医療鎖国-なぜ日本ではがん新薬が使えないのか-
中田敏博
日本の医療制度は国民皆保険であり、原則的にどの国民も自分の選んだ医療機関で、加入している保険制度にかかわらず差別のない同じ内容の医療を受けられる。しかも、他国に比べ日本の保険医療支出は小さい。
これが日本の医療制度の優れている点である一方、様々な問題も存在する。
著者の指摘する問題点は様々あるが
・日本の医療制度の持続可能性。
・先端医療技術へのアクセスの悪さ。
これが個人的に感じる問題点。
日本の医療費は現在年約35兆円であり、最近は年平均6000億円程度で上昇している。
医療費のうち公費によって13兆円、事業者と被保険者が負担する保険料によって17兆円、患者負担が5兆円となっている。
基本的には社会保険で賄うが、税金も投入する混合型保険となっており、
国と企業と国民三者が負担する構造となっているらしい。
ここで問題は、国の財政が危機的状況である一方、医療保険の収入も厳しくなっている点。
特に国民健康保険においては加入世帯のうちの半数が無職であり、保険料滞納世帯が加入者の2割以上という状況だそうだ。
さらに後期高齢者医療制度では、各保険者が財源支援をする仕組みとなっており、財政状況の良かった大企業などの健保組合が解散する事態にまでなっているということだ。
これが医療制度の持続性に対する懸念。膨張していく医療費を賄うためには、どこかで負担を大きくしなければならない。