GWの小旅行、旅先の駅の書店に平積みになっていたので、購入。
33歳独身OLが素人落語にどっぷりはまって、自分を見直したり、嫌いになったりしながら、それでも人生をいとおしむ気持ちを再発見していくお話でした。
要約すると上のような話なんだけど、主人公の女性が、次第に落語の登場人物に心を寄せていく描写がいいです。
主人公が幸せでも不幸でもない、とことん普通の女性って所が特徴的だな。
カバー見返しの作者プロフィールをみるとデビュー作が『素晴らしい一日』と書いてある。
あれ、これ読んだことあるな。うん、確かに『素晴らしい一日』と雰囲気が似てる。
普通の人が普通に幸せだったり少し大変だったり、そういう心の動きが、作者はきっと愛しいんだね。
本屋さん大賞には決して選ばれたりしないけど、物語の波は小さくて、みていてもどかしいけど、いい小説でした。
おススメするのは、ムール貝博士言行録の中の「ピス田助手の手記」
この人の、この流れるような言葉は一体どこから出てくるんでしょうね?
活字にならんかなぁ。
私は買って、何度でも読むね。
売れるかわからんけども、いや、売れるんじゃないかなぁ。
小林大吾の2nd「詩人の刻印」・3rd「オーディオビジュアル」を聞いてから
ピス田助手の手記を1から読むと、かなり面白いです。
声も素敵なので、アルバムも是非是非。
これは凄い。
言葉が生き物みたいです。
いしいしんじの物語は、基本設定が残酷だなぁ、とは以前から思ってましたが、この本の第一話の残酷さは、群を抜いてる。
しかしいしいしんじの残酷さには、悪意は全く感じられないです。そういう生まれとか運命を、誰しもが持ってるものとして捉えてるから、胸にすとんと落ち着く感じ。
この一冊は読むのに体力も精神力も要しそうです。
小説を読み慣れない方がいしいしんじを読むなら、『ブランコ乗り』がオススメです。
たまには全うな小説を読もうと思い、森鴎外を読みました。
文豪の作はそれぞれ数冊は読んでると思いこんでましたが、
思い返してみると、森鴎外は高瀬舟を読んだきりだった。
ところで、書店の棚で見る度に思っていました。
『 雁 』の読み方は、「かり」? それとも 「がん」?
ふつうはどちらの読み方も間違いではないのですが、
作品のタイトルとしては、どっちよ!?
作品の最後の方、この漢字に振られたルビは
「がん」 でした。
というわけで、答え: 「がん」
…う~ん、どうでもいい情報だな。
さてさて。感想など。
やはり、名作と言われるだけあって、いい。
「面白い」という言葉を、私は普段から軽く使っているのですが、
普段ミステリに対して使う「面白い」とは別の意味で「面白い」。
特別な事件が起きるでもない淡々と流れる話が、なぜ面白いのかというと、
登場人物の描写が実にリアルなのです。
囲われ者のお玉の、心の動きから生ずる小さなしぐさが、なんとも色っぽい。
女の心の変わっていく様が、実に腑に落ちる。
リアルなのに最終的におとぎ話を読んだような不思議な気持ちが残る。
こういう小説を書けたらいいだろうなぁなどと、
つい思ってしまった次第です。
電車で読んでてニヤニヤした。
短編集なんですが、どの話もオチ(?)がふんわり優しくて、作者は人が好きなんだろうなぁって思わせる一冊です。
(※ BAWDIESファンにしかわからないと思いますが、ちょっとだけロイ君のブログの雰囲気に似てる。と思った。)
堅苦しくないし、登場人物は皆ちょっとイタくて親近感が持てるので、疲れた人も、頑固な人も、退屈な人も、いじめっ子も、いじめられっ子も、皆読んだらいいなぁ、と恥ずかしげもなく思います。
それに加えて、ちょっとした再生の物語。
重くなく、軽すぎもしない。
ただ、謎の部分は薄いので、ミステリしか読まない人には向かないかも。
読後スッキリするので、朝の通勤時に読むと良いと思います。
『 龍の棲む家 』 玄侑 宗久
久々に美しい文章を読んだ気がする。
物語も、美しいです。
何度読んでも新しい発見がありそうです。
ライトノベルに慣れていると読みにくいかもしれませんが、
お勧めです。
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『 妖怪アパートの幽雅な日常 ⑥ 』 香月 日輪
シリーズ物なので、続けて読んでいる感じ。
若くて真っすぐな物語なので、安心して読めます。
小学三年生の長女は、私の後に読んでるみたいです。
もともとは児童文学として書かれているので、
五、六年生なら十分に読めると思います。
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『 密室の鍵貸します 』 東川篤哉
本屋さん大賞の、「謎解きはディナーの後で」の作者です。
「謎解き~」はまだ読んでませんが、
本格ミステリ+ユーモアミステリ とくれば、読まねば!
