が載っている。作者はジャーナリストの東谷暁さんという方。
喫近の農政課題は、「矛盾だらけの生産と流通の仕組みを再検討して、来るべき食糧危機の時代においても、日本のコメの安定供給を確保することだろう」と書いている。
その通りと思う。
ただ「矛盾だらけの生産や流通を再検討したら」どうなるのかに関しては書いてない。
考えを聞きたいと思った。
すくなくても、先物市場の創設や、国際コメ市場に向けた品種改良やコメの商品開発、体制整備の構築ではない、、と言ってるのがこの文章。
むしろそうすることはよくないとも。
それはそれ、主張としてはありだろう、、、。
とすれば、、どの様な「再検討策」があるのかが書いてあるとありがたかった。
出だしは「エネルギーとならんで穀物への世界的な投機が加速し、日本も食糧危機に巻き込まれようとしている」という認識を示している。
せっかくそう書いてるのだし、多くの読者も「そうだ、ジャーどうすればいいのか」、、とついぞ期待してしまうだろう。
それに対するソリューションが「コメに規制を加えること」というのだが、何か、別次元の様で違和感を感じてしまう。
いやソリューションが読みとれないのだ。
この方、よく分からない方なので、評論はこの文章だけにしておくが、、、エコノミストには敵愾心を持ってる方のようでもある。
確かにエコノミストの机上の空論には私も疑問のところが結構ある。
が、しかし、、、日本の資源や国家を維持し、国内の食の安定供給を考え、またその手法を様々に模索しなければならない時に、、、、コメの世界市場に打って出る考えに敵愾心を燃やすその姿勢には、大和魂や竹槍でアメリカの物量戦略に対抗した大日本帝国を彷彿としてしまう、、が。
日本の課題は、グローバルな体制に、防衛策をしたたかに準備し、どう攻め入るか、これを如何に戦略化できるか、、にあると考えているが、 もしそうなら、、その防衛策にこそ知の動員をすべきと考えるのだが、、、残念ながら、文章には、そうした道筋や策へのリアリティは感じない。
票のために、特権的?小土地所有者に迎合する政治状況をどう考え、、それはそれで保守の基盤なのだろうが、、基盤をそのようなところに求めることをどう感じるのか、、、民主党も、、同様の政策を、、欧州的な進歩政策の鎧を着つつ、これまた旧労農的思想にも似た形で出してきており、、、農政思想は、、55年的な思想が奇妙な共同歩調を取りつつでている状況にある。
こうした思想状況を、「逆流」や「大連立」と言った文言で説明しようとする人もいるし、、日本の危機とも考えているが、それをどう考え、、これらに相対する思想はどの様なもので、、それに基づいた現実との整合性を持つ具体的な政策をどう仕組めるのか、、が現在の課題なのだろう。
その様な状況認識を共有して欲しいとは思わないし、、その必要もないとは思うが、、気になるのは、、この方、まるで、農業への企業参入の「自由化」と、「今も進む優良農地の転用を食い止めるための「規制化」」とは相矛盾する」、、と言った書きぶりで、主張の全てが、妙に全中が言うことと軌を一にしている点である。、、書きぶりから見て、、もしかして、農協が支配する王国の再生にこそ農業の明日があると信じてる方なのかもしれない?と思った次第である。あるいは人間理性の優位性や絶対的価値観を信じる方なのかも知れない。
(以下東谷氏の主張)
エネルギーとならんで穀物への世界的な投機が加速し、日本も食糧危機に巻き込まれようとしている。日本人の主食であるコメも世界市場での価格が上昇し、タイのコメ価格は年初から4月までの間に約3倍に急騰した。
ところが日本国内では、コメの価格が高騰した今こそ、日本のコメも世界に打って出るべきだなどという議論が盛んになっている。あまりに楽観的な認識ではないだろうか。
まず、コメの世界市場は、昔も今も「浅い」市場として知られている。世界で生産されるコメのうち約5%だけが世界市場に登場し、あとはすべて生産国内で消費される。お金があっても好きなだけ買えるわけではなく、増産したからといって、いくらでも売れるような市場ではない。
また、日本人が普段から食べているコメはジャポニカ種であり、インディカ種の生産が中心の世界で約15%、世界市場でも約10%程度のマイナー種にすぎない。高級米で世界に打って出るにしても、足りない分を世界から購入するにしても、かなりの制約があることを知っておかねばならない。
さらに、これまで世界のコメ市場価格が比較的安定していたことをもって、市場が「浅い」というのは間違いだとする説もあったが、最近のフィリピンにおけるコメ不足や、タイでの高騰を目の当たりにすれば、検証に堪える説ではないことが分かる。
しかも、1973年から翌年にかけて石油が高騰した時期には、コメの国際価格も約3倍に急騰し、現在の状況に酷似している。今後は価格の変動幅が拡大する危険も大きい。
農業改革として民間企業による農業への参入自由化が主張されるが、農産物に民間企業が参入しているのは以前からで、小泉政権の農業特区が初めてのことではない。
コメの生産に企業が参入したからといって安定した供給が保証されるわけではなく、農業特区は農地のさらなる非農地転用に口実を与えただけとの指摘もある。
2年ほど前に、日本でもコメの先物市場を開設しようとの機運が盛り上がり、当時の中川昭一農水相が不認可にしたところ、激しい批判が巻き起こった。
しかし、先物市場が価格安定を実現するには、その商品の流通量が膨大で、生産地が世界に拡散し、地域的な欠乏がないことが条件とされてきた。コメの世界市場はまったく条件を満たしていない。しかも、これらの条件を満たしていたはずの小麦や石油の価格高騰を見れば、先物市場は価格を高騰させる可能性のほうが高いことがわかる。
いま日本のコメについての緊急課題は、世界市場に進出したり先物市場を構想する以前に、いまの矛盾だらけの生産と流通の仕組みを再検討して、来るべき食糧危機の時代においても、日本のコメの安定供給を確保することだろう。
ことに現在も農地が非農地に転用されていく傾向は続いていて、日本におけるコメ耕作地の確保は決して明るくない。
食料の自給率が39%にまで下がったと騒いでいる一方で、減反が行われ優良農地の減少が放置されているのは驚くべきことだ。
日本のコメにとって必要なのは先物市場や企業参入の「自由化」などではない。
いま検討すべきは、むしろ今も進む優良農地の転用を食い止めるための「規制化」なのである。
(ひがしたに さとし)
最終更新:6月4日8時4分
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