(ひょうぼう)する「人権」とは、日本という特定の国の過去の追及という特定の政治目的を果たすために、国際社会の支持を求めて掲げられたものにほかならない。その主張はどこまで「普遍的」か、国際社会に向けて発せられる主張として、果たして「公正」なのかが問われねばならない。■
韓国の「人権」は恣意的なのである。自らの強権政治、民衆弾圧の歴史は不問に付し、日本統治時代のありもしない「残虐性」をあげつらい、糾弾する。常識外れの妄想民族なのである。しかし、この取ってつけたような「人権」は、海の向こうで騙される人が続出しているらしい。
<【LA発 米国通信】グレンデール慰安婦像撤去訴訟 「表現の自由を守る」と被告側代理人…争点はそこか?!>
http://sankei.jp.msn.com/politics/topics/politics-23384-t1.htm
■米カリフォルニア州グレンデール市に設置された「慰安婦」像の撤去を求め、日系住民らのNPO「歴史の真実を求める世界連合会」(GAHT)が同市を提訴した問題で、米大手法律事務所「シドリーオースティン」の弁護士が被告側代理人に就くことが分かった。弁護士は「表現の自由を守る」と語っているというが、争点は果たしてそこなのだろうか…。
原告側は、「グレンデール市は、連邦政府の専権事項である外交政策の形成に越権して慰安婦像を設置した。議論の多い、政治的に微妙な元慰安婦の歴史において、韓国側の立場のみを取った」と主張しているのがひとつ。
さらに、像のそばには、《戦時中、日本軍が強制連行して性奴隷にした20万人の婦女子が慰安婦にされた》と書かれたプレートが設置されているが、原告側は「プレートの文言は市議会で承認されていなく、手続きに瑕疵(かし)がある」とも主張している。
「日本軍が強制連行」「性奴隷」「20万人」という韓国や中国の主張で一人歩きしている部分が文言に刻まれているからだ。これを日本側が指摘すると、韓国側は「日本は慰安婦を認めない」と世論に訴えてきた。こうした背景がありながらも設置された像の撤去を求める行為が、「表現の自由」を侵害すると裁判所が判断するかは不透明だ。
一方、像設置を決めた市議会は、そもそも韓国側の主張だけを議決に反映させてきただけに、「日本はもっと歴史を学ぶべきだ」といった態度が目立つ。
原告側の「外交問題に踏み込んだ」との指摘にも「外交問題ではなく、女性の人権問題」(フリードマン市議)と反論している。昨年7月の像設置の採決に当たっても、「強制連行」「性奴隷」「20万人」の客観的な検証はなされていないのだ。
像設置を推進した韓国系団体は、この「女性の人権問題」という論理を前面に出して、中国系やフィリピン系、日系人の一部などに呼びかけ、「包囲網」を敷く戦略を取っている。
「外交問題への越権」と、「表現の自由」「女性の人権問題」が争点としてかみ合うのか。裁判所が公判までに争点をどのように整理するかが注目される。■
韓国側の言う「人権」が日本批判のための方便や口実でしかないことが分かる。自国が関係する人権問題、すなわち朝鮮戦争時の慰安婦問題、ベトナム戦争時の虐殺・強姦、混血児・ライダイハンの問題、現在の10万人の売春婦輸出などの問題を、見て見ぬふりをしていることからもそれは明らかだろう。日本の国際的な評価を傷つけるための宣伝なのだ。
宣伝戦、情報戦といえば、中国が本家本元だ。「産経抄」がこう指摘している。
<中国が仕掛ける情報戦>
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140331/chn14033103170000-n1.htm
■昨年、生誕150年を迎えた徳富蘇峰が、国際政治における宣伝の重要性に気づいたのは、第一次大戦前夜のころだった。当時ドイツから自国の優秀さを強調する、英文のパンフレットがやたらと送られてきていた。バカバカしいと思いながら読んでいるうちに、だんだんその気になっていったそうだ。さらに、宣伝が得意なのは、中国だとも指摘している(『稀代のジャーナリスト 徳富蘇峰』藤原書店)。
▼まさに慧眼(けいがん)である。中国の習近平国家主席が、訪問先のドイツで対日批判の講演を行った。日中戦争では3500万以上の死傷者が出て、南京事件では、旧日本軍が30万人以上を殺害したというのだ。
▼死傷者数は、中国政府によってこれまで根拠のないまま水増しが続いてきた。「3500万」は、1995年に江沢民元国家主席が、モスクワで行った演説で言い出した数字だ。30万人殺害についても、当時人口が20万人だった南京では、あり得ない。
▼事件直後に「大虐殺」を最初に紹介した英国のジャーナリストと、中国国民党の中央宣伝部とのつながりも明らかになっている。つまり、虚実不明の南京事件は、当時から中国の反日プロパガンダ(宣伝)に利用されていたことになる。
▼蘇峰の言うように、事実が歪曲(わいきょく)され数字に根拠がなくても、繰り返し語られれば、国際世論もいつか「その気」になるかもしれない。日本の評判失墜に成功すれば、尖閣諸島をわがものとし、国内の人権弾圧の実態を覆い隠すのに好都合だ。習主席がこう考えているとすれば、反日プロパガンダは、今後もエスカレートするばかりであろう。
▼「日中関係改善はさらに遠のいたといえる」(毎日新聞)などと、呑気(のんき)なことを言っている場合ではない。■
最後に毎日新聞の社説を、「呑気なことを言っている場合ではない」と切り捨てていることろで笑ってしまった。毎日の能天気で無意味な社説については、何度か取り上げたことがあるからだ。中国の宣伝戦の巧みさは、孫子の兵法以来の伝統である。習主席はドイツで「中国人は自分にされたくないことを他人にしてはならないとの信念を持っている」などと語り、中国が周辺地域の平和と安定を望んでいると主張した。白々しい嘘だが、これも100人の聴衆のうち一人でも信じてくれればいいという宣伝作戦なのだろう?