って感じで読みました。
本屋で平積みされてたし。
なかなか面白い。
文章のテンポがいい、そのうえ
そこかしこに、ことば遊びが隠れていて、
読んでいて楽しいです。
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『 4ページミステリー 』
4ページで一つの話にオチがつく。
ってだけではないです。
途中からはっきりとしてきますが、
前の話からイメージを引き継いで、次の話が始まります。
なので、まったく別の場所の別の人物の話であるにも関わらず、
関連性があるようで、
小説一冊の中に、きちんと世界があります。
よく出来てるな~って関心する話もあるし、
ミエミエでわかりやすい話もあるし、
何回か読んだけど、腑に落ちない(なにがどう謎で、解決したのか?)話もある。
もうちょっと読みこまないと、真の魅力はわからないかもしれません。
わたくし月に1,2回、小学校で読み聞かせのボランティアをしています。
通常は子供たちが喜びそうな本、声に出して読むと楽しい本を自分で選んで読むのですが、時々「このクラスではこの日この本を読むこと」という課題が出ることがあります。
その課題本 『きつねとぶどう』。
とりあえず一回読んでみようと思い、パスタ屋さんで料理が運ばれてくる前に黙読。
物語の中盤が過ぎるころ、目頭が熱くなり、読んでいるはずの字がかすんで見えなくなり…。
わたくし、基本的に「お涙頂戴モノ」はどうしても笑ってしまうタイプの捻くれた人間で、人前では泣きませんし、そう易々と心を動かされたりしないのです。
かつてダディOの実家で「はみだし刑事情熱系」(柴田恭平が主演のドラマ)を見ていて、いわゆる感動的なシーンで「ぷっ」と吹き出してしまい、感動体質の義父母の反感を買ったことがあります。
それなのに、この話は。
何度読んでもこみ上げてくるものがある。
試しに家で娘たちに読んで聞かせてみました。
二女は、よくわからなかったらしい。行間を読むことがまだ出来ないのでしょうね。
長女は、読み終えた時は目を真っ赤にして我慢してましたが、その後私に抱きついてしばらくシクシクしてました。
なんとも美しい物語、そして優しく美しい絵!
さて、読み聞かせではどんな風に料理してやろうかね!
機会がありましたら、ぜひご一読下さい。
子供を青山こどもの城で遊ばせながら、読んだ小説。
物語の重さの構成が、アンバランスで、なんか、こう、最後にものすごくやるせない。
なんでこんな構成にしたのか!
狙いはなんだ、言ってみろ!的な気分。
その他、最近読んだ本
妖怪アパートの幽雅な日常5 / 香月日輪
相変わらず気持ちよく読める。
子供にオススメ。
PINK / 柴田よしき
母が置いて行った本。
先の読めないスリリングなストーリーでした。
最終的に、悪い人がいないのがいいなぁ。
ああ
GWは仕事と子供サービスが交互にやってくるので、
時間の感覚がなんか変。
おやすみなさい。
久々に小説を読みました。
気持ちが下向きの時は、重い小説が読めないもので、
夏に読んでいたのは、香月日輪の「妖怪アパートシリーズ」。
この秋読んだ1冊目が坂木司。
さわやか青春小説だよね。
坂木司、今回の作品は良かったです。
もちろん、今までも面白いから読んでいたんだけど、
坂木司自身が成長したというか、青臭さが少しとれたというか、
言葉に変に入ってた力が抜けたというか。
今まであった、読んでる時に感じる気恥ずかしさ(これはこれでいいんだけど)がなくなった。
言葉―気持ち間にある違和感がなくなった感じ。
う~ん、上手く言えないなぁ。
坂木司を読むなら、出来ればデビュー作から順に読むのがお勧め。
それが無理なら、本作からかなぁ。
あ、作者は全く違いますが、以前読んだ『オテル モル』と少し重なります。
どちらの小説も、主人公の女の子がホテルの受付の仕事をするんだよね。
うん、どちらも面白くて、気持ちのいい作品だな。