母が入院していた病院へ行った。
母が旅立った朝、慌しく病院を出たので、誰にも挨拶をしていなかったのだ。
ナースステーションの窓口に飾ってもらおうと、アレンジフラワーを持っていった。
久々に病院の中に入り、エレベーターで4階に上がる。また、涙が溢れてきた。
扉が開くと、目の前に、つい10日ほど前まで母が寝ていた病室が見えた。
まだ、そこに、母が居るような気がする。
父がナースステーションの窓口から会釈をする。
中から婦長さんが出てきた。
婦長さんの顔を見た途端、また、涙が出てきた。
そんな親子の腰に手をまわし、「がんばった、がんばった。待ってたよ。いつ来るかと思ってたよ。」
花をあげると、とても喜んでくれた。
「お世話になりました。明日から2人共仕事に出ることにしました。」父が言った。
「その方がいい。普通の生活に戻らなきゃ。」
母が入院中、私が泊まりで母の看病をし、朝、会社に行く時に、ナースステーションに声をかけてから出掛けていた。
「会社に行きますので、母の事よろしくお願いします。」
大抵、婦長さんが元気な声で「いってらっしゃ~い。」と、手を振ってくれた。
「風邪ひいてないかぁ~い。」
「私、バカだから大丈夫。」
この何て事のない挨拶で、どれだけ朝、元気になっただろうか…。本当にありがたかった。
婦長さんのお母様も、癌で他界されたと書いた事があるけれど、特に私の気持ちがよくわかるらしく、闘病中の母や私に、何かと声をかけ、気遣ってくれた。
主治医のY先生も呼んでいただいた。
お互いに深々と頭をさげ、「ありがとうございました。」「ご苦労様でした。」
「先生には、母の我侭をきいていただき、満足のいく治療ができなくて、すいませんでした。」
抗がん剤の治療を拒否していた母、あちこちに管を通されるのを嫌がっていた母、家で普通に生活したがった母…、そんな母の気持ちを汲みつつ、できる限りの治療をして下さった、Y先生。
悔しく、歯がゆい思いをしていたに違いない。
私よりも2つ年下の、小柄で可愛い先生。本当にありがとうございました。これからもたくさんの患者さんを助けてあげてください。
あまり長居しても忙しい先生や看護婦さんに申し訳ないので失礼する事にした。
涙を流しながらさよならする私に、婦長さんがハグしてくれた。
「元気をあげるから、がんばって。寂しくなったら会いに来るんだよ。」
「ありがとうございます。」
明日から仕事。
ちょっと気が重いけど、行かねばなるまい。
母が旅立った朝、慌しく病院を出たので、誰にも挨拶をしていなかったのだ。
ナースステーションの窓口に飾ってもらおうと、アレンジフラワーを持っていった。
久々に病院の中に入り、エレベーターで4階に上がる。また、涙が溢れてきた。
扉が開くと、目の前に、つい10日ほど前まで母が寝ていた病室が見えた。
まだ、そこに、母が居るような気がする。
父がナースステーションの窓口から会釈をする。
中から婦長さんが出てきた。
婦長さんの顔を見た途端、また、涙が出てきた。
そんな親子の腰に手をまわし、「がんばった、がんばった。待ってたよ。いつ来るかと思ってたよ。」
花をあげると、とても喜んでくれた。
「お世話になりました。明日から2人共仕事に出ることにしました。」父が言った。
「その方がいい。普通の生活に戻らなきゃ。」
母が入院中、私が泊まりで母の看病をし、朝、会社に行く時に、ナースステーションに声をかけてから出掛けていた。
「会社に行きますので、母の事よろしくお願いします。」
大抵、婦長さんが元気な声で「いってらっしゃ~い。」と、手を振ってくれた。
「風邪ひいてないかぁ~い。」
「私、バカだから大丈夫。」
この何て事のない挨拶で、どれだけ朝、元気になっただろうか…。本当にありがたかった。
婦長さんのお母様も、癌で他界されたと書いた事があるけれど、特に私の気持ちがよくわかるらしく、闘病中の母や私に、何かと声をかけ、気遣ってくれた。
主治医のY先生も呼んでいただいた。
お互いに深々と頭をさげ、「ありがとうございました。」「ご苦労様でした。」
「先生には、母の我侭をきいていただき、満足のいく治療ができなくて、すいませんでした。」
抗がん剤の治療を拒否していた母、あちこちに管を通されるのを嫌がっていた母、家で普通に生活したがった母…、そんな母の気持ちを汲みつつ、できる限りの治療をして下さった、Y先生。
悔しく、歯がゆい思いをしていたに違いない。
私よりも2つ年下の、小柄で可愛い先生。本当にありがとうございました。これからもたくさんの患者さんを助けてあげてください。
あまり長居しても忙しい先生や看護婦さんに申し訳ないので失礼する事にした。
涙を流しながらさよならする私に、婦長さんがハグしてくれた。
「元気をあげるから、がんばって。寂しくなったら会いに来るんだよ。」
「ありがとうございます。」
明日から仕事。
ちょっと気が重いけど、行かねばなるまい。