国防費の増強について、「中国は列強に植民地にされた歴史の悲劇を繰り返すわけにはいかない。自衛のための国防力は必要だ」と述べ、屈辱の近代史を例に挙げて、軍備拡張路線を正当化したのも、その類であろう。今年は日清戦争から120年の節目ではある。
その中国で、共産党元幹部の大掛かりな腐敗退治が明らかになった。
<中国、周永康氏の部下・親族300人も拘束 利権一族、1・5兆円差し押さえ>
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140331/chn14033108120002-n1.htm
■胡錦濤政権時代の中国最高指導部(共産党政治局常務委員会)の元メンバーで、汚職の疑いで調べを受けているとされる周永康氏(71)について、ロイター通信は30日、本人に加えて親族や部下ら300人以上がこれまでに拘束され、差し押さえられた資産は総計で900億元(約1兆4900億円)以上に上ると報じた。一部の部下らの逮捕・起訴については昨年来、中国国営メディアでも報じられており、捜査の手が“本丸”である周氏にまで延びるか注目されていた。ロイターは「中国建国以来最大のスキャンダル」と伝えており、事件の余波で中国は大混乱に陥る可能性もある
最高指導部に近い複数の消息筋の話としてロイターは、拘束されたのは周氏本人と妻、長男らのほか、副大臣クラスが約10人、ボディーガードや秘書らも20人以上に上ると伝えた。また、差し押さえられた資産のうち銀行預金が370億元(約6100億円)、内外の債券が510億元(約8400億円)。アパートなど不動産300軒以上のほか、金、銀、骨董品、高級酒なども没収されたとしている。
中国では党政治局常務委員の現役と経験者は刑事責任を追及しないとの不文律があった。政治局常務委員は13億の人民を動かす最高指導者たちで、胡錦濤政権時代は9人、現在の習近平政権では7人いる。周氏は2007年から政界を引退する12年まで常務委員(党内序列9位)を務めた。■
不文律を破ってどこまで腐敗の摘発が進むのか? それとも単なる見せしめに終わるのか? 習主席には「一家が汚職によってこれまでに計20億元(約334億円)に上る金を不当に得た」との指摘もあり、腐敗の追求は両刃の剣となりかねないからだ。
日夜繰り返される中国のサイバー戦に対抗するため、アメリカが防御体制を強化する。
<米、サイバー軍を6千人規模に 国防長官、約7倍増>
http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014032901001338.html
■【ワシントン共同】ヘーゲル米国防長官は28日、サイバー軍の要員を2016年末までに6千人規模に増強する方針を表明した。現状より7倍近い大幅増になるもようだ。サイバー司令部と国家安全保障局(NSA)本部がある東部メリーランド州フォートミード陸軍基地の式典あいさつで明らかにした。
ヘーゲル氏は、中国などが発信源とされるサイバー攻撃について「私が話している間にも、国防総省のシステムは約5万回も敵のアクセスを受けている」と懸念を表明。
同時に水道、電力を含む米国の公的サービスのシステムを狙った攻撃が「激増している」と述べた。■
中国はアメリカのインフラを狙っている。サイバー攻撃では、北朝鮮も油断がならない。自衛隊も先日防衛隊を立ち上げたばかりだ。
<自衛隊「サイバー防衛隊」発足…24時間態勢で>
■自衛隊の「サイバー防衛隊」が26日、約90人で発足した。
防衛省や自衛隊のコンピューターシステムの状況を24時間態勢で監視し、被害発生時の緊急対応などに当たる。
防衛隊は、これまで陸海空3自衛隊が個別に行ってきた情報収集や攻撃手法の調査、隊員訓練などの任務を一元的に行い、日常的に外部からコンピューターウイルスなどのサイバー攻撃を受けている自衛隊のネットワークを防護する役割を担う。
小野寺防衛相は同日、省内で、佐藤雅俊隊長と隊員を前に訓示し、「サイバー攻撃への対処は安全保障上、重要な課題だ。攻撃は平素から武力攻撃事態までのあらゆる状況で行われる可能性がある。迅速で効果的な対処を可能とするための中核部隊として新設された」と強調した。■