「5年後、10年後、彼(藤井聡太)が一番強くなるであろう時期に戦いたい。
そんなに長く活躍したいと思っていなかったけれど、
彼がいるのでやっぱり戦いたい。」
この言葉は2019年4月に何かのインタビュー(おそらく名人戦)で記者の質問に答えたものです。
今、考えると不思議な感じがします。棋士は生涯現役でいようとすれば不可能ではありません。実際に大山康晴十五世名人は69歳で亡くなるまで順位戦A級に在籍していました。
豊島将之は将棋の未来に見切りをつけていたのかもしれません。しかし、そこへ中学生棋士として藤井聡太が登場し、デビュー29連勝と共に藤井現象とも言える将棋ブームになりました。徐々に藤井聡太を生涯のライバルと思うになったのでしょう。長く現役を続け、藤井聡太と戦いたい。そう思えます。
事実、2021年度の叡王戦では最終局までもつれた末に失冠(2勝3敗)、竜王戦では0勝4敗と完敗しましたが、どの対局も見応えのある対局(超難解ですが)でした。事実、2022年4月の将棋大賞で竜王戦第四局が名局賞に選出されました。
そして8月4日に行われた王座戦挑戦者決定戦でも、豊島将之は藤井聡太と終盤において二転三転する熱戦となり、藤井聡太が勝ちました。ですが、豊島将之が勝っていても不思議のない対局でした。名局賞に選出されてもおかしくはありません。
レイティングでは1位藤井聡太に次ぐレイティングで2位となっています。将棋は人間同士が対局しますので、レイティングが全てではありません。この二人がこれからも熱戦を繰り広げてくれると思います。