【クリック】
医者と病院と製薬会社だけがボロ儲け!「薬価の闇」をえぐり出す
一部引用
普段何気なく飲んでいる薬の値段は、誰がどのようにして決めているかご存知だろうか。実は患者のことなんか考えていない。そこにあるのは自分たちの利益だけーー日本の「薬価の闇」をえぐり出す。
上昌広 (かみ・まさひろ)
93年東京大学医学部卒業。国立がん研究センターなどを経て、現在は医療ガバナンス研究所・理事長を務める
川口恭 (かわぐち・やすし)
93年京都大学卒業後、朝日新聞社入社。'04年に独立し、医療専門誌『ロハス・メディカル』を創刊
上) 日本は世界の中でもっとも薬の値段が高い国の一つです。それはなぜか。簡単に言ってしまえば、日本の薬価は一部の人間が「適当」に決めているからです。
この一部とは厚生労働省が管轄する「中央社会保険医療協議会」(中医協)のこと。
中医協は、厚労省の役人や医師、公益委員など合計20~30名ほどで構成されている。この中医協という組織は、先進国の中でも日本だけの特殊なものです。
川口) アメリカでもイギリスでも、薬の値段は製薬会社が決めています。その値段で買うか買わないかは、保険会社や「NHS」
(国民保険サービス)に入っている保険者次第で、値引きもあります。
上) ところが日本は中医協という一つの組織にしか決定権がなく、医療の現場を知らない中央官庁の職員が薬価を決めているのです。
中医協は非常に狭い「村社会」で、医療業界の利益を確保することを第一に考えている。
中医協が決めているのは薬価だけではない。診療報酬も彼らが決めている。たとえば、心臓マッサージを30分間施した場合の診療報酬は2500円ですが、
風邪の診療報酬は4000円に設定されている。生死がかかる治療のほうが安くて、3分で終わらせる診察のほうが高いなんて、おかしいと思いませんか。
川口) そうですね。日本の医療の問題点は、大切な医療費が中医協という閉鎖的な空間で決まり、「ブラックBOX化」していることです。
上) その問題を浮き彫りにしたのが、最近話題の「夢の抗がん剤」と呼ばれるオプジーボ(小野薬品・製品名はニボルマブ)。
オプジーボが問題視されたのは、年間3500万円というあまりに高額な薬価です。
上) 中医協だけで決めている限り、それは難しいと思う。基本的に競争がないと値段は下がりません。
その点、アメリカは、製薬メーカーが何とかして使ってもらうために価格を下げます。
アメリカで、オプジーボの値段が下がったのも対抗薬のキートルーダ(メルク社)が出てきたからです。
特にジェネリック(後発薬)はどんな企業でも参入することが可能なので、競争原理が働き価格は自然と下がる。
しかし日本では全ての値段を中医協が決めてしまうので、ジェネリックも海外より高い。
アメリカのように「マーケット」が値段を決めればこんなことにはならないのですが……厚労省も中医協も製薬メーカーに便宜を図って値段を決めている。
当たり前ですよね。大事な天下り先なんですから。
川口) 国民の代表であるはずの健康保険組合が、ここまで医者や製薬会社の「カモ」にされていることは情けない限りです。
上)「あと5年で日本の医療制度は破綻する」という話もありますが、私からすれば「もう破綻している」。
今後、一番資金が必要になるのは高齢者介護の分野です。しかしそこに全然、カネが回っていない。
川口) それどころか、どんどん高齢者介護の予算は削られています。
上) それは儲からないからです。介護は一人一人違うので手間の割に、利幅が薄い。
一番儲かるのは、ある病気の患者さんだけに特定して、薬を高く売ること。それが根拠のない薬価に繋がっている。
しかもそれを2年間改定しないのは、どう考えてもおかしい。
川口) そこに国民目線はまったくありませんね。
上) 一番大切なのは、高齢者になってもきちんと医療を受けられて、日常生活を過ごせることです。