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非結核性抗酸菌症(肺MAC・マック症)
一部引用
肺MAC症とは、どんな病気ですか?(原因菌、人にうつらない、進行が遅いなど)
肺MAC症とは結核菌の親戚のような菌でおきる肺の良性の病気です。
この菌の名前がMycobacterium avium complexというのでその頭文字を取って「MAC」と呼んでいます。
結核菌は1種類しかないのですが(厳密には牛がかかる牛型結核菌というのもあります)、MACの様な結核菌の親戚は世界中で150種類くらいあります。
日本でも20種類くらいはありますが、その中で一番かかる方が多い菌がMACです。
親戚ですからこの菌を顕微鏡で見ると結核菌とそっくりに見えますが、性質はずっと穏やかで、結核のようにどんどん進行し高い熱を出すとか、
まわりの人々にもどんどん感染して広がるということは全くありません。だからゆっくりしか進行しないのですが、治療の効果があらわれるのもゆっくりです。
結核は原則約6ヶ月間、薬を飲めば完治するのに対し、肺MAC症は3種類の薬を4~5年間くらいは飲み続けることが必要です。
軽症の場合には、治療を開始せずに様子をみるだけの場合もありますが、いったん治療を開始したら根気よく続けることが大切です。
薬物療法によって進行が抑えられ、肺の状態も徐々に改善されていきます。
非結核性抗酸菌とは、
結核菌とライ菌以外の抗酸菌の総称であり、現在100菌種以上が発見されており、それらの菌種によって起こる感染症のことです。
非結核性抗酸菌は自然環境中の水系・土壌中や家畜などの動物の体内、水道・貯水槽などの給水システムなどに広く生息しており、
菌を含んだ埃や水滴を吸入することにより感染すると推定されています。国内でも20菌種を超える感染症が報告されています。
そのうち7~8割ぐらいはMAC(Mycobacterium-avium complex)と呼ばれる菌で占められています。
結核菌は他人への感染性が強いため、患者さまの喀痰から直接菌が検出されると、結核病棟への入院の対象となりますが、
非結核性抗酸菌は菌が検出されても他人に感染することはなく、一般病棟あるいは外来にて治療をおこなうこととなります。
どんな人が非結核性抗酸菌にかかりやすいのか
以前は、陳旧性肺結核症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺切除後やじん肺、間質性肺炎などの既存の肺疾患を有した男性に多くみられていました。
しかし最近では、過去に基礎疾患のない中年以降の女性の増加が顕著で、なぜ女性に多いのかははっきりとはわかっていません。
非結核性抗酸菌の治療方法
現在結核は一部の多剤耐性結核を除いて多くが治癒を期待できるようになったのに比較して、非結核性抗酸菌症は治療がまだ確立しておりません。
結核と類似した病気のため、抗結核薬を含めた3~4種類の薬を用いて治療を行います。(手術を行う場合もあります)。
ただし経過の長い病気で、自然軽快することもあるため、軽症の時には経過観察のみ行うことも少なくありません。
当院では以前30年以上経過観察のみで過ごされた方もいらっしゃいます。
治療をするにしても、経過観察するにしても、この病気と長くおつき合いしていこうというゆとりをもって過ごすことが大事だと思います。
2017-01-25、リンク先のホームページの記載ページ変更により追記