5月の招待発表をした中国人民大学での研究会で、日本の事例から、中国の農業問題へのアドバイスは?を問われた。
中国事情のわからない私としては、
これら三種の内、唯一可能性のあるのは、兼業だと発言した。
農村工業導入促進がいいとも言った。
しかしあとになってわかったことだが、というより人民大学の研究会メンバーが発言していたのではあるが、中国の制度がそれを許しそうにない。「農村戸籍」と「都市戸籍」という制度である。
まず、米価だが、中国には、コメに相当するものがない、つまり、日本のように、コメが神棚に飾られているのではなく、代々、中国の中心北京、河北は、畑作地帯。
トウモロコシや大豆生産が中心。
したがって価格政策は困難。
第二の地価は、公有制度では無理。
農民の所得にならない。
開発で、「村民委員会」の所有が、「土地開発公社」の所有に移転。
その間に様々な利権が生じ、だいたい「土地開発公社」に関連する人々の中に土地値上がり資金が流れ込んでいると噂されている。また村民委員会にも何らかの資金が流れていると言われているが、内容はよくわからない。
農民は、所有権を剥奪され、40万元ぐらいの離作料をもらって終わりなのだと言うから、戦後の農民が高騰した農地価格の恩恵にあづかって裕福になったのとは事情が違う様だ。
とすると、第三の兼業を推進することが考えられる。それで研究会ではこれしかないと発言したものだ。確かに中国の工業の発展は目を見張りばかり。
しかしここにも問題があり、中国には「農村戸籍」と「都市戸籍」とがあって、あたかも身分制のようにあるという。
出稼ぎとして農民工と呼ばれる人々が沿岸部の開発地区では働いてはいるが、やがては農村に帰らなければならない人々だという。
どうやら、中国では、経済が発展して、農業者が減少するといった、どの国もが通ってきた農業者の減少に制度的歯止めがかかっているようだ。
これを解消し、兼業(脱農)で中国農民が豊かになるには、農村戸籍の廃止、沿岸部の工場立地を農村部にも配置する政策の推進、が必要なのだろう。
ただ、もし、地価によって農家を豊かにする我が国のような仕組みを取り入れるには、農地の私有制が必要だろう。
公共投資も、農村部に厚くする事が肝要なのだろう、そうなるには、農民の声が政府の公共投資に反映しなければならない。圧倒的多数を占める農民が選挙権を主張することが必要なのだろう。これらは一言で言えば、中国経済の民主化である。
これは1978年以来改革開放を進めてきた中国の最大のアキレス腱でもある。
1989年の天安門事件への政治的決着も求められるかもしれない。
最新の画像もっと見る
最近の「日常の経験思考生活」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2020年
2019年
2014年
2004年
人気記事